かにかに☆パラダイス
目の前にはブラウンさんとお家くらいある大きなカニとタラバガニよりも大きなカニがいた。
「カニきたーーー!!!」
「いやいや、ジャイアントデスシザーな。海の中から突然巨大なハサミで襲われるんだぞ! 海から上がった所を倒したんだが、こんな巨大な身体があってな……」
「うん、だからカニですよね!」
「カニ? っていうか食べる気なのか?!」
「もちろんですっ! これはとってもとっても美味しいんです!」
ブラウンさんは言葉も出ない程ドン引きしてる。
えっ、食べないの!? カニだよ? 美味しいんだよ! 鍋にコロッケ、カニご飯何でも美味しいのにもったいない!
もったいないお化け出てくるよ? と脳内会議をしつつ、ブラウンさんに聞いてみる。
「これ倒したのに食べないんですか?」
「こいつ食べられないだろう?」
「えっ!? 何言ってるんですか、食べられますよ! とっても美味しいんですよ。そして……ふふふ、お酒も合いますよ?」
「なんだって?! そ、それはぜひ? じゃなくて、本当に食べるのかっ!?」
「この小さめだけど、大きなカニも使って良いですか?」
「そ、それは良いんだが……はぁ、まぁ優里が美味しいっていうならきっと美味しいんだろうな。俺も覚悟を決めて食べてみるか……」
「大丈夫です! 絶対に美味しいですから!」
解体はブラウンさんにも手伝ってもらう。普通より少し大きなサイズなら鍋でも入るだろう。祖母の家にはなぜか大きな寸胴とか鉄板とかもあったりする。なのでこのサイズくらいなら茹でられるだろう。
「この巨大なカニはどうしようかなぁ。ブラウンさん、この足をこのくらいで輪切りに出来ますか?」
「輪切り? あぁ、出来るぞ。ちょっと待っててな」
そういうと剣を構えるブラウンさん。いつもと違ってちょっと恰好良い! こうやってブラウンさん達は戦っているだね。なんだか不思議な気分だ。それでも不思議と怖いと感じない。それはやっぱりブラウンさんを知っているからなのかな?
ブラウンさんが剣を振るったのが分からないほど速かった。いつの間にか、手に輪切りにしたカニの足を持っていた。
(い、いつ切ったのー!?)
「これで良いか?」
「は、はい! ありがとうございます。これをこのまま焼いてステーキ風にしたら美味しそうだと思って!」
「はははっ、優里は相変わらず美味しい物に目がないな。しかし、これを食べる日が来るとは思わなかったな……」
「ふふふ、美味しいのでお楽しみにですよ! 何事も経験ですよ! そして今日も一緒にお酒を飲みましょう!」
「ははっ、そうだな。今日も楽しみにしてる、よろしく頼むな」
今日のメニューは何にしようかな~。カニの輪切りはステーキにして食べるとして、後は……茹でガニ、焼きガニ、蒸しガニにして味比べしよう! 他にはカニ鍋、カニクリームコロッケ、カニご飯、甲羅に入れて焼いたカニグラタン! それくらいかなぁ。後は作りながら考えよう!
(よしっ! 作るぞー!)
まずはかにご飯から作ろう。炊飯器にお米、水、塩、綺麗に洗ったカニを殻ごと入れてスイッチオン! 炊飯器さんお願いします。
(ふふ、カニご飯楽しみだなぁ)
次は、カニクリームコロッケとカニグラタンかな。まずは大きな寸胴でカニを茹でよう! その間にお鍋の準備。本当は刺身でも食べたいけれど、異世界産はどうなのか分からないから火は通そう。ブラウンさん達がお腹壊したら大変だろうしね。今日ももちろんお土産を渡すのです!
茹でたカニをほぐしてベシャメルソースに混ぜて、カニクリームコロッケ用は冷ましておく。グラタンの方はマカロニを茹でてから混ぜ合わせて、良く洗ったカニの甲羅に入れて焼く。さすがに甲羅が大きいので、分けて食べるつもりだ。
大きなセイロにカニを入れて蒸す。蒸しガニも味がぎゅっとするから美味しいのです。
(こんなにカニばっかり食べられる日が来るなんて素敵すぎる!)
グラタンの良い香りがしてお腹が空いてきた。ささっと作って食べよう! カニの足の輪切りが大きすぎて焼けるフライパンがないので、祖母の家にあった大きな鉄板を庭にあるコンロに置いて火をつける。
しかし、庭にコンロを置くとか祖母の食への探求は凄いと思う。そしてこの大きな鉄板は何を焼いていたんだろうなぁ……。しかも祖母1人だったのにだ。
(まぁ、おかげでこの大きなカニの足の輪切りステーキが出来るから良しとしよう!)
お土産にはカニクリームコロッケとカニご飯をおにぎりにして入れようかな。後は、茹でガニ、蒸しガニ、焼きガニも入れておいてあげよう。味比べして食べて貰ったら良いかな。
コロッケを揚げ終わったらお鍋を火にかける。その間にカニステーキだ! これは初めてだからとっても楽しみだ。そもそも、カニの足を輪切りにするなんて普通は無理だしね。
鉄板にカニの輪切りを乗せるとじゅわ~っと良い音がしてわくわくする。
準備が出来たので、お酒を準備しよう。今日は何がいいかなぁ……お酒を仕舞っている倉庫を見てみると白ワインが目に付いた。今日はこれにしようかな。後はやっぱり日本酒だよね。今日はキリっと辛口の冷酒だね。
「お待たせしました、食べましょう! 飲みましょうっ!」
「ありがとうな。しかし……本当に食べるんだな……」
「すごい不安そうですけれど、美味しいですよ。ぜひお試しくださいな」
いきなり姿が見えるのはハードルが高そうだからコロッケとグラタンが良いかな?
「まずはグラタン食べますか?」
「ぐらたん?」
「とってもとっても熱いので気を付けて食べて下さいね。そしてマカロニの中からも出るので要注意です! 後、まずはワインをどうぞ」
「ありがとう。では……感謝を!」
ブラウンさんは思い切ってカニグラタンを食べてみる……。
(どうかなぁ?)
「あちち……う、うまいっ!!」
「良かったです。コロッケも美味しいですよ~」
「こっちも旨いな。本当に食べられたんだな……こんなに美味しいなんてもったいない事をする所だったな」
「そうですよ~。日本ではカニは高級品ですよ~!」
(ん~!! グラタンもコロッケも美味しいっ!)
ブラウンさんもぱくぱく食べている。カニに抵抗なくなってきたかな?
「次はこのステーキ食べてみます? 私もこれは初めて作るので楽しみだったんです!」
「ははっ、もう美味しい事が分かったから大丈夫、食べよう!」
あの巨大なカニの足のステーキはナイフで切って食べるカニって初めてだったけれど、物凄く美味しかった! 噛むとカニの濃い味がして止まらなかった。お酒も飲むのを忘れて食べ終わってしまったくらいだ。
ブラウンさんもカニステーキを言葉もなく一気に食べているくらい美味しかったみたいだ。
「こ、これは凄いな! このカニの味がすごく旨すぎて一気に食べてしまったよ。これだったら向こうでも作れそうだ。仲間にも焼き立てを食べさせてやれそうだ」
「私も一気に食べちゃいましたよ。凄いですね、巨大カニ!」
「はははっ、そうだな。巨大カニは旨かったなぁ」
「ふふふ、まだまだカニ料理ありますからね~。冷たい日本酒もありますよ!」
「それは良いな。ぜひご相伴に預ろう!」
茹でガニ、蒸しガニ、焼きガニの味比べも2人で始めた。どれもそれぞれ美味しさがあって甲乙つけがたい結果だったけれど、どれもかなり美味しかった。
それとお鍋を持ってきてのんびり飲みながら食べる。
「どれも日本酒に合うし、どれもすっごく旨いっ!」
「本当に、どれも日本酒に合いますよね~。しかも美味しすぎて進んじゃいます」
「確かに!」
「酔っぱらって向こうに帰ったら怒られませんか?」
「昨日もかなりずるい! って怒られたなぁ。でもお土産のおかげで機嫌が直って助かったよ」
「あはは、お役に立てて良かったです」
そろそろカニご飯も出そう。ついでに作ったカニのお味噌汁もテーブルに持って行く。
「カニのご飯とお味噌汁です。こっちも美味しそうですよ~」
「これは旨そうだ!」
「やっぱりこのカニの味が濃いからお味噌汁もご飯も凄く美味しいですね!」
「うまっ!! このお味噌汁はどうやって作るんだ?」
「一緒に殻ごと煮て最後に味を調えたら完成ですよ~。簡単なので向こうでお仲間さんに作ってあげると良いかと思います! そしてご飯はおにぎりにしてお土産にしてますよ」
「それは助かる。いつもありがとう」
その後もご飯とお味噌汁を美味しく食べてお代わりもして食べた。あんなに沢山色々食べたのにお代わりまでしちゃったよ……カロリー大丈夫!? 明日も沢山動こう……。
「今日もとっても旨かった。ありがとうな!」
「私こそ美味しい食材をありがとうございました。とってもと~っても美味しかったです! あっ、これはお仲間さんに渡してあげてくださいね」
そう言うと、ブラウンさんの身体が光り、光が収まるとブラウンさんは消えていた。
(今日もとっても楽しかった、そして美味しかった!!)
次の日、お掃除とお片付けをしていると……。
ドォーン!!!!
来たー! 急いでお庭に駆けて行く。
庭には巨大な猪か豚っぽいのがいた。
「またお肉きたーーーー!!!」
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明日は猪肉を料理しちゃいます!
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