#31 生徒総会後とノイローゼ その2
先ほどの女子生徒達の件はなんとか落ち着き、生徒会室前には誰もいない。
生徒会室の扉が開き、「遅くなってすまないな」と雄大が入ってきた。
「「かいちょー……」」
「高橋くーん、進路指導だったのー?」
「修クン、鈴菜クン、どうした!? あと聡クンも……」
彼は修と鈴菜、聡が少しくたびれているところに入ってきたため、どのような状況だったのかが分からない。
「実はね……」
彼がこれまでに起きたことを要点をまとめて話す。
それを聞いた雄大は「修クン、凄いではないか!」とくたびれている彼の肩を両手で掴み、前後に揺らした。
「僕、その話は聞いても嬉しくないです」
「それはなぜだ?」
「毎日のように先輩や同級生の女子にキャーキャー騒がれると気が滅入ってしまいますからね……」
「「キャーキャー騒がれると気が滅入る」なんてね……」
彼が修の肩から両手を離した時、達也がいつの間にか生徒会室に入ってきており、飄々とその話に加わる。
「「達也先輩、いつの間に!?」」
彼女らがあまりにもいきなりすぎて驚いており、彼が「雄大と同じくらいにきたんだけどねー……」とやれやれと肩を竦めながら答えた。
「達也クン、静かに登場するからなぁ……」
「それはどうでもいいや。話を戻すけど、吉川のファンクラブができてるらしいぞ」
「僕のファンクラブですか?」
「吉川くん、大丈夫ですよ。私もありますからファンクラブ」
「ボクも」
達也が修にこう告げると鈴菜や聡にもそのようなファンクラブが存在しているらしい。
やはり、時の人と呼ばれている生徒会役員というわけで会員数が意外と伸びているのではないかと彼は不安になる。
「僕は仕方ないと思いますよ。新入生の生徒会役員は僕しかいませんし」
「吉川、それではないんだよ」
「え? 違うんですか?」
「あちこちで「イケメン」とか「クール系男子」とか言われているぞ」
「僕は意識してないんですがね……」
修の知らないところでそのように思われているとは思っていなかった。
「私も思ってなかったです」
「そう言われてみれば俺も修クンといえば「唯一の新入生役員」だしな……」
「ボクもそうだと思ってたよ」
「まぁ、吉川にはそのようなことは気にしない方がいいかもしれないな。木沢や鈴菜みたいにいつも通りに」
先輩役員達にとって、彼は「吉川 修=唯一の新入生役員」という方程式が成り立っている。
「そうですね。いつも通りがベストですから。ね、吉川くん」
「ええ。僕の裏の顔を見せ始めるまではいつも通りの僕でいましょう」
修は自分のファンクラブのことは今は忘れた方が最善だと判断した。
あと数日で5月となり、1年生の猶予期間が終わるまでのカウントダウンが刻々と近づいていく――――。
修はこれからが本当の「闇組織」としての活動が始まるということを知る由もなかった。
2017/03/20 本投稿
2017/09/16 ルビの位置の修正
※ Next 2017/03/23 0時頃更新予定。