#54 繋がった答えとなかなか繋がらない答え その4
夕食や入浴後もずっと悶絶している修は鈴菜に電話してみようと思い、机に置いてあったスマートフォンに手を伸ばす。
しかし、彼はあることに気づいてしまうとは思っていなかった。
「そういえば、肝心な鈴菜先輩や聡先輩の電話番号を訊いてなかった……」
修は電話帳を調べてみる。
雄大や達也の番号は登録してあったが、鈴菜や聡の番号は登録されていなかったのだ。
「生徒会役員のトップ電話番号が入ってて、話しやすい聡先輩や鈴菜先輩の番号が入っていないとは……なんて僕は馬鹿なんだ!」
そのことをを知ってしまった彼は溜め息をつき、スマートフォンから目を離す。
修は先ほどの正解か不正解か定かではない推理をルーズリーフに書き込み始めた。
†
「あれ、いつの間にか寝ちゃったのかな……?」
彼は目を擦りながら身体を起こす。
カーテンの外からは朝の日差しが溢れており、時計の針は1秒ずつ確実に進んでいた。
昨夜から書き始めていたルーズリーフには自分の推理は途中まで書いてあるが、そのあとは寝落ちしてしまった関係上、ミミズが這っているような読みづらい文字と涎まみれになっていた。
「これだと何を書いてあるのか分からないし、書き直しだなぁ……って、書き直してる時間がないではないか!?」
修は机の上に置いてある時計を見ると、あと少しで7時を回ろうとしている。
彼はもう1度書き直しを考えてみるが、呑気にそれをしていて単位を取り外してしまうことはどうしても避けたいと思った。
修は最後の切り札として用意しておいたものを出そうとする。
「ならば、僕の考えを全員の前で言うしかないよな……」
彼は仕方なくその手段で行こうと思い、先ほど書いていたルーズリーフをぐしゃっと丸め、ごみ箱に入れた。
修はそのことに不安を感じながら、支度をするのであった。
2017/12/07 本投稿