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恋人たちの四重奏  作者: ひろきち
1年目
15/16

第13話 夏とバイトと

夏休みに入って数日が過ぎた。

一応休みではあるけど、バスケ部の練習などで結局毎日の様に大学には顔を出している。

今日も午前中部活で汗をながした後、藤原達と図書室で課題の調べ事だ。


「健吾君・・・私疲れた・・・もう無理。眠い」


隣の席に座って資料を見ていた楓が俺の肩に寄りかかりながらつぶやいてきた。


「今日の練習。特に女子バスは結構ハードだったもんな・・・」


俺は楓の頭をそっと撫でながら答えた。

頭を撫でてやると楓は気持ちよさそうにしている。

ほんと、今日の練習はいつもにも増して厳しかったもんな。


「でも、今日の雫先輩っていつも以上に厳しくなかったか?」

「うん。何だか話しかけづらったもん」


前の席に座って参考書の山と格闘していた藤原と森田さんが話に加わってきた。


亮兄含め4年生は就活で忙しく最近は部活に顔を出すことも少なくなったけど既に某大手企業に内定確保済の雫姉は継続して女子バスのコーチとして部活に参加している。ハイスペックな人はやはり違うんだな。

でも・・・


「・・・昨日さ亮兄と喧嘩したみたいだから気が立ってんだと思うんだよな」

「牧村(亮)先輩と?いつも仲良さそうにしてるのに何で?」

「・・・露が雫姉に買ってきた限定プリンを亮兄が食べちゃったらしくてさ」

「「プリン?」」


呆れ顔の藤原と森田さんの声がハモった。

まぁ・・・だよね。


「そ。ほんとにどうでもいい理由なんだけどな。。。亮兄も平謝りで」


露曰く実家の近所にある洋菓子店の限定プリンで1日数個しか販売されない希少品らしい。露が実家に顔出しに行ったときたまたま1つ残ってて雫姉に買ってきたとの事だった。雫姉の大好物らしく。


「まぁ亮兄が朝一で新しいの買いに行ったみたいだし、ちゃんと買えてれば明日の練習には機嫌も直ってると思うけど・・・基本あの2人仲いいし」

「・・・そりゃ女子バスは災難だな」

「でしょ。ほんと亮兄のせいで・・・」


え!?

八つ当たり的に厳しく指導した雫姉じゃなくて、プリン食べた亮兄が責められるとこなのか?

ちょっと亮兄に同情するわ・・・





 --------------------------------

というわけで、楓がお疲れ気味ということもあり区切りの良いところまで課題を進めた俺達は早々に勉強会を切り上げて帰路についた。


藤原と森田さんはこの後、笹原達と会う約束があるとかで川野辺駅前で別れた。

1人暮らしを始めた笹原の家に遊びに行くそうだ。

笹原とは高校の卒業前に会ったのが最後だけど元気にしてるのかな。

何となく懐かしく思いながら、一旦家まで楓を送りバイトへと向かった。




塾講師のバイトは既に何回か行った。

最初の頃は初対面の子とのマンツーマン指導に戸惑いもあったけど、慣れてくると会話もスムーズになり自分なりには上手く指導で来てるんじゃないかと思えるレベルになって来ていた。

この塾では生徒の要望に近い講師を塾側がアサインし、個別指導を行う方式なんだけど、気に入ってもらえると生徒から指名されることがある。

嬉しいことに最近は俺も楓も指名してくれる子が出来たんだよな。

本当ありがたい♪

今日も俺を指名してくれた子の指導だ。


「田辺先輩♪ここどうすればいいんですか?」

「あぁこれはね・・・」

「あ、なるほど~。先輩の教え方って凄くわかりやすいです♪

 学校の先生より上手いかも」

「はは ありがとう」


川野辺高校に通う森里由香里ちゃん。

今は2年生で志望校は俺の通う川野辺大学。

人見知りするタイプなのか最初の内は彼女も緊張した感じだったんだけど、俺が川野辺高校の卒業生で川野辺大学に通ってるって話をしたら、色々と話をしてくれるようになった。

それに

"彼女さんとか居るんですか?"

って前に聞かれて、楓の事を話したら

"小早川先輩の彼氏さんなんですか!!"

って驚かれてしまった。

相変わらず楓は地元女子からの人気が高いらしい。

ちなみに妹の紅葉とも同じクラスだとか。

楓も講師をやっていることを話したところ、最近は俺や楓を指名してくれるようになったんだよな。

ちょっと天然なところもあるけど素直で覚えも良いし良い生徒だ。

ちなみに結構見た目も可愛いので"健吾君大丈夫だよね?"と楓から睨まれたけど今ではすっかり楓とも打ち解けて仲良くやっている。

っていうか俺よりもどちらかというと楓が目当てな感じだし。。。


そしてもう一人。


「こんちわ~!ってまだゆかりんの指導中だったんですね。失礼しました!」

「あぁ小坂さんが次か。もうそろそろ終わるから椅子に座って待ってなよ」

「は~い♪」


森里さんに数学を教えていたところで個室のドアが開き元気よく入ってきたのは楓の後輩で川野辺高校バスケ部の小坂 咲子さん。

彼女も楓のファンの1人なんだけど、森里さんに楓や俺がこの塾で講師をしてるって聞いたらしく入塾してきた(動機が微妙だけど・・・いいのかそれで)

志望校はまだ決めてないらしいけど、とりあえずは成績アップが目標とのことで、俺や楓を指名して頑張ってくれている。

駅近くの洋菓子店の娘さんで、楓に頼み込んでプライベートでバスケの指導もお願いしているらしい(報酬代わりにケーキを貢いでるらしく楓としても喜んでいた)

ショートカットでちょっと勝気な雰囲気の子だけど内面はしっかりした子だ。


「そういえば先輩!聞いてください。妹に彼氏が出来たんですよぉ~」

「ん?妹さんって確か・・・雪絵ちゃんだっけ?」


前に話聞いたな。可愛くって自慢の妹だって。


「はい。まだ小学生なんですけど、姉の私より先に彼氏作るとか酷くありません? 

 最近は一緒に公園でデートしたとか自慢してくるし」

「はは 凄いな最近の小学生は。。。」

「ですよね!まぁ相手は私も知ってる幼馴染の男の子なんですけど・・・」

「お姉さんとしては心配なんだ」

「・・・はい」

「咲子って妹ちゃん大好きだもんね」


進んでるんだな最近の小学生は。

でも、そっか小坂さんにとっては心配なのかもな。


「でもさ、俺と楓も幼馴染で付き合ってるし妹さんも幼馴染君の事が好きなんだろ?俺達は俺が地元を離れていたせいで高校に入ってから付き合い始めたけど悪い事じゃないと思うよ」

「そうでしょうか・・・」


という感じで何だか勉強以外の話もいろいろ盛り上がってたりしてるんだけど、2人とも成績も上がっては居るみたいだし・・・いいのかな?

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