表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/81

#6 入学式と対面式 その2

 国歌斉唱を終え、講堂内にいる者は全員着席し、壇上には校長と理事長らしき人物が立っている。


「新入生の呼名を行います。呼ばれた者は返事をし、ご起立ください」


 司会進行をしている男性からA組の担任であろう男性に切り替わった。


「平成28年度新入生。1年A組。相野(あいの) みう」

「ハイ!」


 新入生のトップバッターである1年A組は女子生徒。

 彼女は元気よく返事をし、スッと椅子から立ち上がる。


 A組の生徒の名前が確実に読み上げられる中、修は佐藤の方を一瞬だけ見た。

 彼女は保護者や在校生がいる中で少しだけ口を動かしている。


「…………(佐藤先生はイメージトレーニングでもしているのかな……?)」


 彼はその光景を見て、恥ずかしくはないのだろうかと感じていた。

 端から見ると変な目で見られる光景だ。

 それでも彼女は口を動かし続けている。



 †



「――――以上、40名。礼」


 彼女らが壇上に向かって礼をし、「着席」と言われ、A組の生徒達は椅子に腰かけた。

 そして、男性から少し前まで口を動かしていた佐藤に切り替わる。


「同じくB組。荒木 純」

「ハイ!」

「飯田 彩名」

「ハイ」


 ここまで佐藤は順調にノーミスでここまできた。

 ついに、修の名前を呼ばれる番となったが、彼女は在校生や彼の両親がいるであろう保護者席を一瞬見る。


「…………(佐藤先生、お願いします! 僕の名前を読み間違えないでください!)」

吉川(きっかわ) 修」

「ハイ」


 その時、佐藤は修の名前を読み間違えず、スムーズに次の生徒の呼名を行う。

 彼は安堵の息を漏らしていた。


「……(先生、ありがとうございます!)」


 このたくさんの人が集っている入学式で名前を呼び間違えていたら、修はずっと恥ずかしい思いをしなければならないと思っていたので、少しばかり嬉しかったのだろう。


「――――菅沼 麻耶」

「ハイ!」


 彼が気づいた時には、あっという間に麻耶の番になっていた。

 彼女は返事をしたのはいいが、間違えて椅子に腰かけてしまったため、周囲からどよめきが起こる。

 麻耶は周囲を見回して「あれ?」という表情を浮かべ、少し顔を赤くしながら再度椅子から立ち上がった。


「――――以上、40名。礼」


 佐藤が先ほどのA組の担任と同じように号令をかけ、彼らは椅子に腰かけたのであった。

2016/10/23 本投稿

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

短編シリーズ版はこちらからどうぞ。

cont_access.php?citi_cont_id=896134301&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ