世界の中の迷える仔羊
私、孤取もみじ。
今日から、この花型学園に通う中学一年生!
小さい頃から、この学園に通う為に、たっくさん努力してきた。
花型学園とは、由緒正しき令息令嬢学園。
貴族ならまだしも、普通の庶民なら、相当な努力をしないと入れない。
私は普通の庶民だから、幼稚園の頃から親に言われて、勉強してきた。
「ワクワクしちゃう!」
あ、思わず声に出ちゃった。皆がじろじろみてくる。
ゴメンナサイ。そんなつもりでは、、、、、。
でも、花型学園にも受かったし、今日は電車の中に、可愛い赤ちゃんがいたの!
ニコッと微笑んだら、キャハハと笑い返してくれた。
今日もいいことありそう!
って思ったんだけど、なんで席がこの学園でもトップに輝く財閥の御曹司の隣なの?
こわいこわい、、、、。近くの婚約者さんが睨んじゃってるじゃん。
今日は友達作ろうと思ったんだけどなぁ、、、。
黄色とオレンジの百合が綺麗に、鮮やかに、咲いていた。
私は、その花に、また、「みいられた」
〜次の日〜
やばいやばい、、、。
いじめ、、?いや、でも、大丈夫!
ただノートを破かれただけ。靴に画鋲も入ってなかった。
まぁ、画鋲なんて、怪我しちゃうから、この学園には無いと思うけど。
なんて陰湿なんだろう。拳で語り合う?みたいなことすればいいのに。
〜またまた次の日〜
どうしよう、、、エスカレートしちゃってるよ〜。
いま、御曹司の婚約者とその手下、、、ううん、取り巻き達と、
修羅場になっちゃってます、、、、。
「貴方がわたくしの幸せを壊したのよ!あの方、貴方の事になると、
頬を染めて、幸せそうに話すのよ、何故色目を使うの?」
婚約者が、熱弁する。えええ、、、。そう言われても、知らないけど。
一人で何も答えずじっとしていると、婚約者が殴ってきた。
ええぇ、いたぁい。昨日考えた事、当たっちゃったよ、、、。
それから、私へのいじめは、段々、、というか、すごくエスカレートしていった。
教室に入ると、ぐちゃぐちゃにされた私物。見たくもない言葉を書かれた机。
それが当たり前になっていて、誰も声を掛けてくれない。御曹司でさえも。
私は、一人で泣いた。だけど、泣いた顔を見られたくはなかったから、
携帯を取り出して、目が腫れてないか、カメラ機能を使って確認した。
そして、誰か慰めてくれないかなと、インターネットに入って、疲れを癒して貰った。
まあ、目的は、それだけじゃ無いんだけどね!
〜その次の日〜
私は、見事、体育館の(絶対コレ体育館じゃない!大きすぎ!)表彰台に登っていた。
理由は、インターネットで、花型学園の良い所と、自分の書いた作文を
発表したから、だ。
今日は、それを読む事になった。
「せんせいたちはやさしいです。分からないところが、私には
いっぱいあるけど、カバーしてくれました。これからも
とてもお世話になりますが、よろしくおねがいします。
きっと、間違えることもあります。だか
らこそ、いっぱい、いっぱい、
いっぱいみんなで努力していきたいです。」
我ながら、文章、下手だなぁ。文字の構成とか、、、。
あれ、みんな青ざめてる?あ、この後ろのスクリーンに映し出された写真?
これはね、私の机。もう原型を留めてないんだぁ。
ねぇ、みんな、どうしたの?知らないふりしてよ、嘘が下手だね。
今ザワザワされても、困るんだよね。
私の長かった髪を返してよ。親に貰ったもの、返してよ。
全然綺麗な花の型にはまってない。
全部奪っといて、それはないじゃん。ねぇ?
啜り泣く女子。顔が強張る男子。崩れ落ちた御曹司の婚約者。
いま、これは、私の手によって、密かに世界中へ配信されている。
勿論、これは、私達の所にも、配信されてる。
惨めだなぁ。いい気味だなぁ。
まあでも、可愛そうだから慈悲を与えなくっちゃ。
「さようなら。今までありがとう。」
そう言った途端、急に令息令嬢達の顔や肌が、ピキピキと割れ始めた。
悲鳴が上がる。
いつも、物語の最後に死ぬのは、被害者。でもね、ここは、、、。
ここには、私達如きには敵わない私達が有るんだよ。
残念だったね。脇役さんたち。死んでいくのはこっちじゃ無い。そっちだよ。
ほら、体育館の中の人達が、ガラスみたいに割れてった。
体育館も、壊れてく。
世界が、崩れてく。
鮮やかな百合と、私が残ったまま。
私は、花に魅入られた。
花と一緒に、「いつも」のように
輪廻の歯車を、また新たに世界を廻していく。
お読みいただき、ありがとうございました。
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