#40 表と裏 その1
【作者より】
今回は『私立白川大学付属高等学校生徒会・短編シリーズ(http://ncode.syosetu.com/s2032c/)』より、『逆ハーレム生徒会の日常 Final(http://ncode.syosetu.com/n8944dl/)』の内容を一部変更したものを投稿しております。
あれから何事もなくその日の授業を終え、修は週番日誌を職員室にいる佐藤に提出し、生徒会室へ向かっていた。
しかし、相変わらず女子生徒達が彼の姿を見かけては黄色い歓声を上げている。
修はその光景を見て溜め息をつきながら、興味なさそうに彼女らを横切りながら歩を進めた。
「そういえば、今日は何かあったような……」
彼の脳裏に何かが引っかかる。
修は忘却されていることを思い出そうとしているが、なかなか思い出せない。
1人で悶絶しているうちに生徒会室に到着。
「すみません。週番で遅くなりました」
「週番は仕方ないよね」
「お疲れ様です」
「お疲れー」
彼が生徒会室に入っってきた頃にはすでに政則以外の生徒会役員が揃っていた。
「さて、修クンもきたところだし、早速本題に入らせていただくとしよう」
「あのー……どうでもいいことを訊きますが、政則先輩は?」
雄大が本題に入ろうとした時に、修は学校内で政則を姿を見かけなかったため、雄大に問いかけた。
「政則クンは今日、学校を休んでるが……」
「そうだったんですか!?」
「一応連絡が入ってた。達也クン、今朝のメールを」
「了解」
達也は政則からのメールを彼に見せる。
「本当だ……ありがとうございます」
「そのため、これで全員だ。さて、話を戻させてもらうとしよう。今朝はいろいろとバタバタしてしまったが、今日は生徒会役員の募集の締め切り日だ」
雄大の言葉で修が今まで悶絶していたことを思い出された。
その日の放課後は新規の生徒会役員の募集の締め切り日だということに――――。
「最終的に修クン以外の新入生が入ってこなかったなぁ……」
彼はがっくりと肩を落としながら言う。
「そう言われてみればそうですよね。去年は私と木崎くんだけでしたし」
先ほど鈴菜が言った通り、修のような新入生役員の加入はもちろんのこと、在校生の中途加入もなかなか思うように人数は伸びなかった。
「鈴菜クンが入ってくれなかったら男子校状態だよ?」
「今もそうじゃないですか? 俗に言う「逆ハーレム」ですよ。逆ハーレム! もう女子は入ってこないのですか?」
彼女は机を両手で1度バンと音を立てて叩く。
「鈴奈ちゃん、それを言ったら終わりだよ?」
「女子が入ってこないのは仕方ないことだし、諦めるんだな」
「むぅ……木沢先輩に達也先輩まで……」
鈴菜はこの高校の生徒会で唯一の女子生徒である。
よって、この私立白川大学付属高等学校生徒会は正真正銘の逆ハーレム生徒会だ。
「そもそも、生徒会の仕事が問題なんじゃないんですか?」
「まぁ、他の学校ではあり得ないことだろうしね……」
「学生同士が裁くのは適さないし」
鈴菜の問いに聡と達也が答える。
この高校は学校行事の企画や生徒総会の運営等といった表の活動の他に「嘘を1度ついただけで生徒会役員に殺められる」という他校とは異なる裏の活動が存在するのだ。
「あの……質問したいことがあるんですが……」
修は少し申し訳なさそうな口調で先輩役員に問いかけた。
2017/09/17 本投稿
※ Next 2017/09/17 書き終わり次第更新予定