#7 入学式と対面式 その3
「――――――以上、40名。礼」
こうして、C組、D組、E組の呼名が終わった。
そして、最後に「男子99名、女子101名、計200名」とE組の担任が続け終了。
「各クラスの担任のみなさん、ありがとうございました。続きまして、理事長及び校長からの挨拶に移ります」
E組の担任から司会進行をしている男性に戻り、こうアナウンスした。
壇上にいるこの高校の理事長と校長が1人ずつ原稿に沿って話し始めている。
はじめの文章はもちろん、「200名の新入生とその保護者のみなさま、改めまして、ご入学おめでとうございます――――」というお決まりの言葉で……。
その言葉に新入生は彼らに向かい、無言でぺこりと頭を下げた。
理事長と校長から同じような挨拶を永遠に聞かされているので、在校生は居眠りをしたり、今年の新入生で可愛い女子生徒や格好いい男子生徒は誰かいないかについて小声で話をしている者がいる。
しかし、新入生は「最初が肝心!」という意識があるせいか、1番眠くなるはずの理事長と校長の話はしっかりと耳を傾けているようだった。
†
同じ頃、生徒会室……。
この高校の生徒会役員である4人は対面式の最終確認を行っている。
「木崎くん、対面式の準備は順調ですか?」
鈴菜が木崎と呼ばれた男子生徒に問いかけると、「うん。ある程度はできてるよ」と答えた。
「そういえば、会長が「生徒会長挨拶があるから」と言って講堂に行きましたが、もうそろそろ話し始めていますかね……」
「ちょっと、鈴菜ちゃん!?」
「遅かったかぁ……」
「木沢先輩に達也先輩? どうされたのですか?」
彼女がそう言うと、木沢と達也が少しテンパった表情を浮かべている。
「「生徒会長挨拶」があるのは対面式だよ!」
「確かに対面式だよな。確か……その原稿は君がいない時に書き上げていたからなー」
「うそーっ! 私、会長と一緒にいたのに、なんで気づかなかったんだろう!?」
「今まで気づかなかったのか?」
「ずっと気づきませんでした!」
そんな中、4人はパニック状態に陥っている時に、生徒会長である男子生徒は「あれ? 入学式は俺の出番は入学式はなしなのか?」と思いながら、講堂内で対面式が始まるのを待っていたのであった。
2016/10/23 本投稿