#11 入学式と対面式 その7
「続きまして、新入生代表挨拶に移ります。新入生代表、菅沼 麻耶さん。壇上へお上がりください」
「ハイ!」
麻耶が元気に返事をし、壇上に向かっている間に雄大以外の生徒会役員がそこから降りていく。
彼女が壇上に着き、彼と向かい合い、一礼をした。
「この度は私達新入生200名のために、このような会を開いていただき、ありがとうございます――」
麻耶は封筒らしきものから原稿を取り出し、新入生代表挨拶を読み上げ始める。
彼女の口調はどことなく落ち着いているようだった。
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新入生代表挨拶――
それは高校入試の時に成績首位者が行う学校が多いと思われる。
しかし、エスカレーター組と外部生が集っている私立白川大学付属高等学校はエスカレーター組の卒業時の成績首位者が行うことが伝統となっており、男女交互に新入生代表挨拶を行っていたという噂があった。
実際にその噂はそうでもないらしい。
なぜならば、昨年と今年は女子生徒がそれを行っているからだ。
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彼女の新入生代表挨拶を聞いていた修は「オイ!? 入学式前のあのマイペースさはどこへ行った?」と言いたくなるほど、ギャップがある模様。
一方の麻耶は早くそれを終わらせたいという気持ちがあったようだ。
彼女はたまに雄大の方を見るが、頬がだんだん赤く染まり、その度に「ギャーッ」と思いながら話している。
その理由は今年の生徒会長が男子生徒だからという単純なこと。
「――――――最後になりましたが、入学してまもない私達ですが、この私立白川大学付属高等学校の名に恥じぬよう、高校生活を楽しみながら日々成長できればと思います。新入生代表、菅沼 麻耶」
麻耶は最後まで顔を赤くしたまま原稿を封筒らしきものに戻し、表彰台に置き、最後に一礼をし、壇上を降りた。
鈴菜の「生徒会長挨拶」というアナウンスに合わせて、マイクの位置を調整を行い、雄大は麻耶と同じように封筒らしきものから原稿を出し、読み始めていた。
更新時間を送らせてしまってすみませんでした。
次回の11月24日は新連載開始に伴い、休載させていただきますので、あらかじめご了承くださいませ。
次回の更新は11月27日の2時予約更新にて更新予定です。
2016/11/17 本投稿