“頑張れば何とかなる”って、誰が言い出したの?
妹は、歩けなかった。
子どもの頃の病気が原因で、彼女の足は動かない。
それでも、あの子は笑っていた。
机に向かって、一生懸命に勉強していた。
努力すれば、学べば、変われるって。
この社会は、そういうふうにできているって
私も、そう信じていた。
少なくとも――信じようとしていた。
妹の学費が、足りなかった。
コツコツ貯めたお金では、アカデミアには届かなかった。
——あの子は、努力していたのに。
だからこそ、私はあの子にチャンスを渡したかった。
条件は……良すぎるくらいだった。
でも、私はもう迷わなかった。
何を差し出してもいいと思った。
自分の価値なんて、とっくに使い果たしていたから。
ロフタの街で、私は契約した。
スキルも担保もなかったけれど、向こうは笑って契約を結んでくれた。
これで妹は学べる。
この世界を、信じたままで生きられる。
その未来が買えるなら、私はどうなってもよかった。
そう思った。
思い込もうとしていた。
ずっと、ずっと、ずっと。
——私の努力が、足りなかったのだろうか。
——もっと、何かできたんじゃないか。
「努力すれば報われる」社会の、その裏側。
この物語の続きを、本編でご覧ください。
▼本編はこちら
ヴェルシュトラ 〜スキル経済と魔導石の時代。努力が報われる社会で俺たちは絶望を知りそれでも、歩き出した
https://www.alphapolis.co.jp/novel/241607700/363949695