表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/81

#46 マニュアルと怯える少年

【作者より】


前回の後書き欄で「※ Next 2017/09/27 0時頃更新予定」と書きましたが、1週間ほど遅くなってしまい、すみませんでした。

 あれから数分が経過した頃、政則が「こんにちはー」と生徒会室に姿を現した。

 その場にいた役員が一斉に彼に視線を向ける。

 しかし、本棚の前にいる聡は一瞬だけ政則の方を見たが、何かを探しているようだ。


「政則クン、あと少しくるのが早かったら……」

「すみません。帰りのショートホームルームが長引いたので」

「それは仕方がないな」


 雄大は彼のくるタイミングが悪く、やれやれと言いたくなりそうな表情を浮かべている。

 一方の聡はあるクリアファイルを持って、彼らのもとに戻ってきた。


「あっ、高橋くん! 鈴菜ちゃんにこのファイルを渡し忘れてるよ!」

「ああ……すまない。鈴菜クン、あとは頼んだぞ」

「分かりました。ありがとうございます」


 雄大が鈴菜に渡し忘れたもの――――。

 それ(・・)は分厚くなったクリアファイル。


 彼から彼女にクリアファイルを受け取っているところを見た修は「なんだ、この分厚いファイルは!?」と突っ込みを入れたかった。

 しかし、今は呑気にそのようなことを言っている余裕がない。


「吉川くん、何に驚いているんですか?」

「ファイルが分厚いところに驚いてます。ちなみに、そのファイルには何が入っているんですか?」

「……これはですね……私立白川大学付属高等学校生徒会のマニュアル(・・・・・)ですよ?」

「マニュアル?」

「ええ。それを元に説明と実践を積んでいくのです。では、先ほどの部屋へ行きましょう」

「ハ、ハイ」

「鈴菜ちゃん、(コレ)ね」

「すみません、お借りします」


 鈴菜は聡から鍵を借り、(かれ)を先ほどの小部屋へ誘導する。

 彼女のあとに続き、修は雄大と盗み聞きをしていた部屋の中に入れると思い、胸を踊らせていた。

 鈴菜はその部屋の鍵を開け、肘を使って電気をつける。

 しかし、彼は「薬品の匂いが……」と呟いた。


「この部屋は木沢先輩が1年生の頃、彼の先輩が使ってた実験室みたいなところです。その先輩は常に実験とかをしていたらしいので、微かに薬品の匂いがついてしまったのでしょう」

「……なるほど……」

「あとは……ごく稀に木沢先輩も出入りすることもあるみたいですから」

「そのうち僕もこの部屋に入る機会があるかもしれませんね?」

「そうですね」


 鈴菜は机の上に生徒会室から持ち出した分厚いクリアファイルをドンと置き、彼女は回転椅子に腰かける。

 一方の修は残されたパイプ椅子に腰かけた。


「さて、始めましょう! ここにきたからには、もう戻れませんからね?」

「ハイ。……って、鈴菜先輩は僕を脅す気ですか!?」


 彼女はどこから取り出したのかは分からないが、鞭をピシンと音を立てる。

 その時、彼は鈴菜のことを恐れた瞬間だった。

※ 次回更新分より毎週木曜日(・・・・・)(水曜日深夜)0時頃更新予定です。


2017/10/03 本投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

短編シリーズ版はこちらからどうぞ。

cont_access.php?citi_cont_id=896134301&size=200
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ