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#29 生徒総会本番と…… その2

 かなりの暇を(もてあそ)んでいた修は一般生徒と同様に睡魔と闘っていた。

 彼は「生徒総会(・・)」ではなく、「生徒議会(・・)」が忙しくなるのではないかとその時は推測。



 †



「続きまして、生徒議会に移りたいと思います。司会は引き続き小笠原 鈴菜が担当します。議長は本校の生徒会長の高橋 雄大さんにお願いしました」


 鈴菜のアナウンスで一般生徒(かれら)の目が覚め、講堂の中央に立っている雄大に視線を向けている。

 修は一般生徒がなぜ彼に向けられているのか分からずにいたが、よく考えてみれば生徒議会にも議題に対して質疑応答の時間があることに――。

 それに気づいてしまった修はいつでも動けるように準備し始めた。


「第1議題は新部・新同好会創設についてです。現在、この高校には40近くの部と同好会があります。そこに新たな同好会が作られることになりました。それは……「ダンス同好会」です! ――――」


 雄大が少しかしこまったような口調で話し続けている。

 修は質問者がいないかを探し始めていた。


「――何か質問等はありませんか? 挙手を願います」


 その時、2年生の女子生徒から手が上がっており、分かりやすいようにスポットライトが照らされている。

 これは気遣いなのだろうかと彼は思っていたが、それにしてもよく手早く見つかるなぁと思い、その生徒のところに駆けつけた。


「あ、あの……」

「ハイ?」

「こちらで質問等をお願いします」

「あぁ、ありがとうございます」


 挙手をした女子生徒は速やかに駆けつけた修のマイクを受け取る。


「2年C組の坪野谷(つぼのや)です――――」


 坪野谷と名乗った女子生徒は雄大に質問をし、彼が答える。


「あ、あの……ありがとうございました」

「いえ、僕の仕事だったりしますので。では失礼します」


 修と彼女が話している間に議会の採決が行われていた。

 採決の結果は3分の2だったため、可決。


 坪野谷は生徒会役員にこんなにイケメンな生徒がいたっけ? と思いながら彼を見送った。

 一方の修はいくつかの議題に対してどんどん増えていく質問等のためにマイクを片手に行動内を駆け巡る。

 これが先輩役員が経験してきた宿命ということを改めて実感していた。


「これは間違いなく、僕自身が死ぬよ……」



 †



 無事に生徒総会を終え、教室に戻ってきた修は机に突っ伏して眠りについていた。


「吉川くん? おーい、生きてる!?」


 麻耶が気持ちよく寝息を立てている彼の肩をツンツンと突っつく。


「あぁ……菅沼さんか……」

「ずっと探してたけど、どこにもいなかったからさ……」

「今までマイクを持って駆け回ってたし、質問してくる人は先輩ばかりだから、余計に疲れたのさ……」

「確かに先輩のところは余計に気を遣うからね……」

「学校から帰ったら、ゆっくり休んでね」

「ありがとうな」


 彼女は普段はニコリとも笑わないクールな修の微笑に胸がキュンとした。

※ Next 2017/03/2 4時頃予約更新にて更新予定。

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