#59 正解と不正解 その5
生徒会役員達は達也の発言を聞き、視線は一気に修に向けられ、彼はそれに呆気に取られている。
先ほどまで椅子に腰かけていた雄大と聡が驚きを隠せずに椅子から立ち上がってしまった。
「修クンからだなんて珍しいな!」
「そうですね……吉川くんからの話とはなんですか!?」
「「教えろ!(教えてください!)」」
特に雄大と鈴菜の視線が鋭く突き刺さり、「逃がすものか!」と言われそうな雰囲気になっており、修は引いている模様。
彼女は達也達が話しているところを知っているが、ここでも知らないふりをし、どこか興味津々な表情をしている。
「………達也先輩、助けてくださーい……会長と鈴菜先輩が本当に食いついてます……」
「ほれ。さっき、言った通りだろ?」
「ハイ」
彼は達也に助けを求めて右手を掴んできた。
しかし、彼はそんな修の手をそっと振り払う。
「吉川。言いたいことがあったら、さっさと言え」
「分かりました。これから話しますので、落ち着いてください」
達也からそう言われたため、彼はいろいろと頭を切り替え、覚悟をつけ、通学鞄から「マニュアル」という名の分厚くなったクリアファイルを取り出した。
「まずはこちらを……」
「吉川くんはそのページまで読んでいたんですか?」
「修クン、このページから考えたものなのかい?」
「ええ、そうです」
修はインデックスを辿り、パラパラと捲り、『生徒会役員殺戮要綱』を開く。
その時、先輩役員からの質問責めに遭ったが、彼は冷静に簡単に答えた。
「今から僕が話すことは5月に起きた例の事件のことです。覚えていますか?」
「ハイ、私は覚えています」
「ボクも」
「俺も覚えてる」
「さっきも答えたけど、もう1回。覚えてる」
「学校自体休んだから、その話はおがすずから聞いた」
「政則先輩は本当に知らないのですね?」
「ああ」
修の問いに彼らは答える。
しかし、その日は学校を休んでいた関係上、大まかな情報しか得ていない政則は彼が一体全体どのようなことを話すのか気になっていた。
「僕はその時、先輩達がどのように動いていたのか推測してきました」
修がマニュアルから目を離し、ふと彼らの方を見る。
その時の彼は視線が凍りつくような悪人面をしていた。
2018/01/01 本投稿
※ Next 2018/01/02 3時頃予約更新にて更新予定。