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#79 見る側と見られる側 その11

「今日はあと2時間か……」

「修クンのモニタリング、後半戦突入だ!」

「よーし!」

「行きますか!」


 後半戦も達也をはじめ、相変わらず漫才集団のままだった。

 漫才集団というのは少し残念ではあるが、彼らはこの学校の生徒会役員(・・・・・)である。


 修が属しているクラスの5限目は数学だが、モニター画面に出てきている映像は午前中とは全く異なる雰囲気の場面だった。

 その画面には彼と学級委員として号令をしているクラスメイトの女子生徒、麻耶の2人だけが映し出されている。

 鈴菜は興奮したような口調で「こ、これは!」と机をバンっと叩いた。


「なんかラブコメみたいな感じがしますね!」

「鈴菜クン、そんなわけないと思うが……」

「会長、よく見てください! 女の子が吉川くんに何か書いたメモを渡していますよ?」

「これはもしかしたらラブレターかもしれないな……」

「達也クンもそう思うかい?」

「おそらく……放課後にでも本人に聞いてみないと分からないけどな……」

「俺は違うと思うんだがな……」


 周りの生徒会役員はまさかの展開に興奮している中、雄大は複雑な感情を覚える。

 なぜ、俺は昼休みに修クンに変なことを話してしまったのだろうかと――


「今日の放課後、吉川くんに会う楽しみができました。達也先輩が言ってた通り、ラブレターだったらいいな!」

「そうだな。残酷な話より平和な話の方がいい」

「全く鈴菜クンに達也クンったら……」


 彼女と達也は彼のことを無視してすっかりラブコメディーモードになっている。

 雄大は諦めて彼女らのペースに任せようと思い始めていた。


「ところで、高橋くんは難しい顔してるけど……」

「聡クン、これは現実なのだろうか?」

「え? いきなりどうしたの?」


 現時点では他の生徒会役員には誰にも気がついていない状態になっている中、1人だけ察した人物がいる。

 それにようやく気がついてくれたのは聡――


「聡クン、別室で話をしないか?」

「でも、5限目が始まるよ?」

「鈴菜クンや達也クン、政則クンの3人いるから十分だろう。今日は全校生徒ではなく、修クンだけだからさ」

「確かにそれは言えてる。じゃあ、ボクの部屋でいい?」

「聡クンがいいならば構わないよ」

「うん。じゃあ先に向かってて。ボク、あとから追いかけるから」

「ああ」


 2人が話している間に教室の廊下を映し出されていたモニター画面には修と麻耶の姿どころか、誰もいない。


 他の生徒会役員は5限目のモニタリングを始めようとしている中、雄大と聡は別活動を始めようとしていた。

2026/02/19 本投稿

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