#33 明と暗 その1
修がクラスメイトと談笑を交わしたり、雄大と達也が生徒会室でモニターで監視をしている時、2階の2年生の教室で悲劇が起きた。
場所は2年C組――。
そのクラスも他のクラスと同様、生徒達がたわいない会話をしていた。
「ゴールデンウイーク、どこに行く?」
「あたしは映画が見たい!」
「今は何やってたっけ?」
「はぁ? 誰が一緒に行くって言った?」
「ち、ちょっと、生徒会役員に殺されるぞ!」
「ヤバッ……」
これから彼らの運命が明暗を分ける刻が刻々と近づいてくる――。
†
その場面を捉えた映像は生徒会役員のトップである雄大と達也の2人にモニターによって映し出されていた。
「達也クン……」
「今年度初の裁きの時間だな」
「さて、行くとしよう。場所は2年C組だな」
雄大はモニターのラベルを確認する。
一方の達也は「ところで、鈴菜達には言わないのか?」と彼に問いかけた。
「鈴菜クンや政則クンのがいる階だからおそらく、気がつくかもしれないな……」
「2人が遅刻しなければの話だろう?」
「そうではあるが……しかし、修クン達1年生が少し心配だ……」
雄大達は1年生である修達のことを気にかける。
しかし、今は呑気にしている場合ではない。
「一応、聡クンを通じて彼女らに伝えてもらう」
彼は制服のポケットからスマートフォンを取り出し、聡に電話をかけながら、武器を持ち2年C組に向かった。
†
同じ頃、聡は校門を潜ったところで、スマートフォンからバイブレーションの振動に気づいた。
「あれ、高橋くんからだ」
彼は人気のない場所に速やかに移動し、電話を出る。
「もしもし、高橋くん?」
『聡クン、おはよう』
「おはよう。高橋くんがボクに電話してくるということは何かあったということだね?」
『その通りだ。さっき、2年C組で事件が起きた。俺達は今からそっちに行く。聡クンは……まず、鈴菜クン達に伝えてからそっちにきてくれ』
「分かった」
聡は電話を切ると、急いで上履きに履き替え、鈴菜を探し始めた。
†
「鈴菜ちゃん!」
聡が鈴菜が行きそうな場所や教室などを手当たり次第、探し回っている。
「あれ? いない……」
徐々にいる場所が限られてくる中で、彼は彼女が今日は休学しているのだろうか? と頭を悩ませていた。
その時に鈴菜が所属するクラスである2年A組に顔を出してみた。
「教室に小笠原 鈴菜ちゃんって、いる?」
「ハイ、いますよー。呼んできましょうか?」
「うん、お願いね!」
聡は入口付近にいる女子生徒に声をかけ、「鈴菜、お客さんだよー!」と呼んでもらった。
「ハーイ! 何だろう、事件かなぁ?」
彼女は聡が教室に駆けてつけてきたので、驚きの表情を浮かべている。
「木沢先輩、どうしたんですか?」
「さっき、2年C組で事件が起きたんだよ」
「本当ですか!?」
「うん」
「さっきは何も音とか聞こえなかったような気がしますが……一応、2年C組に行かなければなりませんね……」
「そうだね……」
彼らは少し奥の教室へ早歩きで向かっていた。
2017/03/30 本投稿
※ Next 2017/04/01 0時頃予約更新予定。