#13 委員会と生徒会役員決め その1
入学式と対面式が無事に終わり、いよいよ本格的に授業が始まると思いきや、授業ガイダンスやオリエンテーションみたいなものが何日か続いている。
新入生である1年生は少しずつ打ち解けてきており、新しいクラスメイトと楽しく談笑を交わしていた。
「みんな、席についてー。ロングホームルームを始めるよ! 今日の日直さん、号令をお願いします!」
チャイムと同時に担任である佐藤が入ってくると、彼らは急いで自席に着く。
「起立、礼、おはようございます!」
「「おはようございます!」」
「着席!」
今のところはまだ学級委員が決まっていないため、変わりに日直が号令をかけている。
「今日は今から委員会とか決めるよー。あからじめに考えておいたかな?」
佐藤は生徒達に問いかける。
しかし、彼らは「委員会?」「この学校にはどんな委員会があるのですか?」と彼女に質問をしてきた。
「そうだよね。この学校はどのような委員会があるか分からないよね……。あと何人までの制限がつくからそれも合わせて書いていくね」
佐藤は手にチョークを持ち、紙を見ながらカリカリと黒板に何かを書いていく。
その時、修はぼんやりと黒板の方を見つめていた。
彼女の可愛らしい文字がずらずらと並び、黒板を埋め尽くしている。
学級委員、保健委員、美化委員、風紀委員、広報委員、放送委員、体育委員、図書委員…………。
制限人数は学級委員は2名、それ以外は各2~3名ずつという制限。
そして、最後に書かれたものは「生徒会役員 最低1名」。
「委員会は1年ごとに変えることができるよ。毎年違う委員会でもいいし、3年間同じ委員会を続けてもいいからね」
「1年間ということはクラス替えも毎年あるんですか?」
「その通りだよ。この学校は毎年クラス替えがあるから、先生もドキドキ感があるよ」
修は「そうなのか……」と思いながら、黒板に書き記された委員会の羅列をじっと見ながらどうするかを考え始めていた。
すると、麻耶がスッと手をあげる。
「菅沼さん、何か質問かな?」
「ハイ。生徒会役員は委員会活動と並行で活動をするのですか?」
「そうだね……。生徒会専任の人もいるし、生徒会と委員会もどちらもやっている人もいるから、その点は少し曖昧なところがあるから生徒会の担当の先生に訊いてみるね。ところで、生徒会役員をやりたい人、いる?」
佐藤の問いかけに彼は黙って手を挙げて応えた。
「吉川くん、やってもいいの? まだ、募集期間があるからじっくり考えてもいいんじゃないのかな?」
「僕はまだ迷っていますが、役員をやることを視野に入れています」
修の発言に教室の空気が少しだけ凍りついた。
2016/12/01 本投稿