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#48 修とチート疑い

「では、早速ですが、質問してもいいですか?」

「ハイ。いいですよ」

「吉川くんは人を見て一瞬で「嘘をついている」と判断できますか?」

「うーん……」


 鈴菜が修に問いかける。

 彼は一瞬、頭を抱えてしまったが、彼女からの質問に対してこう答えた。


「僕は見た目だけではすぐに見抜けないですね。実際に話さないと分からないことが多いと思います」

「そうですね。その通りです。人は見た目で判断できません。実際に話してみたりして、あれこれ推測した方がいいですね」

「ええ。僕はそれで分かった情報をもとに人の表情を見たりすることによって、あれこれ判断できると思います。って、あのー……鈴菜先輩!?」

「………………」


 修の答えに鈴菜は相槌(あいづち)を打ちながら、会話を膨らませる。

 しかし、彼女は彼の考え方に脱帽し、口を開けたままになっていた。



 †



 それは鈴菜が入学した頃に(さかのぼ)る。

 彼女の教育係を務めていたのは現生徒会長の雄大だった。


「なあ、鈴菜クン。君は一瞬で「嘘をついている」と判断することはできるかい?」

「い、いえ……できません」

「それはなぜ?」

「……………………」


 鈴菜は彼から問われた質問の答えをすぐに出すことができなかった。

 同じ内容の調教レクチャーなのに、彼女の後輩である修みたいに具体的な言葉を紡ぐことができず、鈴菜は今までもどかしい思いをしてきたのだ。



 †



「す、凄い……私は去年の今頃、会長の前で同じような質問をされて答えられなかったのに……」


 未だに呆気に取られていた鈴菜。

 もしかして、彼は「心理学チート(・・・・・・)」ではないかと――。


「ちなみに、僕はチート(・・・)ではないですからね! ごく普通の男子高校生ですからね!」

「十分チートですよ! もしかして、吉川くんは過去に心理学関係の本とか読んだりしてきたのですか?」

「いや。僕は基本的に文庫本くらいしか読まないので、質問の答えはほぼ(カン)に等しいですよ」

「勘だけでも凄すぎます! 私から「心理学チート」の称号を与えます!」

「そ、それはどうも……」


 その頃、修は「心理学チートとはなんだ!? いや、もしかしたら、僕は心理学チート(それ)なのかもしれない……」自問自答をしていた。

2017/10/26 本投稿

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