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#32 連休前と闇組織へ誘おうとする者達

 桜が散り落ち、若葉が出始めた5月――。

 時が流れるのは早く、修達が入学してから間もなく1ヶ月が経とうとしている。


 教室にはすでに全体の約半数近くの彼のクラスメイトが登校しており、朝のショートホームルームが始まるまでの間、談笑をしていた。


「もうすぐゴールデンウィークだねー」

「そうだねー」

「予定とかは決まってるの?」

「私はこっそりバイトする」

「マジ!? いいなぁ。ところでこの高校ってバイトしてOKだっけ?」


 修は相変わらず学年を越えて集まっている女子生徒達の視線を送られながら教室に着く。

 彼は自席に通学鞄を置き、暑くて脱いだブレザーは椅子の背もたれにかけた。

 その時に触れていたのは「校則でアルバイトはしてもいいか?」という話。


「おい、バイトは校則で禁止されていることは生徒手帳とかに書いてあるんだが……あと、新入生オリエンテーションの時にも話していたし」

「吉川くん!」

「いつの間に!」


 その話をしていた彼女らは目を輝かしながら、いつ修が教室に着き、この話を聞かれているとは思っていなかった。

 教室の前などにいる他の女子生徒達は彼から挨拶(あいさつ)以外は話しかけられず、嫉妬している。


「じ、冗談だよ。ねえ?」

「そうそう」

「あー、今のは冗談ねー……今は猶予期間だから何も突っ込んだり、裁いたりはしないけど、猶予(その)期間が終わったら僕は冗談でも裁いちゃうかもしれないけどね」

「「それだけは止めてー!」」

「ああ、分かった。そのかわり今だけだよ?」


 彼女らからの熱い視線は修に向かって矢のように突き刺さってくるが、彼はその視線を気にせず平常心を保ちながら、いつも通りクラスメイトとの時間を過ごすことにした。



 †



 同じ頃の生徒会室では、雄大と達也がたくさんあるモニターのうち、修のクラスである1年B組の様子を見ている。


「おいおい、吉川ー。いくらなんでも「裁く(・・)」ってね……」

「修クンもそろそろこちら(・・・・)の仕事も教えなければならないな……」

「そう言われてみれば……」

「1年生も後期が始まる9月から猶予がなくなるわけし、俺達も学年問わずに殺めることができる……」

「そうだな……」


 彼らはその画面を見ながら、ニヤリと悪どい笑みを浮かべた。


「まぁ、吉川も最初は先輩達(自分達)に対して殺めることは気が引けるだろうけどな……」

「そのうちできるようになるだろう。政則クンや鈴菜クンもそうだったし」

「だな……」


 彼らは他のクラスのモニター画面に視線を移す。


 そして、今日もどこかで一般生徒(在校生)は生徒会役員によって殺められているようだ――。

2017/03/23 本投稿


※ Next 2017/03/30 2時頃予約更新にて更新予定。

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