#15 委員会と生徒会役員決め その3
修は佐藤の可愛らしい文字で埋め尽くされている黒板をいろいろと悩みながら目を追っていく。
「(生徒会役員と兼任できるように委員会も考えておけということか……)」
彼の中で考えていたうちの3つ目である「生徒会役員をメインにする」という選択肢はなくなった可能性があるかもしれない。
しかし、佐藤から生徒会役員と委員会、どちらも入っても大丈夫なように決めておくようにと言われたのだ。
「うーん……」
「どうしようか……?」
「生徒会役員をやるとしたら、負担の少ないところがいい」
「まだやるか分からないじゃん?」
「そうだよな……」
学級委員以外は2~3人という制限がある中で修はもちろん、クラスの誰もが悩んでいる模様。
だんだん打ち解けてきた生徒達が友人同士で集まり、どの委員会に入るか話し合っていた。
そんな中、佐藤はニヤケながら「みんな、悩んでるねー」と思いながらその様子を見守っている。
その時、麻耶が彼女のところに近づき、「先生?」と声をかけた。
「ハイ、菅沼さん」
「学級委員をやってもいいですか?」
「もちろん! 実は毎年のように生徒会役員と学級委員が決まるのが遅いの。凄く助かるよ」
彼女らがこう話していると、他のクラスメイトがどこか安堵の表情を浮かべている。
†
あれから、委員会が少しずつ決まり始めた。
麻耶が修を巻き添えにしようとしたが、彼は丁重に断り、図書委員に入ることになった。
しかし、修の場合に至っては委員会は仮である。
佐藤から生徒会も委員会もどちらもやってもいいと言われたら、どちらも活動しなければならない。
また、生徒会役員を専門に活動してほしいと言われたら、そちらを中心に活動することになる。
そのことは生徒会の担当教師から聞いてからになるので、要は彼女次第なのだ。
†
委員会決めが終わったあとの休み時間……。
「ところで、吉川くんは生徒会役員でいいの?」
麻耶がペットボトルのお茶を飲んでいた修に問いかける。
彼は一瞬だけ吹き出してしまった。
「そ、そんなにあたしの質問がおかしかった?」
「おかしいも何も。僕は少しだけ興味があっただけだよ」
「なら、あたしと学級委員をやればよかったのに……」
彼女は修に断られてしまったため、少しショックを受けていた。
「菅沼さんはさっきの先生の話、聞いてたのか?」
彼はいつもと変わらないような口調ではあるが、声のトーンを落としているため、麻耶に恐怖心を与えている。
「……えっ……!?」
「聞いていなかった、みたいだね? もし、僕が生徒会役員がメインだとしたら、菅沼さんが大変になるよ?」
修は彼女に分かりやすく説明をした。
「確かにそうだよね。無理言ってごめんね」
「分かればいいって」
彼女らはまだまだ続くロングホームルームの前の休憩時間を雑談で盛り上がるのであった。
2016/12/15 本投稿