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#62 正解と不正解 その8

 3年生の生徒会役員達は修を無理やり椅子に腰かけられ、少し離れたところにいる鈴菜達に聞こえないように声を潜める。


「修クン……」

「吉川のやつ……気絶したのは今回で2回目だぞ」


 雄大と達也が心配そうに彼を見た時、聡が解析を行っていた。


「気絶?」

「えっ!?」

「違うのか!?」

「達也くんに高橋くん。吉川くんは今回、()()()()()()よ。ちゃんと脈もあるし」

「あ、本当だ」

「すまない。きちんと息をしてたわ」


 聡は修の右腕を雄大に差し出し、彼はその手首に指を添える。

 そこからピクッピクッを鼓動を感じ、一方の達也は修の胸元に手を置き、横隔膜が動いていることを確認した。


「渡貫先生と鈴菜クンは何を話しているんだか……」

「2人でなんか言い合っているみたいだけど、何話してるんだろうね」

「……さぁ……」


 3人は彼女らを微笑ましそうに眺めているのであった。



 †



 その一方で雄大達から離れている鈴菜と渡貫は修を見て軽い言い争いになっている。


「先生、吉川くんを壊しちゃダメですよ!」

「お、俺のせいかよ!?」

「そうですよ! 先生が「吉川は()()()()()だ」とか言うから……」

「そ、それは……って、鈴菜もフォローになっていなかったではないか! それに――――」


 彼女らが彼に「面白い人間」と言ったり、「吉川くんが壊れた」と言ったりしていたことは本当のこと。


「それに?」

「吉川はロボットや機械じゃないぞ」

「吉川くんがロボットや機械ではないのは承知しています! ちなみに、彼にそう言ったのは木沢先輩でしたから!」

「そうか。木沢かぁ……!」

「今頃、気がついたんですか……」

「ああ」

「おそらく、木沢先輩のたとえですよ。た・と・え!」

「もう、分かったから!」

「まぁ、彼がこうなったのは先生のせいということに……」

「まったく、鈴菜は……」


 自分達で言い争うが、最終的には収束する2人であった。


 その頃、聞き覚えのある声がキンキン響いてくる修の耳元。

 彼は「なんか騒がしい……」と感じ、目を覚ます。


「吉川くん、おはよう!」

「修クン、おはよう!」

「木沢に高橋。そろそろ「こんばんは」の時間だぞ?」

「もう、達也くんったら……吉川くんが目を覚ましたんだよ?」

「そこは「おはよう」と言わなければ!」


 修の視線の先には雄大をはじめとする3年生が漫才をしているような会話している。

 そして、少し離れたところから「吉川くんが目を覚ましたんですか!?」と高い声。


「鈴菜先輩や政則先輩とかもいますか?」

「いますよ!」

「ああ」

「ちょっと、俺のこと忘れてないか?」

「あっ、忘れてました……またみなさんに迷惑をかけてしまいました。すみません……」


 彼は椅子から立ち上がり、謝罪の言葉とともにぺこりと頭を下げた。


「さて、修クン。さっきの話の続きをしてくれ」

「ハイ」


 雄大に促され、修は先ほどの話の続きをしようとするのであった。

2018/04/02 本投稿

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