ぐつぐつ☆ボタン
また目の前にはブラウンさんと猪か豚みたいな魔物(?)がいる。いや、でも日本でも猪と豚って似たような感じだし、豚肉かな?
「お肉きたーーーー!!」
「いやいや、これはカラミティランドホエールって言って、災害級の魔物だぞ!? 突進攻撃がすごく危険な魔物なんだ!」
「ランドホエール? それって山クジラ? ってことは猪だよね。でもって猪を家畜化したのが豚だよね。ってことは、大体豚肉ですよ!」
「いやいやいや……優里はなんでも食材に見えるんだな」
「だって、倒したなら美味しく食べてあげないとですよ?」
「なるほど、確かにな」
「さて、こんな大きいの捌けるかなぁ……2階の高さまでありそうだし……」
「あぁ、大丈夫だ。これくらいなら捌けるから任せてくれ。どこら辺の部位がいる?」
「えーっと……あばら骨の辺りの脂のあるバラ肉と、もも肉あたりがあれば大丈夫だと思います」
豚肉なら、その2種類があれば色々作れる。バラ肉がこんな大量ってことは、角煮にゆで豚、後はスペアリブ! 黒酢酢豚に汁物はやっぱりぼたん鍋だよね!
それとお土産にカツサンドとスペアリブ、肉巻きおにぎりと角煮入りおにぎりにしようかな。
「優里、お待たせ。これで良いか?」
ブラウンさんに声を掛けられ振り返ると、大きな山を抱えたブラウンさんがいた。どれだけお料理作らせる気なんでしょう。ま、まぁいいか。
「ありがとうございます。じゃぁ、後はゆっくり休んでいて下さいね」
「あぁ、解体が終わったら申し訳ないが休ませてもらう」
大量のお肉が来たので、お料理張り切っちゃうぞー!!
(ふふふ、このばら肉の脂と赤身のバランス素敵!)
まさかここに来て、こんなお料理三昧が出来ると思わなかったなぁ。
圧力鍋にバラ肉、お酒、砂糖、しょうゆ、生姜、みりんを一緒に入れて火にかける。茹で豚もお酒を入れてお水から茹でて、そのまま冷ましておく。
スペアリブはマーマレードを入れたタレと一緒にフライパンで弱火で煮ていく。黒酢酢豚はもも肉で作ろう。一口大に切って下味をつけて馴染ませている間に酢豚とぼたん鍋用の野菜を切る。
ぼたん鍋も楽しみだ。祖母の家は調味料も色々な種類が大量に用意されているから嬉しい。ぼたん鍋にはやっぱり赤みそと白みそを入れないとね! 後は……しょうが、みりん、お酒を入れて、お肉はばら肉ともも肉を薄切りにして、お野菜と一緒に鍋を煮始める。
ふと、声が聞こえた気がした。
「ユーリは本当に料理が好きだなぁ」
「えっ?」
辺りをきょろきょろしても、ブラウンさんもいない。
(今の……なんだろう?)
小さい頃、祖母の家にいる時に誰かに抱っこされている記憶が蘇ってきた。抱っこしてくれていたのは全身赤い服……? あっ、鎧だ!
今なら分かる。ブラウンさんの恰好とよく似た男の人。その人に抱っこされてさっきの言葉を言われたんだ!
「あっ!」
思い出した! 私、小さい頃よくあの赤い鎧を着た人と一緒に食事をしていた。そして今みたいに大きな魔物を祖母とその人が捌いたり、お料理をしていた。そして、お料理をする祖母を見るのが大好きだったんだ。
あの人は誰だったっけ……名前が出てこない。
(と、とりあえずお料理を作っちゃおう。そしてブラウンさんに話してみよう!)
お土産の準備をする。カツの準備をして、ばら肉を薄く切っていく。祖母の家には大きな良く切れる包丁が揃っているんだよね。包丁が良く切れるから薄切りにするのも楽々なのだ。
そりゃそうだよね、昔からあんなに大きな食材を使っていたら包丁も普通のじゃ難しくなるよね。
おにぎりにお肉を巻いて肉巻きおにぎりにしていく。味付けは焼き肉のタレにしようかな~。後は出来た角煮を入れたおにぎりを作っておこう。黒酢酢豚のお肉と野菜を揚げてからカツを揚げていく。
後は黒酢酢豚を仕上げたら完成かな。調味料は黒酢、砂糖、しょうゆ、お酒、みりんで良いかな。片栗粉でとろみを付けたらかーんせいっ!!
今日のお酒は何にしよっかな~。やっぱり最初はビールでしょ! 後は何が良いかなぁ。今日はハイボールも作っちゃおうかなぁ。それとやっぱり日本酒かな。
そんな事を考えながら作っていたら、お料理の盛り付けとお土産が完成した。そして今日は、先日から作っていたイカの塩辛も食べるんだー!! ふふふ、イカの塩辛と日本酒……最っ高!
ついでにお土産にも入れておこう。日本酒も少し入れておいてあげようかな。
「ブラウンさん、お待たせしました! 食べましょう、飲みましょう!」
「ははは、優里も酒が好きだよなぁ」
「もちろんです! こんな美味しそうな物を飲まずに食べられますか!! それともブラウンさんはお酒がいらないという事でしょうか?」
「無理だな。もちろん飲みたい!」
「ふふっ。ということで、はいどうぞ」
まずはビールを注いで渡して、まずはスペアリブを食べよう。
「ん~~~!! おいっしい!」
「うまっ!!! ビールもうまいっ!」
少し猪っぽい香りはするものの、ちょっとワイルドな豚肉みたい? でも美味しい! そしてビールに合う!!
テーブルの上にコンロを置き、ぼたん鍋も温めておく。黒酢酢豚も食べたいからハイボールを作っちゃおう。ブラウンさんの分も作り目の前に置いてあげる。
「これはなんだ?」
「これはハイボールと言って、ウイスキーをしゅわしゅわのソーダで割っているんですよ。ビールみたいにしゅわってしますよ」
「ほう、これはまた香りも良くてうまいな! スペアリブにも良いけど、この酢豚に良く合っていて旨い!」
角煮も煮豚もとてもお酒に合って美味しい! お酒もお料理もどんどん進んじゃう!
「相変わらず、優里の飯は旨いな! それにお酒に良く合う!」
「ふふ、お酒と一緒に食べると美味しさが更に上がりますよね!」
「この角煮? も凄い合う! どの酒にも合う料理だなんて、優里は凄いんだな!」
「このぼたん鍋も日本酒とよく合いますよ! ちょっと猪の獣っぽさが少しあるけれど、赤みそのコクとよく合って美味しいです!」
「普通に焼くと食えたもんじゃないのに、優里が料理すると旨くなるんだよなぁ……」
その後は、日本酒とイカの塩辛も出して、飲んだり食べたりしながらお話をしている。
「そういえば私、昔ここに来ている時に一緒に食事をしていた人の事思い出したんです」
「そうなのか?」
「それが、ブラウンさんみたいな鎧を着ていたんです。その人とよく一緒にご飯を食べたり、今みたいな大きな食材を使って祖母がお料理していたんです。だからこの家には調味料もお酒も沢山置いてあるんだと思います」
「そんな事が?! 俺の他にもここに来ていた人がいるのか……。その人の特徴って分かるか?」
「それが名前が思い出せなくて……でも全身赤い鎧でした」
「赤だって!? それは20年前くらいに世界を救ったと言われるアレクシス国王様の事では……?!」
(アレクシス国王様……アレクシス……)
「そうだ、アレクおじさんっ! って国王様なんですか?!」
「やっぱりアレクシス国王様なのか。しかも、そのアレクシス国王様が出している本があって、その中に食べたことがない料理が沢山載っているんだ」
「わぁ……それはここで食べてそうですよね。って本ですか?!」
「あぁ、今度王都へ行く用事があるから行った時に確認してみよう」
まさか、あの赤い鎧のアレクおじさんが、国王様になっているだなんて思わなかった。でも確かにもう15,6年近く前になるのかもしれないね。
「しかし、このイカの塩辛後を引くな」
「それもお土産に少しだけ入れておきましたよ。でも生ものなので早く食べちゃってくださいね」
「あぁ、今日もお土産があるのか、ありがとう。戻るとすぐに催促されるんだ」
「あはは、そうなんですね。多めに入れておきましたよ」
「今日もとても旨かった。いつもありがとうな」
そういうブラウンさんにお土産を手渡した。その後すぐにブラウンさんの身体が光り、光が収まるといなくなっていた。
今日は新しい発見があったね。まさかアレクおじさんがブラウンさんと同じ世界の人だったなんて思いもしなかった。しかもあの人が国王様になってるとか……。
そしてあんなにがっつり鎧来てるのに気にしなかった当時の私、不思議すぎるよ。
今日も沢山お料理作って、沢山食べたなぁ。とってもとっても楽しくて満足した。やっぱりお料理は楽しいし、新しい食材は嬉しいしわくわくする。
ここにいられるのも後2日か。明日はどんな食材が来るかな?
次の日。
ドォーン!!
(あっ、きたー!! 今日はなんだろう?)
そこにはブラウンさんと大きな大きな刀みたいな魚がいた。
「お魚きたーーーーーーーー!!」
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明日はお魚を料理しちゃいます
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。