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#17 可能と不可

 佐藤は自分が受け持つクラスである1年B組の教室付近で立ち止まっていた。


「……どうしよう……」


 彼女は生徒達に伝えなければならないことがある。

 それは先ほど渡貫に訊いてみた「委員会活動と生徒会役員の並行は可能か」という問いに対して彼は「新入生はまだ高校生活が始まったばかりだから、委員会活動と生徒会役員の両立は不可だろう」と言ったことを――。


「これは重要だから伝えておかなくちゃ。特に吉川くんに……」


 佐藤は「(そういえば、菅沼さんも気にしてたっけなぁ)」ということを思い出していた。

 いろいろと立ち止まって迷っていても授業時間が減ってしまう。


「もう、グズグズしても始まらない! みんなに素直に伝えよう!」


 彼女は迷いながら仕事モード切り替え、教室に入っていった。



 †



「授業を始めるよー!」

「起立、礼、お願いします!」

「「お願いします!」」

「着席!」


 佐藤が教室に入った時には生徒達はすでに自席に着いており、麻耶の号令で完全に仕事モード(それ)に切り替えた。


「さっきの授業で委員会を決めた時に「委員会活動と生徒会役員はどちらもできるか」という質問があったので、生徒会の担当の先生に訊いてみたんだけど……」


 彼女がそのことを切り出すと、生徒達の視線は一斉に修の方に向けられる。


「このことは重要だから、頭に入れておいてほしいことなの」


 そんな中で佐藤は彼の方に向けられた視線を前に戻させようとした。


「みんなはまだ高校生活が始まったばかりだから、委員会活動と生徒会役員の両立は不可だろう」と言っていました――」

「先生、質問があります」


 彼女は続きを話そうとした時、麻耶によって遮られてしまう。


「菅沼さん、何かな?」

「もし、今の時期に生徒会役員になる人はそれが専門となるということですか?」

「そういうことになるね。吉川くんは一応、委員会は図書委員となっているけど……どうする?」


 彼女の質問に答えた後、佐藤は修に話をふった。

 視線は再び、彼の方に向けられる。


「委員会活動と生徒会役員の活動ができないのは仕方がないところといった感じなんですね……」


 修の発言に他の生徒達はその答えを待つ――。

 数10秒くらい彼は黙り込んだ結果、「…………図書委員を辞退してもいいですか?」と答えた。


「吉川くんがそれでいいなら、いいよ。決めるのは吉川くんなんだから」

「分かりました。生徒会役員でお願いします」


 この件に至ってはようやく解決した。


 1週間後の放課後ははじめての専門委員会の顔合わせが行われることになる。


 生徒達は不安と楽しみが入り交じる中、その日を待っていた。

2016/12/25 本投稿



※ Next 2017/01/19 0時頃予約更新にて更新予定。

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