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#25 放課後と生徒総会の準備 その2

 彼らが生徒会室に入ると、先ほどの楽しそうな話し声とは異なり、パソコンのキーボードを叩く音とプリンターの稼動音がしているだけ。

 鈴菜達以外の役員は真面目な表情を浮かべながら、黙々とパソコンで生徒総会の資料(レジュメ)を作成しているのだ。


「あれ? 確か、運動部の決算報告(やつ)、揃ってましたよね?」

「あっ、それはボクが持ってるよ。誰か演劇部の決算報告って受け取っている人ー」

「そういえば、自分はまだ受け取ってない。その締め切りはもう過ぎているのにー」

「演劇部ですよね? 今日のお昼休みにお預かりしました」

「「ありがとう!」」

「いいえ」

「各委員会の決算報告は全部終わっているので、誰か確認してください!」

「ハイハイ、政則クン。俺が確認するから」


 政則と聡、達也の3人は血相を変えて作業をしている。

 修はこんなにバタバタしている彼らを見て、来年はかなり大変になりそうだなと感じられた。


「そういえば、修クン。生徒総会は中学時代はあったかい?」


 政則から委員会の決算報告の資料を受け取った雄大が修に問いかける。

 彼は内心、えっ!? と思いながら中学時代の生徒総会がどうだったかを思い出そうとしてみた。

 しかし、生徒総会(それ)があったとしてもあまりにも存在感がなさすぎて思い出せない。


「あ、多分あったと思います」

「もしかして、記憶が曖昧(あいまい)かい?」

「ええ。まぁ……」


 最終的に修は彼の問いに対して、罰が悪そうに曖昧な回答を返した。


「修クン、俺は怒っているわけではないからね! 気にするんでない!」

「すみません」

「生徒総会は毎回(いつも)眠くなる時間帯だからなぁ……」

「ボクも分かるよ。確かに眠くなるよね」

「僕にとって、「生徒総会」は忘却の彼方へ行く時間帯です……」


 雄大が彼の両肩をポンポン叩いている時に聡がぐったりしたような表情を浮かべて彼らの会話に加わる。

 修の中では「生徒総会=忘却の彼方へ行く時間」。

 他の役員は彼らの話をうんうん頷いていた。


「修クン、今年はおそらく眠くならないと思うぞ」


 雄大が口角を上げてニヤリと笑う。

 一方の修は「ぼ、僕は当日、何をするのですか?」と彼らに問いかけた。

 鈴菜が「1年生の役員はマイクを持って講堂内を駆け回るだけですよ」といつもと同じく真面目な表情で答える。


「マイクを持って駆け回る、って……」

「在校生の質疑応答の時だけですが、挙手と同時にマイクを持って講堂内をあちこち駆け回る。もちろん私達も1年生の頃はやりましたよ? 木崎くん、そうでしたよね?」

「ああ。それは今までより1番大変だったなぁ……」

「す、鈴菜先輩も木崎先輩だったんですか!?」

「「新人役員の定番の仕事ですから(だからな)」」

「学生寮に戻ったらすぐに眠れました」

「俺も! おがすずもそうだったか!」

「ハイ」


 2年生である彼女らからその話を聞いた彼は生徒会役員どころか生徒総会は新入生が1番大変な仕事だと告げられたような気がした。

 現段階では生徒会役員の1年生は修だけのため、1人で講堂内を駆け回るには相当な体力を要する。

 彼はとてつもなくこの先が不安になりかけていた。


「僕以外に誰か入ってきてくれませんかね……」

「それは運次第ですね……」

「修クンが役員になってくれたこと自体が奇跡だったからなぁ……って、早く準備しなきゃならないのに、しゃべり倒してどうする!?」

「「す、すみません!」」


 彼らはバタバタと最終下校時刻になるまでの間、ある程度の資料作成とその確認作業をする。


「じゃあ、明日くらいに渡貫先生に資料の最終確認をしてもらってリハーサルをやってから本番に入ろう!」

「「ハイ!」」


 彼らはギリギリまで頑張って作った生徒総会の資料。

 その資料は渡貫に確認するために1部コピーし、確認してもらったあと、その前日に一気に印刷を印刷をかける。

 あれから、前日のリハーサルを経て、彼らは生徒総会の本番に挑んだ――。

2017/03/02 本投稿

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