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ミドラディアス  作者: 睦月マフユ
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第5話「初バトル 強敵ブラッディオーガ」

 数分ほど走っただろうか。陸徒はようやく現場の門へと辿り着いた。ここに来るまでの途中、モンスターには遭遇しなかった上に周囲にもそのような気配は感じなかった。つまり、未だ町の中へは進入されておらず、門の外で食い止めている状態だという事だ。

 目の前には固く閉ざされた門があり、内側では兵士や術士と思われる者が数十名いた。


「陸徒さん!?」


 そこへ、全速力で走ってきた為に膝に手をついて息を切らしている陸徒に気付いたシェリルが真っ先に声を掛けてきた。どうやら彼女はまだ前線へ出ていなかったようだ。


「シェリル王女、良かった無事だったんだな」

「陸徒さんどうしてここへ? お城の地下に避難されたのではなかったのですか?」

「クレスタの爺さんがいないのに、ひとりで戦いに出てったって聞いたもんだから」

「そうでしたか。ご心配をお掛けしてしまい申し訳ありません」

「いや、いいんだ。それより戦況はどうなっている?」


 息切れが落ち着き、呼吸が徐々に通常へ戻ると、陸徒は改めて辺りを見回した。ふたりのいる閉じられた門の内側には騎士らしき人間は見当たらなく、門の外側から騒ぎ声が聞こえる。

 

「御覧の通り、今は魔術士前衛隊と、数少ない騎士が全員門の向こうで戦っている状況で、何とかキラービートルやゴブリンの雑魚モンスターは一通り殲滅させました。ですがモンスターのボスはブラッディオーガ。わたくしも戦った事のない恐ろしい相手がまだ残っています」


 やはり少ないながらも騎士は外側で戦っているようだが、全員とはどれだけの数なのだろうか。陸徒は、門の外で繰り広げられている戦いを想像しては、唇を強く噛みしめる。

 

「あの、陸徒さん。その手に持っている剣は……まさか!?」


 シェリルが陸徒の持っている剣に気付き、その姿を眺めていると、何かを思い出したように驚愕の表情へと変える。

 そして次の瞬間、門の外から大きな爆発音が聞こえた。目の前の門に強い衝撃が走り、門の材質の木の撓る音や鉄の軋む音が鳴り響く。その後、戦いによる喧騒が徐々に悲鳴へと変わっていった。


「な、何が起きたんだ!?」


―其は万物を遮る絶衝の壁―

魔防壁(エスタシルド)!」


 シェリルが何かを察知して咄嗟に術を唱えると、それに順ずるように周囲の術士達も一斉に同じ術を唱える。その瞬間、門が爆発を起こして砕け散った。

 間一髪のところで押し寄せる爆風を、施したバリアの術が防いでくれた事で、この場にいる全員が無事で済んだ。

 

「ふぅ、危なかった。シェリル王女が先駆けてバリアの術を張ってくれたおかげで助かった」

「いえ。ですが問題はここからです」


 陸徒の感謝に応えるが、その表情にはいつもの穏やかさはなかった。そして彼女の言葉の意味するものが、消えた門の向こうから姿を現したのだ。

 爆風によって立ち込めた煙の隙間から、真っ赤に染まった何かが見え隠れすると同時に、黒く巨大な影の輪郭が露わになっていく。それを確認するや否や、周りにいた兵士や術士達が恐怖を感じて騒ぎ立てる。


「あ、あれがブラッディオーガ……」

「何て大きさだ……」


 一度だけ吹き込んだ強風で煙がほとんど消え去ると、そこにはブラッディオーガと呼ばれる巨大なモンスターが佇んでいた。

 名前の如く全身を真っ赤な血の色の肌で覆い、人と似たような姿をしているものの、身長は3メートルを優に超えていた。ゴリラのような厳つい顔をしていて、鼻は豚のそれと酷似している。下顎が異様に突き出ていて、そこから2本の牙が目の位置にまで真っ直ぐに生えていた。

 血色の鬼は少しずつ歩みを進め、城下町内へ進行し始めた。


「こっちへ来るぞ!」

「おのれ、奴を町へ入れてはならぬ!」


 兵士や術士達は、士気を奮い立たせて恐怖を払いのける。そして一斉に鬼の元へ突撃を開始した。


「いけません、不用意に手を出してはっ! 隊列が乱れてしまいます!」


 警告するシェリルを無視……というよりも、彼らにはそれが聞こえていなかった。迫り来る恐ろしいものに立ち向かう為、大声を上げながら一心不乱に突っ込んでいったからだ。

 だが恐怖によって戦略が意味を成さなくなった結果、彼らは即座に全滅する事となる。


「そ、そんな……」

「嘘だろ。あんなに何十人もいた兵士や術士達が一瞬で……」


 陸徒とシェリルは、目の前で起きた惨劇に戦慄する。

 兵士と術士達がブラッディオーガに攻撃を仕掛けた瞬間、先ほどの門を破壊したものと同様の爆発が起こり、彼らを一瞬にして蹴散らしてしまったのだ。


「……くっ!」


 たまらずシェリルが前へ走り出す。


「おいシェリル王女! 一体どうするつもりだっ!?」

「ここでわたくしがブラッディオーガを食い止めなければ、町や城、民の方達がっ!」


 呼び止めようとする陸徒に、シェリルは必死で涙を堪えながら叫ぶ。

 彼女はアルファードに絶体絶命の危機が迫っている事の焦りと、兵士や術士達を助けられず見殺しにしてしまった事への悔やみで一杯だった。そこへ陸徒がすぐに駆け寄り、シェリルの肩に軽く手を乗せる。


「何自分ひとりで戦おうとしてんだよ。俺も手伝う」

「で、ですが陸徒さん――」

「分かってる。俺は戦いなんて経験した事ねぇし、あんな化け物も映画でしか見た事ねぇ。でもここで俺達が何とかしなきゃなんねぇんだろ!?」


 そう言って、陸徒は手にした大剣の柄を両手で強く握り、ゆっくりと持ち上げて構えた。

 

「陸徒さん……。分かりました、よろしくお願いします!」


 陸徒の言葉に諭され、シェリルも気を持ち直して右手に持つ杖を握り締める。

 ついにブラッディオーガとの戦闘が開始される。

 迎撃に当たっていた、陸徒とシェリルの2人以外の者が全滅。それほどまでにこの血色の鬼は恐ろしくも強敵である事は戦う前から明白だ。おまけに陸徒に至っては戦闘経験は皆無。シェリルも法術が使えるとは言え、戦闘能力はどれほどのものか不明だ。

 この戦いで、陸徒達が勝利する確率は存在するのであろうか……。


「さて、どう戦うべきか……」

「陸徒さん、避けて下さいっ!」


 陸徒が戦法を考察するのに数秒ほど敵から目を逸らしていたところへ、突然シェリルが信号を発してきた。

 その瞬間、目前に迫りくる炎の球を確認。慌てて右側へ飛び込むように回避する。


「うおっ、あっぶねぇ……」

「大丈夫ですか?」


 シェリルがすぐに駆け寄ってきて、陸徒がダメージを負っていないか確認する。彼の持ち前の運動神経が役に立ったのか、運良く回避出来たがほぼ紙一重だった。次にまた同じ手を出されては、上手く避けられるか自信はない。

 先ほどの炎の球は当然ながらブラッディオーガが放ったもの。陸徒が剣を手にする前に、城の天辺に直撃した炎の球もおそらく同じものであろう。

 相手とはまだ一定の距離を保っているが、このように遠距離攻撃をされてしまっては作戦を練っている余裕はない。


―其は炎熱を介さぬ朱橙の衣―

炎絶膜(ファイアシルド)!」


 唐突にシェリルが何かの呪文を唱えた。

 すると、彼女の持つ赤い宝石が付けてある杖から暖色の光が生まれ、陸徒の体を包み込んだ。


「な、何だ……これ?」

「簡単にご説明します。これで陸徒さんは炎が効かない体になりました」


 一瞬何の事を言っているのかと疑問符を出すが、陸徒はすぐさま閃いたような顔でブラッディオーガの方に視線を送る。考えている暇はない。攻撃あるのみだ。


「シェリル王女、援護頼むぜっ!」


 そう言って陸徒は、剣を構えて単身でブラッディオーガに突っ込んでいった。すかさず向こうも迎え撃つかの如く、炎の球を立て続けに放ってきた。

 反射的に避けようとするが、お互いの距離が縮まっている状態の為、避けきれずに炎が直撃してしまった。


「熱っ……ん、あれ? 熱くない。すげぇホントに俺、炎が効かない体になってる!」


 軽い感動も束の間。陸徒はブラッディオーガの攻撃の間合いまで詰め寄り、大きく振りかぶって剣を縦に振り下ろす。

 しかし血色の鬼は右手に持っている棍棒でそれを防いできた。金属同士がぶつかり合う高い音が鳴り響く。相手の武器も鉄製のようだ。当たればひとたまりもないだろう。


「だったらこいつでどうだっ!」


 陸徒は振り下ろした動作から、ぶつかった棍棒を撫でるようにそのまま剣を流した。

 そこから体勢を低くして、腰を捻るようにして体を半回転させて剣を横薙ぎに振る。

 ブラッディオーガは一瞬驚きの様子を見せるも、体を後方へ移して回避行動に出た。だが陸徒の素早い一連の剣捌きによって腹部を斬りつけられる。


「くそ、傷が浅かったか」


 陸徒の言葉とは裏腹に、その表情は驚きを隠せずにいた。自分自身でも理解し難いほどにこの剣を使いこなしていたのだ。まるで、昔から剣の使い手だったような感覚に囚われている。

 だが陸徒はこれで確信した。今ならこのモンスターと戦えると。


「これならいけるかもしれない」


 軽く呟くと、一旦相手との間合いを取る為に後方へステップする。血色の鬼も先ほどの攻撃で陸徒を並みの相手ではないと判断したのか、目の色が変わる。

 陸徒が剣を構え直すと、それが合図となり、同時に相手が棍棒を構えて飛び掛るように振り下ろしてきた。対し陸徒は剣を逆サイドから振り上げるようにして棍棒を受け止める。再び甲高い耳障りな金属音を出し、両者は互いの武器を擦り合わせながら一歩も動かない。

 

「うおぉぉぉっ!」


 陸徒はもう一度足腰を踏ん張らせてから、全身に力を入れて棍棒を弾き返す。ブラッディオーガはそれによろめく事なく次の攻撃に入る。今度は真上から棍棒を振り下ろしてきた。すかさず陸徒は防御態勢を取って、剣でそれを受け止める。

 さすがに真上から棍棒を振り下ろした渾身の一撃は強力だった。受け止めた振動が柄まで伝わってきて手に強い痺れを残す。陸徒は咄嗟に相手の腹部に蹴りを食らわす。始めに傷を負わせた場所を狙った為、血色の鬼は痛みを感じたようで、表情を歪ませて後ろに身を引かせる。

 後方にて援護の為に杖から弓に装備を換えたシェリル王女は、いつでも矢を放てる体勢を保ちながら、目を見開き両者が戦う光景に驚いている。おそらくその理由は、剣技を使いこなし、凶悪とされているブラッディオーガとまともに戦っている陸徒の姿を見ての事だろう。

 実際本人も驚いている。剣の構え方、振り方、技の基本動作一つ一つが体に染みついている感覚なのだ。剣技どころか、何故か腕力や基礎体力等も相応に強化されているようだ。

 しかし相手も知性はあるようで、ただ闇雲に攻撃してくるだけの巨体ではなかった。今度は至近距離で目の前にいる陸徒に対し炎を放ってきたのだ。


「だから炎は効かねぇよ!」


 陸徒は炎を避けずにそのまま直撃する。

 当然、術の効果でダメージを負う事はなかったが、この慢心が仇となる。


「陸徒さん、危ないっ!!」


 シェリルの声が聞こえ、それと同時に陸徒の真横を光の筋が過ぎ去る。その光を追うように正面に視線を移すと、目の真に真っ赤な拳があった。


「何っ!?」


 気付いた時既に遅く、ブラッディオーガの繰り出したパンチが陸徒の胸部に直撃。その衝撃で後方数メートル先へ吹き飛んでしまった。

 

「陸徒さん!!」


 シェリルが急いで駆け寄り、杖に持ち替えて呪文の詠唱を始めた。


―其は傷を癒すそよ風の調べ―

治癒(リカバリィ)!」

 

 術を唱えるとシェリルの杖の先が光り出し、それを陸徒の胸元に当てると、その光が彼の体を包み込んだ。すると忽ちに傷が消え、痛みが和らいでいく。


「シ、シェリル王女……これは?」

「癒しの術です。そのダメージでは完全とまではいきませんが、十分に体の傷は回復したはずです」

「確かに痛みがほとんど消えた。すげぇ! 法術ってのはこんな事も出来るのか!」

「はい、死者を蘇生させる事は出来ませんが、傷や体力の回復でしたら可能です。しかし陸徒さん、ブラッディオーガはとてつもなく力のあるモンスターです。また攻撃を受けてしまったら、わたくしが回復させる前に死んでしまうかもしれません」

「あぁ、身を持って実感したぜ。だが、これだけ回復すれば問題ない。もう絶対にやられたりしない!」


 陸徒はそう言って立ち上がり、剣の柄を握り締めて視線の先にいるブラッディオーガを睨みつける。相手も息を荒げながら攻撃の姿勢を見せている。


「今度はしっかりとわたくしも援護致します。陸徒さんは次で倒すつもりで攻撃して下さい」

「分かった。次の一撃で仕留めてやる!」


 陸徒は剣を構え、ブラッディオーガに向かって全力で走り出した。同時に向こうもこちらに突っ込んで来る。おそらくお互いこれがありったけの力を込めた最後の一撃となるだろう。

 陸徒は思い切りジャンプして空中で剣を振りかぶる。血色の鬼は対空の体勢を取り、右手で殴り飛ばして返り討ちにするつもりだ。


「やべっ! なーんてな、攻撃するのは俺だけじゃねぇぞ!!」


 その瞬間後方から光の矢が飛んできて、ブラッディオーガの左足に3ヵ所突き刺さる。その衝撃と痛みによって、鬼は膝を落として体勢を崩した。先ほど陸徒が見た光の筋の正体は、シェリルの放った矢だったようだ。

 そして陸徒は、そのまま全身全霊を込めて力一杯の渾身のジャンプ斬りを浴びせる。


「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


 叫びながら剣を振り下ろし、ブラッディオーガの脳天から真っ二つに斬り割いた。

 陸徒は着地し、即座に後方へステップする。暫時辺りが静止したかのような空気になり、その後ブラッディオーガは黒い煙を噴き上げながら消滅した。


「やりました! ブラッディオーガを倒しました。お見事です陸徒さん!!」


 弓を両手で握り、胸元で上下に動かしながら笑顔で勝利の喜びを表現するシェリル。その姿を見て、陸徒も徐々にその実感を噛みしめる。


「俺、やったんだよな。ブラッディオーガを……倒したんだよな?」


 彼は剣を地面に突き立てると、開いた両手を見ながら自分にしか聞こえないくらいの小声で呟く。そして手を握り締めて体中に力を込めて叫んだ。


「っしゃぁーっ!! やったぞ、俺達勝ったんだぁ!! シェリル王女、あの時ブラッディオーガの足を射抜いて隙を作ってくれてありがとな。そう思ってジャンプ斬りしたんだ。俺が考えてた戦法と合ってて良かった」

「いいえ、お礼には及びませんわ。しっかりと援護すると言いましたし。ですが、この状況は……」

 

 シェリルは言葉を止め、さっきの表情とは打って変わって悲しい目をしながら辺りを見回す。

 周りにはブラッディオーガに殺された兵士や術士、騎士達の無残な死体が転がっていた。凄惨な光景に俺も目を細ませる。


「この戦い、犠牲も多く出してしまったな」

「……はい」


 悲しみの光景を目に、彼らが俯いて佇んでいたところ、しばらくして城の増援部隊がやって来た。

 増援と言えど、戦力の殆どが先ほどの戦いで失われてしまった為、僅か5名ほどしかいなかった。


「シェリル様ご無事ですか! こ、これは一体……ブラッディオーガの姿が見当たりませんが?」


 増援部隊の隊長かと思われる人物が駆け寄って来た。


「こちらの陸徒さんが倒しました。他のモンスターも殲滅し、一先ずは助かりました」

「何とそうでしたか! 陸徒殿、我々兵を代表し感謝致します」

「あ、これは俺ひとりでやったわけじゃ―」


 そう言いながら陸徒はシェリルに視線を送ると、彼女は笑みを浮かべながら軽く頷く。その気持ちに応え、陸徒は言い掛けた言葉をそのまま伏せて、素直に想いを受け取った。


「我々は、生き残った者や逃げ遅れた民がいないか周辺を調査致します。シェリル様と陸徒殿は、城へ戻り王の元へ」

「分かりました。後は宜しくお願い致します」


 隊長に従い、一先ず陸徒とシェリルは城へ戻り、王の元へ件の戦いの報告をする事に。



 謁見の間へ戻ると、王が待ち焦がれていたようにふたりを出迎える。

 王は始めに、強敵であるブラッディオーガを討ちのめした事と、娘であるシェリル、そしてアルファードを救ってくれた事に感謝の意を示した。そしてすぐさま、陸徒の持つ巨大な剣に気付く。

 陸徒はこの剣を手に入れた経緯を、包み隠さず正直に話した。


「なるほど、そうであったか。とりあえずその剣はしばらく君が持っていなさい。剣士である身が武器を持っていなくては意味がないであろう」

「お父様、あの剣は……」

「良いのだシェリル。陸徒の為に使ってもらおう」


 王は、石の剣が本物に変わったという話を不思議に思う様子は特に見せなかった。寧ろ陸徒の話を真剣に聞いていた。

 しかし剣の姿を見た時は明らかに驚いている様子だった。そしてシェリルも、戦いの時この剣を見て王と同じ反応を見せていた。ふたりは間違いなくそれが何なのか知っているようだ。

 陸徒自身もその違和感には気付いているようだが、当時の彼は、城の天辺に飾られていた象徴的な物なのかという程度にしか考えていなかった。


「兎に角。後の事は我々に任せて、シェリルと陸徒はもう部屋へ戻って休みなさい」

「はい、お父様。陸徒さん、今日は本当にお疲れ様でした。ゆっくりとお休みになって下さいね」

「あぁ。ありがとう」


 こうして陸徒はそのままゆっくりと階段を上がって部屋へ戻る。

 中へ入ると一瞬その場に佇んでから、そのままベッドに倒れ込んだ。この行動は今日で2度目になる。

 陸徒は何かを忘れているような気に触れられたが、体が疲労の頂点に達していたのか、構わず目を瞑ると、瞬時に眠りに付いた。

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