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第7話 エリス、一時的に人間化?

 透き通った水を湛えた泉の前。

 アルトが喉を潤そうとした時、腰のエリスが声を上げた。


「アルト! 止まりなさい! ここなら、私の『真の姿』を見せてあげられるわ!」


 アルトはエリスを泉の中へと放り込んだ。

 水飛沫が上がり、直後、泉全体が眩い銀色の光に包まれる。


 光が収まった後、そこにいたのは剣ではなかった。

 濡れた銀髪を背中に流し、透き通るような肌を持つ少女。


(剣が、呼吸しているように見えた)


「……エリス、なのか?」

「そうよ! 見なさいアルト、この完璧なプロポーションが!」


 エリスは泉から上がり、アルトの前で回った。


「……おい、足元。泥がついてるぞ」

「はあ!? 第一声がそれ!? 愛の告白の一つでもしなさいよ!……どうせ剣に戻ったら、そういうの全部なかったことにするんでしょ」

「いや、現実的に見て、服はどうしたんだ。その光の衣みたいなやつ、透けてないか?」

「な、ななな……何をジロジロ見てるのよ、このエッチ勇者! 死になさい!」


 実体化したエリスの平手打ちが、アルトの頬を正確に捉えた。


「……痛い。お前、人間になっても変わらないな」

「当たり前でしょ! ほら、この湿った髪を拭きなさい。それと、お腹が空いたわ」


 要求はさらに具体的になった。

 アルトは焚き火を起こし、干し肉を差し出した。


 エリスは一口食べると、顔を顰める。


「……固いわね。もっと、こう、口の中でとろけるようなお肉を出しなさい」

「贅沢言うな」


 夜が更けるにつれ、エリスの姿が少しずつ透け始める。


「……時間が来たみたいね」


 声が、少しだけ掠れた。

 彼女の姿が霧のように消え、再び一振りの剣が地面に横たわる。


『……ふん。あんたの寝顔、相変わらず間抜けだったわよ』

 脳内に戻ってきた声に、アルトは唾を飲み込んだ。


「……。……そうか。おやすみ」

 布で包み、枕元に置いた。

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