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#44 鈴菜と悩みごと その1

「そういえば、修クンの教育係は鈴菜クンが自分から申し出たが、自信がないというのは?」

「実はいざ教えるとなると不安で……焦って間違えたことを教えてしまったら、洒落にならないですし……」


 雄大が鈴菜に問いかける。

 彼女は少し俯くような体勢で答えた。

 生徒会室の扉がゆっくりと静かに開く。


「こんにちはー……って、空気が重いけどどうしたの!?」


 聡が生徒会室(そこ)に入ってきた時、その空間の空気の重さを感じ取った。

 雄大が彼の姿を見つけた途端、「聡クンか……」と溜め息混じりに呟く。


「高橋くん、酷い! そんなにボクにきてほしくなかったの!?」

「聡クン、少し落ち着いてくれ! 鈴菜クンのことで問題があって、今は聡クンが必要なんだよ(・・・・・・)!!」

「……鈴菜ちゃんが?」

「ええ。鈴菜先輩が……」


 聡が生徒会室にくるタイミングを誤ったのかもしれないと思っていた。

 一方の雄大は修と鈴菜がいる前で話をどう続けようか分からなかったのかもしれないと――――。


「……分かった。鈴菜ちゃん、ちょっといい? みんながいると話しづらいよね?」

「……ハイ……」

「2人でちょっと話してくる」

「一般生徒がいるかもしれないから気をつけてくれ」

「了解!」

「了解です!」


 聡は鈴菜を連れてある教室へ向かった。



 †



 彼らは生徒会室から少し離れた小部屋で脚を止めた。

 聡はその部屋の鍵を開け、電気をつける。


「鈴菜ちゃん、どうぞ。適当に腰かけてね」

「失礼します。ところで、ここは……?」


 例の小部屋は科学薬品の匂いが微かにするだけで、まるで小さな実験室のような空間だ。

 鈴菜はパイプ椅子に、彼は回転椅子に腰かける。


「ああ。ここはね、ボクが1年生の頃に先輩が使ってた実験室みたいなところだよ。ボクもたまに使ってるけどね」

「死後解析関係ですか?」

「うん、そんなところ。その先輩は常に実験したり、死後解析をしてたから、薬品の匂いが少しだけ残ってるけど。ボクが卒業する前に吉川くんに紹介しておかないと」


 聡は彼女に説明した。

 鈴菜は「なんだか化学者かお医者さんみたいですね」と彼に苦笑を浮かべながら話す。


「別に医者とかを目指していなかったらしいよ? その先輩は鈴菜ちゃんと同じく女性(・・)だったし」

「も、もしかして、木沢先輩はその女性の先輩が教育係だったというわけですか?」

「そうだよ? まさに今の鈴菜ちゃんと吉川くんみたいな関係」

「私達みたいな関係……?」


 彼女は先ほどの苦笑とは異なり、複雑そうな表情を浮かべていた。

 聡は回転椅子から立ち上がり、鈴菜の正面に移動する。


 そして、彼は前屈みになり、彼女の耳元で「鈴菜ちゃん。君は吉川くんの調教(レクチャー)のことで悩んでるんでしょ? ボクに話してごらん?」と囁いた。

2017/09/25 本投稿


※ Next 2017/09/26 0時頃更新予定

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