閑話 3年生トリオの戯言
雄大達は修が生徒会室から出ていったタイミングを見計らってからにやにやしながら出ていった。
そこにはまだ鈴菜と政則の姿があるだけ。
彼らは彼女らに生徒会室の鍵を手渡し、その場から出て行く。
「明日、修クンがどうなるか楽しみだな」
「そうだね」
「それにしても木崎の誘導は上手かったよな」
「確かに上手だったよね。あの誘い方!」
雄大、聡、達也の3人は昇降口で先ほどの修と政則の会話について話していた。
「あっ、そういえば……」
達也がふと思い出したように口を開く。
聡が「達也くん、どうしたの?」と訊いてきた。
「ところで、明日撮った映像はどうするんだ?」
「あとでまとまった時間が取れた時に修クンに見せる!」
「高橋、それマジで言ってるんかよ!?」
「まぁ、あの吉川くんだから嫌がりそうだけど……」
「それは言えてる」
彼は雄大に訊く。
しかし、彼の返答があまりにも突っ込みどころが満載過ぎてしまい、聡が口を挟んできた。
「でも、修クンにとっては貴重な体験ではないかと思っているんだが……」
「そういえば、鈴菜や木崎は一般生徒側の体験って、やらせなかったよな」
「確かに去年はやってなかったよね?」
「一昨年もやっていなかったのは覚えていないかい?」
「ああ」
「で、高橋くん。なんで今年はやろうと思ったの?」
「去年の生徒会役員は政則クンと鈴菜クンの2人だったけど、今年は修クンだけ。答えはもう分かっているだろう?」
「「……1人しかいない……」」
「なるほど。だから、高橋くんから木崎くんが上手く誘導したんだね!」
「1人と2人の違いか。今年は少ないからできると思ったのか」
「去年、一昨年に比べて少し余裕があるし」
「そういうこと!」
3人と鈴菜達が入学してきた代は全くそのようなことはしている余裕がなかった。
しかし、今年度は修だけであるため、今までと比較すると少し時間があるため、一般生徒側の体験をさせることができるということになる。
「吉川くんの教育係は鈴菜ちゃんだから……」
「そうだな。現時点で自分達でできることは鈴菜達をサポートすることだからな」
「うん、そうだね」
「ところでふと思ったんだが……」
「なんだい、達也クン?」
「鈴菜のこと」
「ボクも少し気になった!」
彼女に彼の教育を任せ、他の役員はそれぞれの任務をこなしつつ、2人をサポートすると以前から言っていた。
彼らは鈴菜に関して少し気になったことがあった模様。
「鈴菜はそういうの好きじゃないと思ってたんだが……」
「意外と鈴菜ちゃんはくだらないこと、好きなんだよね……」
「確かに鈴菜クンはノリノリだったよな……」
先ほどの話を聞いた鈴菜は確実に反対するかと思っていた。
そんな彼らの予想に反して彼女は快く賛成していたため、面白いことやくだらないことに関しては反対しておらず、むしろ好戦的である。
聡は「あのさ、思い出しちゃったことがあるんだけど……」と罰が悪そうな表情を浮かべながら言った。
「2人は去年のロシアンシュークリームのこと覚えてる?」
「覚えてる」
「あれは忘れるわけがない! そういえば今年もその季節がそろそろくるな……」
「あれはボクにとっては屈辱的だったから、今年はリベンジしなきゃね! 今年は何でロシアンルーレットをやるの?」
「カップ焼きそばでやろうと思っているのだが」
「いいんじゃない? 今年は人数が少ないし」
「また今回も鈴菜が作ることになったら悪夢が蘇るぞ……」
「その時におそらく修クンは彼女の恐ろしさを目の当たりにするだろうな」
彼らは先ほどの話からロシアンルーレットの話に話題を変えたが、かえって鈴菜に対する敵対心と悪夢、屈辱的といった複雑な感情が入り交じってしまっている。
3人は今年のロシアンルーレットの悪夢を再び作られるのか否か。
その準備をしていないにも関わらず、企画段階で彼らは緊張感を持ちはじめてしまっていた。
今後、彼女のそのような姿を修は目撃するのだろうか?
3年生トリオが話していた「カップ焼きそばでロシアンルーレット」をやろうという話は別なところで――。
カップ焼きそばでロシアンルーレットをやった話はこちら。
↓
「自作品のキャラクターでカップ焼きそばを作らせてみ
た(https://ncode.syosetu.com/n9290do/)」より
「カップ焼きそばでロシアンルーレット? (前編)・(後編)」をご覧くださいませ。
2020/04/01 本投稿