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#74 見る側と見られる側 その6

「そういえば、修クンはお手洗い(トイレ)は遅刻寸前で間に合わなかったから仕方ないよな」

「確かに」

「吉川くん、今朝からすっごく嫌そうな顔をしていましたしね……よいしょっ……」

「おがすず、大丈夫?」

「大丈夫ですよー。って……あれ? 時計の電池が切れてしまったんですか?」


 先ほどまでずっこけていた生徒会役員達はなんとか身体を起こし、モニター画面に視線を移す。

 鈴菜は生徒会室の壁時計の電池が切れていることに気がついた。


「さっきまでは動いてたはずだったのになぁ……確かここの時計は電波時計ですよね?」

「そうそう。鈴菜ちゃんは届かないからボクが取るよ」

「ありがとうございます!」

「電池は充電式だから前に充電しておいたものがあったからそれを使ってね」

「分かりました」

「それにしても修クンはお笑いのセンスがあるのではないのかい?」

「「そこ!?」」

「みんな揃って突っ込まなくても……」


 突発的に雄大が修のことをコメディ的な要素があると言うが、彼以外はそれはないと首を横に振りまくる。

 聡が時計を彼女に渡し、電池交換をしようと電池の蓋を開けた時、使用済みの電池を床に落としてしまった。


「もう! 会長のせいで電池が落ちちゃったじゃないですか!」

「そんなのは俺には知らない~♪」

「知らないって……変なことを言い出した会長が悪いじゃないですか!?」

「高橋と鈴菜は2人でコントをしてる場合じゃない!」

「本題からかなり逸れてますしね」

「だってー! 木崎くんはなんで整然としていられるんですか!?」

「「鈴菜 (おがすず)、少し落ち着け!」」

「鈴菜クンは早く時計の電池を交換しろ。聡クンが待っているぞ」

「……ハーイ……」


 鈴菜と雄大が漫才を繰り広げられている間に修の実況をする者がいなくなっている。

 本題に逸れていることに気がついた達也と政則が止めに入るが、生徒会室にいる者全員が彼女のヒステリックさには驚いていた。

 なぜならば、通常は鈴菜は生徒会室(ここ)にはおらず、普通学級で授業を受け、裁きが必要な生徒が出た時はスマートフォンの位置情報またはインカムから聞こえる情報で現場へ向かうため、彼女がいない時の生徒会室の様子は全く知らないのだ。


「まあ、普段は生徒会室に鈴菜ちゃんはいないから分からないと思うけど、今日みたいに落ち着いてる時はいつもこんな感じなんだ」

「えっ?そうなんですか?」

「そうだよー」

「こ、この様子こそ吉川くんに見せた方がいいんじゃないですか?」

「だよね。なんだかんだ言って鈴菜ちゃんは自分がいない時の生徒会室(ここ)の様子が見られて面白いでしょ?」

「そ、そう言われてみればそうですが……」

「そんな時に止めてくれるのが木沢だよな。いつの間にか収束してるから助かる。現に高橋と鈴菜のコントは終わってるし」

「そ、そんなことはないよ!」

「なんだよ。せっかく褒めてやってるのに! このこの、ウリウリーッ♪」

「うわーっ! ちょ、ちょっと離れてよー! 達也くーん!」

「離れるもんか!」

「ところで、おがすず。なんだかんだ言って落ち着いてる時が平和だな」

「そうですね。いつもは殺伐していますからねー」

「ちょっと、木崎くんと鈴菜ちゃん! 達也くんを止めてよ!!」


 鈴菜と聡が話しているところに毎度のように遮ってくる達也。

 達也からすると彼に対してのフォローなのか照れ隠しなのかそれ以外なのかは不明だが、なぜか(くすぐ)り始める。

 そんな彼らを見た政則と鈴菜は微笑ましく眺めていた。

2020/09/24 本投稿

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