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勇者道!  作者: 悪名
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魔王と破壊神

魔王の号令により、全魔王軍が集結した。

その数、およそ数千体と言った所だろう。

その全てがワンパンで沈むような、ザコモンスターだ。

どこの魔界から襲来したかは分からんが、俺の歴史にあってはならない、汚点とも言える集団だ。


とにかくだ、一番おかしいのは魔王だろう。


「オイ魔王」

「は、はい」


魔王は『プルンッ』と震えて答える。


「いちいち震えるんじゃねぇ!!」

「ギャアアアア」


左ジャブを魔王にお見舞いしてやる。

ファイナルなファンタジー世界の、ゴブリンすら倒せない威力で大ダメージかよ。


「す、すいません。ですが、自分スライムなんで」


魔王が『プルプル』と答えた。

かなりイライラするが、いちいち殴ってたら話が進まん。

この鬱憤は、鍛えた後に晴らす事にしよう。


「まぁいい。まず、何でお前が魔王なんだ?」

「は、はぁ。その、親の七光り的なモノとか。コネとかでなりました」

「魔王ナメんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!」

「ぬわーーーーーー!!」


七色に輝く張り手(ヒーロービンタ)』をお見舞いしてやった。

この魔王軍の全てが俺を馬鹿にしてやがる。


「というか、この弱さで『世界征服』なんて良く言えたモンだな?」

「すいません……我々の住んでた世界では、これでも最強だったんです」


そんな世界に送り込まれたら、俺は頭がおかしくなって死ぬだろう。

異世界からの侵略者なんてモンは、この世界では有り触れた存在ではある。

そして、それらの存在は凶悪にして強烈なのが当たり前だ。


逆に、俺たち勇者側から異世界の魔物討伐へ行く事もある。

命を落としかねない、危険な仕事だ。

だからこそ、俺の勇者道が輝くワケなのだが。


こいつらはありえねぇ。

こんな規格外の弱さを誇る魔王軍が居る世界なんてありえねぇ。

そんな世界、今すぐにでも滅ぼしてしまいたい気分になる。


「百歩譲ってお前が魔王でもいいよ」

「ありがとうございます」

「礼言ってんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

「ウゴゴゴゴ!」


閃光の関節(フラッシュエルボー)』をお見舞いしてやった。

この魔王は俺を馬鹿にしているのか。


「どう考えてもお前が一番、弱いじゃねぇかよ! それで他の連中は納得してんのか?」

「は、はぁ」


魔王の間に入りきらない程の魔物たちは、正座したまま沈黙していた。

その先頭の魔物に声をかける。

先ほどの裸の魔物にランクダウンしたアイツだ。


「お前は魔王がコイツでいいのか?」

「あ、あの。鎧を着ても良いでしょうか」

「いいわけねぇだろ空気読めカスがぁぁぁぁぁ!!」

「ブヒィィィィィィィ!!」


壊滅的手刀メテオチョップ』が脳天を直撃する。

裸の魔物が悶絶しているが、どうでもいい。


「で、お前はコイツが魔王でいいのかよ? お前の方が強いだろ?」

「も、もちろんです。魔王様のカリスマには敵いません」

「カリスマァ? アイツのどこにカリとかスマとかあんだよ?」


ただの液状をこじらせた謎の生命体だぞ。

こちとら、震える度にイライラするっつーの。


「魔王様は、破壊神様一族の末裔でございます故」

「お前らの世界の破壊神ってスライムなのかよ!?」


破壊を司る神と書いて『破壊神』だろ?

こんな不健康食品のどこに、そんなパンチ力があると言うのか。

溶かす事なら出来そうだから、『溶解神』とかの間違いだろ。


「いえ、魔王様はまだ真の姿に目覚めておりませんので」

「何だと!? あのスライムが真の姿になると、破壊神になるのか?」

「左様で御座います」


なるほど。

そうかそうか。破壊神か。

それなら……


「破壊神になってから来いやぁぁぁぁ!!」

「ぼひゅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


伝説のローキックレジェンド・オブ・ロー』を繰り出すと、魔王は遂に失神した。

こいつら、完全にふざけてやがる。

まぁでも、鍛えてやればそれなりの魔王軍にはなるだろう。

魔王に破壊神の資質があると言うのであれば、それに賭けるしかない。


「お前ら! 明日から地獄の特訓が待ってるからな!」


広間に声を張り上げると、魔物たちは顔を蒼くしていた。

絶対に逃がさねぇぞ。

鍛えて、鍛え倒して、俺がこいつらを最強の魔王軍にしてやる。


「あの、明日は鎧を着てもいいでしょうか」

「当たり前だろボケェェェェェ!!」

「ギャーーーース!!」


裸の魔物が最後まで天然ボケを炸裂させて来たので、とりあえず気絶させておいた。


「俺の寝床と晩飯を用意しろ! 明日の朝、もう一度ここに集合しろ!」


破壊神を目覚めさせる勇者が他に居るだろうか。

俺には聞いた事が無いな。

だがしかし。

俺の勇者道を汚したコイツらを、このまま壊滅させるワケにはいかない。

俺の手で破壊神を目覚めさせ、俺の手でボコボコにしてやる。

俺は決意を新たにした。

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