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2話 決行

話は約束の日の前日の夜明け前まで遡る。


ヴァデレトロ門前の広場で、その日の早朝、少年に話しかけている男がいる。

少年は本当に?と驚いた後、何度もその男のお兄さんから言葉を覚えて自分で繰り返していた。


じゃあね、約束したよ、と言って、少年は手を振って、片手に布袋を持って走って家の方に戻っていった。

その男のお兄さん、カイトは笑顔で同じく手を振って少年を見送っていた。


カイト「本当にあの少年、覚えてくれてるかなぁ。あの「ひょろガリのっぽ」はマストなんだよなぁ。」

そう独り言の様に言っていると、カイトの後ろから急に姿を現したノア(男)が、

「大丈夫ですぞ、オヤカタ様。爺は何日もあの少年を追っておりました。このフルツに生まれ住み、父親を亡くし母親が働いていても素直に一生懸命生きておられる様に感じられました。きっと明日は問題なく、こちらに来てくれますぞ。」


カイト「ノア爺が見てくれてるからそこは心配してない。ちょっと言葉がこっちで表現しない言葉だからね。ちゃんと伝えられるかなぁって、さ。」

ノア「心配なくとも誰かに見張らせておきます故、案じなさらずに。」


カイト「いよいよ、だね。皮肉だな。みんなと約束した日が明日だなんて。」

ノア「そうでございますなぁ。しかし爺はそれをもして、オヤカタ様の持ってる何かしらの運と縁なのではないかと感じまする。」

カイト「そうだね。運と縁か…。アイツ…、いるかな?」

ノア「どうでございましょうか…。偵察はしていますが、いないものと判断致しまする。」

カイト「そっかぁ。でもまずはアルダ砦をあの頃に戻さないと…。何より…、ちゃんと墓を作ってあげないと、さ。」

ノア「御意。準備はもう既に整っております。オヤカタ様の合図で全て。

パーティのお仲間達と離れるのは昼過ぎ、でございますな?」

カイト「まぁ、仲間じゃないけど。うん、そうだね。」

ノア「わかり申しました。それではまたその頃に。」


そういうと、ノアは音もなく闇に消えていった。


カイトはまだ薄暗い夜明けに、ヴァデレトロ門を見た。


(ミーユ。2年もかかってしまった。ちゃんと眠らせてあげるから…。)



その日の昼過ぎ。

カイトは自分のパーティにポーションの買い出しと称して宿屋から出た。


宿屋から広場までの道すがら


「予定通り。適当な時間に宿屋にポーションを置いといて。」


そう言うと、道のどこかから「御意」という声が聞こえ、その声の気配はまた消えた。


普段ヴァデレトロ門の横の通用道を通るには、ギルドで通行証を貰わないといけない。

明日は特別にそれは必要はないのだろうが、前日の今日はまだ通行証無くして向こうには行けない。


カイトはでも抜け道を知っている。

抜け道と言っても、崖を何十メドもよじ登り、門を横から飛び越えれば良いだけだ。

そんな事をする冒険者などいない。

誰も好き好んでそんな事をする冒険者はいないし、普通に通行証はギルドで発行してくれるからだ。

だが俺、俺達は存在を知られてはいけないから。


厄介なのは門の上の見張り隊。

バレたら怪しく思われる、というより怪しさしかないからだ。

だから結局、そこよりももっと高くよじ登り、見えないところから降りていくのだが、今日だけは駄目だ。

申し訳ないが、気絶して貰わないといけない。

ちょうど見張り隊が交代して約2刻(1刻ほぼ1時間)くらいの間で、見渡す限りの魔獣を倒し、見張り隊が気付けない場所まで進まないといけない。


カイトがそう思って崖を登っていると、待ち合わせの崖の一端に三人の男性と

二人の女性が待っていた。

朝に会ったノア爺さん。そしてノアの長男、ハム。次男のセム。

女性は魔人ゼレと獣人ジュノ。


ゼレ「主様。お持ち申しておりました。」

普通の人がここから落ちたら間違いなく死ぬような場所で、ゼレは何の躊躇もなくカイトに頭を下げた。

ハム「ミーユ衆。ここに揃いました。」

カイト「うん。じゃあ…、まずは2刻くらいの気絶で。みんな息ぴったりで宜しくね。」

ミーユ衆全員「御意。」


カイトの合図で、その崖から颯爽と落ちるように駆け下り、門上の警戒所に降り立つと、カイト含めた6人はほぼ同時に一瞬で一人2,3人の首根っこに手刀をあて、あっという間にそこにいる16人を気絶させた。

ハムは魔族領ではなく、フルツ砦の方へ駆け寄り魔笛を吹いた。

これは、普通の人間には全く聞こえず、また耳の良い獣人や亜人にも悟られない様に工夫された、特別な魔力を含む笛。

だからミーユ衆にしかわからない特別な音。

ただ、どうしても耳障りな音で、未だ皆慣れない。


ジュノ「なんとかこれも改良出来ないものですかね、主様ぁ?」

カイト「そうだね。ジュノは耳が良いから特にきついんだよね。ごめんね。」

ジュノ「ああ、いえいえ。そんなお気になさらずにぃ。」

ジュノは苦い顔をしながら答えた。


そう言うと、フルツの方から返し笛が鳴ってきた。


カイト「よし。行こう。」


そしてミーユ衆は門の横の崖を直ちにスムーズに下りていき、あっという間にヴァデレトロ門、魔族領側に参上した。


ノア「通行証は流石に今日は発行されておりません。作戦は明日ですからな。」

ハム「一人ギルドに付けております故、オヤカタ様、ご安心ください。」


カイト「うん。わかった。ありがとう。さて、みんな、準備は良い?」


カイトが目をみんなに配ると、ミーユ衆5人は相槌を打った。


カイト「俺が正面でゼレとハムは両側。俺とハム、ゼレの間の残った魔獣はノア爺とセムで。そして最後の殿はジュノ。ここから先の森を抜けるまでは止まらないし射ち漏らすな。」


ミーユ衆全員。「御意。」


カイト「今日は砦までの魔獣の魔石は一切要らない。明日までなら死体は保ってくれるから大丈夫。殲滅だけを最優先で。」


ミーユ衆全員。「御意。」


カイト「まずは森を抜けるまで。…、じゃあ行こう。」


カイトはそう言うと、目にも止まらない速さで森の中へ入りながら、両手にそれぞれ短刀を持ちながら瞬く間に魔獣を斬り倒していく。

ゼレとハムも同じようなスピードで両側に進み、魔獣達をいともたやすく殺していった。

ノアとセムはそれから少し遅れながら、尚且つスピードを少しばかり緩めながら、3人の射ち漏らした魔獣を丁寧に残らず狩っていった。

ジュノはさらにその後、目にも止まらぬ速さで全体を走り抜けながら魔獣の死体を確認しながら進んでいった。


カイトはまさに縦横無尽に、もの凄い広い範囲を稲妻の様に駆けては何十匹もの魔獣を倒していった。

それは両側を担当しているゼレ、ハムとは桁違いに凄まじく、背筋が凍るほどの強さであり速さであった。


森を抜ける途中、ノアは

(最早オヤカタ様はミーユ様レベルにまで達しておるのではないか、いや、もしかしたらミーユ様を凌ぐかもしれませぬな。恐ろしい恐ろしい。)

そう思いながら丁寧に残魔獣の息の根を止めていった。


どれほどの魔獣を倒しただろうか…。おそらく今日、この森の中は魔獣の死体で埋め尽くされるのであろう。


1刻ほど過ぎたあたりだろうか、片側のゼレが森を抜けて中央にきた。

カイトの姿は見えない。

それから間もなく、反対からハムもやってきた。


ハム「ゼレに負けるとは…。まだまだ修行が足りんな。」

ゼレ「私に勝とうなんて100年早いわ。」

ハム「お前が言うと、その100年が本当の100年に聞こえるから怖いわ。お前に勝とうと思ったら、俺はとっくに死んでるよ。お前に勝つのはイサクだな。」

ゼレ「イサクはまだひよっこだぞ。お前は息子を甘やかせ過ぎだぞ。もっと主様を見習わせろ。」

ハム「オヤカタ様の何を見習わせるのだ?誰もあんな真似は出来んぞ。」

そう言ってハムは笑うと、ゼレも笑った。

「そうだな。主様はだからこそ私の主様なのだ。」


二人が話していると、上からカイトがおそらく木の上からであろう、飛び降りてきた。


カイト「二人とも、早かったね。」

ハム「オヤカタ様が異常なのですよ。」

カイト「そうかなぁ。」

ハム「そうやって無自覚なのが恐ろしいです。」

ゼレ「主様。私はどうでした?」

カイト「ゼレはもっと早いと思った。だって本当は俺よりも強いはずだから。」

ゼレ「ええ?、そうでしょうか。」

そう言ってゼレはウキウキしていた。

ハム(オヤカタ様の無自覚はこういう言動もですぞ。)


カイト「ノア爺とセム、そしてジュノが来るまで二人はここで休憩を。あの三人にもここへ来たら休憩させて、君達が警戒を。」

ハム「御意。」

ゼレ「主様は?」

カイト「ここから当分平原だったから上から見てたんだけど、まだまだ結構いるね。ざっと1000くらい。でも弱そうだから、全部倒してくる。」

ハム・ゼレ「え?」

「もう門からは見えないだろうし。のんびりって訳じゃないけど、砦にどんなのがいるかわからないから、皆には少しでも休憩しといてもらわないとさ。」

ハム「なんと…まぁ…。」

ゼレ「ゼレもお供します。」

カイト「良いよ、良いよ。大丈夫。俺まだ疲れてないから。」


そう言うと、カイトは走り出し行ってしまった。

ゼレ「ああ、もう。」

そう言ってぶすくれた。

ハム「まぁそう言うでない。戦いはこれから。きっとお前も俺も役に立つときがくる。今はしっかり休もうぞ。」

ハムはそうゼレに言い、ゼレはもう見えなくなったカイトを見つめていた。


またそこから1刻くらい経った後、ノアとセムがやってきた。

そしてそれから間もなくジュノも合流した。

ハムとゼレは事情を話しカイトの指示通りにしようとしていた。

ノア「それにしてもタフなお方ですな、オヤカタ様は。爺は少しばかり休ませていただ…」

魔笛がカイトの行った先から聞こえてきた。

セム「噓でしょ?まだ行って1刻くらいって…。」

ノアは大声で笑った。

セム「オヤカタ様。本当は100匹くらいなのにちょっと嘘ついたんじゃないのか?」

ゼレ「主様が嘘つく意味は?」

セム「…、ありま…せんね。ハハ。」

ハム「親父殿。どうされますか?我々が先に行き親父殿達は一旦ここで休まれますか?」

ノア「いや、先に合流してからオヤカタ様に決めていただこう。まだまだ儂も走れるわい。セムもジュノも当然行けるぞな?」

セム「もちろんです。」

ジュノ「はいな。」

ハム「それでは。」


そう言うと、ハムは独特なリズムで魔笛を吹いた。

カイトからの魔笛で、一旦全員合流になった。


ハム「それでは行きましょう。」


5人は平原を一目散に走り出した。

早々に魔獣の死体があちこちに転がっている。

行けば行くほど死体の数はみるみる増えていった。

走りながらセムは

「むしろこのままだと、1000じゃ足りないんじゃないか?」

ハム「オヤカタ様はいつも我々を心配させないよう配慮していただいてるからな。」

セム「それにしても…。」


圧倒的な魔獣の死体の数々。

走りながらハムは

(あの2年前の惨劇の頃から、こんな短期間でこれほどとは。)


走る事10時(とき。ほぼ10分)、カイトは流石に座っていた。

ハム「オヤカタ様。大丈夫でございますか?」

座っているカイトにハムは心配した。

カイト「いやぁ、思ったよりちょっと多くてさ。まいったまいった。」


カイトの周りには、魔獣ワーウルフが100匹ほど死んでいた。

ノア「ワーウルフとは…。これはいささか気を引き締めていかんと。」

カイト「そうだね。ここにワーウルフがいるとは思わなかったよ。

ワーウルフ自体は強くないけど、仲間をどんどん呼ぶからね。最初からいたから、どんだけ増えるんだろうって思っちゃったよ。

一旦ここで全員で休もう。ノア爺もセムもジュノも申し訳なかった、ちゃんと休ませてあげられなくて。」

ノア「いえいえ、爺もまだまだ頑張らなければ。ようやくミーユ衆も人が増えてきました。ハムやセムだけに任せられませぬ。」

セム「親父殿。あと何年生きるおつもりですか?」

ノア「さてさて。セムがハムの様になるまでは後悔が止まらんて…。」

セム「ええ!」


一同が笑い合う。



輪になって座っているミーユ衆6人。


カイト「ここから数キーロ先の【翼の丘】を越えたらアルダ…。」

ノア「はい。そうです。が、何か?」

カイト「森にいたのはほとんど低級な魔物。で、森を抜けたら今度は低級魔獣。しかもここにはワーウルフ。でもここには特に何かあるようには見えない。少し、おかしくないか?」

ノア「と、言いますと?」

カイト「2年前のあれが起きた時、有象無象の魔獣魔物が押し寄せてきてた。ミーユ達5人が最後は翼の丘でほとんどの魔獣を食い止めてた。

あれから2年、あの時の影響は無いと思う。ここまでは?」

ハム「間違って無いと思われます。」

カイト「でもフルツからここまでは、魔物も魔獣も正直弱い。1月前までこんな弱いのばっかりだったかな、と。」

ハム「確かに。ワーウルフも普通に森にも普段はおりましたが、今日はおらず、しかしこちらで集まっていて。他の魔獣も、オークやコボルトもみあたらない。1月前までは、もう少しまばらにいましたね。」

カイト「そもそも、もし【アイツ】が砦に残っていたら、というか、わざわざ砦を奪ったんだ。そしたら普通、フルツまで行くっていうのが定石のはず。」

ノア「そうでございますな。」

カイト「でも、そうじゃない。【アイツ】はあっさり引き下がった。目的はフルツじゃなかった。」

ゼレ「主様、どういう事でしょうか?」

カイト「いや、なんて言うか…、でも今のこの魔獣魔物の配置って、人為的でありながら、ちょっと弱いというか迫力がない、というか…。」

ジュノ「益々わからないです、主様?」

カイト「魔獣側に立って、アルダからフルツを見ると、最前線の森に弱い魔物、で、ここには弱い魔獣とワーウルフ。でもワーウルフが固まってここにあれだけいるっていう…例えば食べ物とか水とか、何か魔気が溢れてる場所もない。つまり人為的。誰かの指示によって配置させている、感じ。」

ゼレ「確かに。」

カイト「で、実際俺達は想定以上に楽にここまで来れている。俺達が強いかどうかは置いといて、6人で簡単に、だ。」

ノア「おびき寄せられてる、と?」

カイト「うん。もしこれが俺達じゃなかったら…。人類側の軍隊とか冒険者パーティだったら、一気呵成にアルダに向かうんじゃないかなって。」

ハム「なるほど。確かに。」

セム「それではじゃあ、アルダ砦にもの凄い強い魔獣がいて、そこで人類側に大ダメージを負わせる、という事でしょうか?」

カイト「それも考えたんだけど、それにしてはここにいる魔物魔獣が弱いっていう事。もし、強い魔獣がアルダにいるなら、もう少し戦力が強くないと、じゃない?」

ノア「もしもオヤカタ様のご想像であるならば、おびき寄せる為の罠の為、とも考えられまするが…。」

カイト「それはゼレに聞きたいな。ゼレは魔人だから。魔人達というか、魔獣の心理みたいなものもわかってると思うんだ。魔獣って、そんなに人間ぽい?」

ゼレ「…。魔獣は人間的に言えば、見栄というか自尊心というか、己の力を誇示する傾向にあります。主様の仰る通り、もしもアルダに強い魔獣がいるなら、もっと戦力を誇示するものか、と。」

カイト「ありがとう、ゼレ。」

ゼレ「はうっ。」

呆れるノア、ハム、セム。嫉妬するジュノ。

カイト「つまり、アルダは捨てても良い。だから、きっと、アルダにいるのは強いゴブリン系、ある程度の知性は持っていながら野心的。彼らはアルダからフルツを取りにかかる事で力を誇示したい。でも所詮はゴブリン。だからそれを指示した「上」がいる。

アルダは多分、砦に大きな仕掛けがあって、ゴブリンはそれを知らない。

もしも人類の大軍がアルダを奪還して大勢賑わった時、アルダもろとも吹っ飛ばす、…みたいな?」

ハム「納得できます。オヤカタ様、何故ゴブリン系だと?」

カイト「惨劇以来、人類側がかなり警戒してるから、魔族領に人が少ない。魔獣の中で一番騙しやすく、人間を欲してるのは?って考えたのと、ここの死体のほぼほぼはゴブリンだったから。ゴブリンは…、人族大好きだから、ね。」


ワーウルフ以外の死体のほとんどが向こうに見える緑色のゴブリンだった。


ゼレ「どんな仕掛けがあると?」

カイト「爆発魔法陣系。もしくは…。」

ハム「その「上」とは?」

ノア「おそらく【あヤツ】じゃろうて。」

カイト「うん。【アイツ】だ。【ティマス】だ。」



魔族領ヤマラにある城。


暗闇の中玉座に座っている魔人ティマス。

血の入った魔獣の頭で作られた器で血を飲んで、つまみのように魔核をボリボリ食べている。


そこに近づく犬型魔人ハマス。


ハマス「ティマス。貴様の玉座ではないだろう。退け。」

ティマス「ハマス…か。お前の席でも無かろうに。」

ハマス「そこは魔王様の玉座、そうでなければ3大公の何方かの玉座であるぞ。」

ティマス「別に俺達で任されてるんだから、言いっこ無しだろうが。って3大公ねぇ。お前のボスは入ってねぇのか。」

ハマス「私の主様は魔王様だけだ。魔王様に言われてあの場所を守っているだけだ。」

ティマス「魔人のくせに何を守るって?笑っちまうなぁ、おい。」

ハマス「早くそこを退け。さもないと…。」

ティマス「へい。へい。」


そう言って玉座から立ち、玉座の後ろの窓際の方へ歩くティマス。


ハマス「ところで貴様の任務はどうした?人族方面であろう…。」

ティマス「ああ、それなんだが…。なんか気持ちが入らなくてよ。」

ハマス「貴様こそ、魔人であろうが。そういう戯言は力のない者が言う言葉だ。」

ティマス「まぁ、そう言うな。待ってんだよ。」

ハマス「何を待っている?」

ティマス「俺の獲物を奪ったガキが、自惚れて中途半端に強くなったと思い込んで、俺に刃を向けるまでな。」

ハマス「どういう事だ?」

ティマス「まぁ…、こっちの話だ。ちゃんと考えてるさ。人族攻略だろう?魔人の俺にしちゃあよ、ちっぽけな魔核ン中で考えてよ。

アイツら亀みてぇに首引っ込めてるからよ、ちゃんと餌上げないと出てこないってなぁ。」

ハマス「我はティボ様に言われてきただけだ。伝えたぞ。」


そう言って、早々に居なくなったハマス。


居なくなってからまた玉座に座ったティマス。

「あの小僧、許せねぇ。俺のミーユを。」


そう言って血の入った頭の器を握力で砕き、中の血が散らばった。

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