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閑話 中間テスト前の話 その1

 あれから生徒会役員による一般生徒の殺戮は行われなかった。

 そして、ゴールデンウイークが終わり、1年生にとってははじめての中間テストの期間に入ろうとしている。


「吉川くーん、もうすぐ中間テストだね」


 麻耶がスケジュール帳を開き、たまたま隣にいた修に話しかけた。


「うぇ……もうそんな時期なの!?」

「そうだよ。今日はちょうど2週間前」

「ヤバい、勉強し始めてないや……」


 彼は「中間テスト」という言葉を耳にした途端、嫌そうな表情を浮かべている。


「あたしもテスト勉強はまだ始めてないけどね……」

「おそらく教科書の最初からだろう?」

「そこからどこまでが範囲なのかが分からないじゃん」


 彼女が少し不満そうに頬を膨らませた時、「確かにそうだけとさ……」と修は一旦言葉を切った。


「……先生達もそろそろテスト範囲だけでも教えてくれればいいんだけどな」

「ならばさ、あたし達がテスト範囲を訊いて、他の人に教えないっていうのは?」

「菅沼さん、今は猶予期間だから何もしないけど、それは僕に「殺してください(・・・・・・・)」って言ってるのと同じだよ?」


 彼はそのようなことを話している彼女に向かって口調は変わらないが、声色を少し変え、冷酷さを併せ持った表情を作る。

 修の表情はまるで闇に墜ちた少年というくらいの悪人面(・・・)だ。


「ちょっと、怖いことを言わないでよ! しかも、悪人面(・・・)で!」

「そんなに怖かった?」

「すっごく怖かった! 吉川くんのこの表情で武器を向けてきて殺められると、あたしが泣くよ!」

「おそらく僕が人を殺める時はこんな表情をするだろうな……」

「もう、吉川くんったら!」


 麻耶が怯えている横でクスクス笑う彼が隣にいた。


「これからのテスト、頑張ろう」

「うん!」


 彼らの高校でははじめての中間テスト。

 果たして、範囲はこのあと発表されるのだろうか――――。

2017/09/20 本投稿


※ Next 2017/09/21 0時頃更新予定。

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