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「手紙を書こうと思った朝に」で始まり、「宛名のない封筒だけが残った」で終わる話

作者: たかのふ
掲載日:2025/10/14

ChatGPTに掌編用のお題を作ってもらいました

 ゆるゆると意識が浮上した。

 とても眠れないと思っていたのに――私は一つ苦笑を零すと、寝台から足を下ろした。

 分厚いカーテンに手を掛け、そっと持ち上げる。

 隙間から覗いた窓の外はまだ薄暗く、窓ガラスにびっしりと張った結露が指先を濡らした。

 殆ど熾火のような暖炉から火を取り、ランプに移す。 ティーテーブルを前に着ていたガウンの前を掻き合せると、インク壺とレターセットを用意する。

――お父さまへ、と書き出したのは良いが、そこから手が進まない。

 幼い頃に母が亡くなってから、父と二人寄り添うように生きてきた。 父は後妻を勧める声に耳を貸すこともなく、男手一つで領を守り私を慈しんでくれた。

――これからは

 これからは。 続く言葉に迷うペン先から、インクがぽつりと落ちた。 黒い染みが震えながら便箋に広がる。

 溜息とともにペンを置いた。 目尻を押さえながら部屋の奥に顔を向ける。

 仄かな火明かりの向こう、部屋の片隅に置かれた一体のトルソーは、薄い灰色のドレスに包まれていた。 朝日の中で眩い純白に輝くはずのそれは、亡き母が父の前で装った物。

 傷み一つなく手入れされたそれを着て、私は今日――

「お父さま……」

 書きかけの便箋をくしゃりと丸め、私はランプを手に立ち上がった。

 忍び足で部屋を横切りドアを開ける。 お父さまはきっと起きていると――困ったような顔をしながら私を迎えてくださると、そう信じて。


 開き掛けたカーテンの隙間から差し込んだ朝日が、小さなテーブルに残された白い封筒とその傍に一粒落ちた雫を優しく照らした。

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