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#38 死後と連絡 その2

「――――失礼しました」


 聡は職員室に行ってみたものの、斉藤の姿が全く見つからなかった。


「職員室にいないということは教室に向かってるか生物準備室とかか……」


 彼は斉藤がいそうな場所(ところ)をぽつりと呟く。


「できるだけ早めに決着をつけないと……」


 これからショートホームルームが始まり、1限目も始まってしまう。

 それまでに少女の保護者に死去の連絡までを終わらせたい。

 そのような思いが彼に焦りを覚えさせる――。


 その時、化学準備室から平均的な身長で茶髪のロングヘアーをポニーテールにし、白衣を着た女性が姿を現した。


「あっ、斉藤先生!」

「木沢くん、どうしたの?」

「あの、ちょっと訊きたいことがありまして……」

「今はショートと授業が始まるから時間がないけど、緊急事態かな?」


 聡が申し訳なさそうに「ハイ」と返事をする。

 それを聞いた彼女は「緊急事態ならば仕方ないよねー」というしかない。


「こんなところだと難だから、生物準備室で話を聞くよ?」

「すみません」

「生徒会役員からの用件は一般生徒の絡みがあるからできるだけ生物準備室とかで聞くようにしてるの。少し散らかってるけどどうぞ」

「失礼します」


 彼らは生物準備室の中に入る。

 その時、部屋には幸いにも人の姿がなかったが、話を円滑に進むかは定かではなかった。


「ボクが斉藤先生のところにきたのは「連絡カード」のことで訊きたかったのです。それと……」

「それと……?」

「先生のクラスの生徒を1人(あや)めさせていただきました」


 聡は本題の「連絡カード」の(くだり)と合せ、今回の生徒の殺めを斉藤に報告した。


「えっ!?」

「証拠の映像は生徒会室にございますが、ご覧になりますか?」

「それはいいや。まさか、うちのクラスの生徒が今年度初なんだね? 残念だけど……」

「ええ。残念ながら……」

「話を戻すけど、「連絡カード」の原本は私が持ってるけど、そのコピーは生徒会役員に渡したはずだけど、まだ見てないのかな?」


 彼女は棚からリングファイルを取り出し、亡くなった生徒の「連絡カード」の原本をスッと差し出す。

 聡は「ありがとうございます」とそのカードを受け取った。


「もしかしたら、まだボク達が見ていないだけかもしれません。生徒会室に戻ったら確認してみます」

「今は親御さんに連絡をしておきたいでしょ? 連絡が終わるまで貸し出すから、あとで返却してもらってもいい?」

「すみません。本当にありがとうございます!」

「いやいやいいんだよ。あとで返してもらえればいいからね」

「ハイ、失礼します」


 聡は斉藤から受け取った「連絡カード」を手に生物準備室から2年C組へ急ぎ足で戻ったのであった。

2017/09/16 本投稿


※ Next 2017/09/16 書き終わり次第更新予定。

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