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うまうま☆グリフォン

 昨日はドラゴンが降って来た。今日はなんと、鶏肉……じゃなかったグリフォンだった。今日のブラウンさんはまだ元気が残っている感じだ。


「こんにちは、今日は鶏肉ですね」


「いやいや、グリフォンな」


 そう言われて、じーっとグリフォンを見る。でも、羽生えてるし……鳥だよね?


「えっ? だって、羽があるし鳥でしょ?」


「いや、まぁ……そうなんだが……」


「まぁ、そんな細かい事気にしちゃだめですよ。それにきっと今日も食べたら帰れるんじゃないですか?」


「細かい……かなぁ。食べたら帰れる……そんな気がするよな、頼んでいいか?」


「はい、もちろんです。お料理しちゃいましょう! そういえば、昨日ドラゴンの唐揚げを揚げ忘れたので、今日は唐揚げの味比べもしちゃいましょう!」


「昨日帰ったら、なんでドラゴンの一部がないのか問いただされたな。美味しかったって伝えておいたよ」


「お仲間さんですか?」


「あぁ、俺の仲間が心配していたのに、1人だけ美味しい物食べてくるとは何事かー! って怒ってたな」


「あはは。じゃぁ、今日はお土産を持って行ってあげてくださいね。唐揚げを余分に揚げておきますね」


「とても助かるよ、悪いが頼んで良いか?」


「はい、もちろんです」


 お土産の唐揚げと他のお料理も入れておいてあげよう。


 そして新しい食材とお料理を沢山作れる事でテンションがあがり、頭の中は鳥料理が色々浮かんでいる。お料理したくてうずうずする。


「さて、解体……今日はどうだろう」


「解体は俺がしよう」


「えっ、ブラウンさん出来るんですか?! じゃぁ、お願いします。もも肉と手羽先があれば作れるかな。あっ、皮っ! 皮も少し欲しいですっ!」


「あぁ、任された」


「私は下準備してきますね」


 鳥料理だったら、もちろん唐揚げ、お野菜と一緒に蒸し煮、みぞれ煮、鳥皮のカリカリ焼き、親子丼……他にも作りたいけど、こんなもんかな。


 あっ、手羽先も揚げるんだった! とはいっても手羽先……あのグリフォンの大きさじゃ、お鍋に入りきらない手羽先だよね。


 ご飯をセットして、唐揚げはお土産とみぞれ煮にもするから多めに作ろう。ビニール袋に醤油、酒、みりん、蜂蜜、にんにく、生姜を入れる。


 親子丼はシンプルに玉ねぎとお出汁だけ準備すれば良いかな。蒸し煮用の野菜は、キャベツ、玉ねぎ、じゃがいもをざく切りにする。


 準備している間に、ブラウンさんが解体したものを持ってきてくれた。


「優里、これくらいで足りるか?」


 ブラウンさんがかなり大きめの塊のお肉を持っている。ここに2人しかいないのに、どれだけ食べる気なんでしょう。


「ありがとうございます、後は休んでいてくださいね」


「あぁ、ありがとう。解体の残りをやったら休むよ」


「じゃぁ、その間にお料理作っちゃいますね」


 まずは唐揚げの下準備。漬けるタレはさっき作ったので、揉みこんで置いておく。蒸し煮用はビニール袋に塩、胡椒、酒、砂糖、オリーブオイル、バジルを入れて揉みこむ。

 お鍋に玉ねぎを敷いて味が染みるようにじゃがいもを次に入れる、その上にキャベツをたっぷり。


 みぞれ煮用に大根をすりおろす。これが一番大変かも。摺り下ろし終わったら、手羽先の準備をしよう。

 

(手羽先でかっ! ふふふ、手羽先って言えないくらい大きいね)


 あんな大きなグリフォンだし大きいに決まってるよね……これどう食べようか。やっぱり普通に手羽先と同じように味付けしようか。

 手羽先っぽくないけど、切り分けて片栗粉をまぶしておく。


 鳥皮には塩と胡椒、バジルを振って味を馴染ませておく。


 さて、下準備終わったから仕上げて行こう。まず、お鍋のキャベツの上に塩とオリーブオイルに漬けたお肉を敷き、お水を少し足してから蓋をして火にかける。これはもうこのままでOKだね。


 次はドラゴンとグリフォンの唐揚げを揚げて行こう。大量の唐揚げを揚げ終わったら、唐揚げの一部をみぞれ煮にしていく。今日は簡単にめんつゆ使っちゃおう。めんつゆに唐揚げと大根おろしを入れて煮る。生の鶏肉で煮るのもあるけど、唐揚げにしたのを煮るのも好きなんだよね。


 手羽先も揚げていく。こっちは揚がったらウスターソースを掛けて混ぜ合わせる。上に花山椒の粉を振りかける。ぴり辛うまうまなのです。


 

 鳥皮は弱火でじんわりと焼いて行く。両面パリパリになったら完成。


 後は親子丼。おつゆに玉ねぎと鳥を入れて煮ている間に、ご飯と卵の準備。鶏肉が煮えたら卵を回し入れて蓋をして蒸らしてから、ご飯に乗せたら完成ー!


 よし、お鍋も出来てるし、お土産用を詰めて準備して……こんな感じで良いかな。


「ブラウンさん、お待たせしました。食べましょう」


「ありがとう。今日も旨そうだ」


「ビールもどうぞ。今日はないと食べられません!」


「そうなのか? それは楽しみだ。では、感謝を。」


「いただきます」


 まずは唐揚げをぱくり。さくっじゅわってした。


「ん~~~! ジューシーで鳥の味が濃くって美味しい!」


 ビールもごくごく行っちゃう。


「うまいっ! 外がカリっと中はじゅわっとジューシーで、ビールが凄く合って旨いっ!」


「ドラゴンの唐揚げもすっごいですよ!」


「おぉ! これは凄いな。もうなんて言って良いか分からない旨さだな。そして本当にビールが進む!」


「ですよね! ドラゴン美味しすぎです! あっ、こっちの手羽先もビールに良く合いますよ」


 手羽先もウスターソースと花山椒のピリッとした感じが堪らない。


「おぉ! こっちはぴりっと舌が痺れる感じがするけど、ビールに合うな。こんな旨いの初めて食べた!」


「ふふ、気に入ってくれて良かったです。まだまだありますよ。ビールまだいりますか?」


「良いのか? ありがとうな。唐揚げもお酒もすっごい進むな! っていうかこんなに飲んじゃって良いのか?」


「大丈夫ですよ。祖母の家の庭にお酒ばかり入っている蔵がありますから。どれだけお酒が好きだったのかと思いますよね」


「そんなにあるのか、それは凄いな」


「後は、この鳥皮もバジルの風味がして、ぱりぱりして美味しいですよ。さらにビールです!」


 やっぱり異世界の人でも、唐揚げとか揚げ物は気に入るんだね。


「そういえば、優里はここに1人で住んでいるのか?」


「いえ、私はお仕事があるので、こことは違う所に住んでいるのですよ。ここは元々祖母の家で、私が受け継いだんです。それで今日からお片付けに来たんです」


「そうだったのか……それは悪い事を聞いたな」


「いえいえ、大丈夫ですよ。昔からここに来ると、色々な美味しい物が食べられて楽しかったんですよね。未だになんの食材だったのか分からない物もありますけどね。再現しようとしても出来なくて悔しいくらいです」


「今の料理が好きな優里は祖母の影響なんだな。おかげで俺は美味しいご飯を食べさせて貰えて、とてもありがたいがな」


「ふふ、沢山お料理が出来て、喜んで貰えるならとても嬉しいです。さて、次のお料理食べてみましょうか。次はみぞれ煮ですよ!」


 次はみぞれ煮を食べるのだったら、やっぱり日本酒かな。日本酒とお猪口を持ってきてブラウンさんに差し出す。


「みぞれ煮と日本酒をどうぞ。みぞれ煮は唐揚げを使って大根おろしで煮ているんですよ」


「これも唐揚げを使っているのか、それは楽しみだ」


 みぞれ煮は唐揚げのカリっとした部分はなくなったけれど、ジューシーさは残っている。大根おろしがさっぱりとさせてくれるので、いくらでも食べられそうだ。


「くぅ~、日本酒と合うなぁ。同じ唐揚げを使っているようには思えないくらい違うんだな。カリっとした所はないけれど、じゅわっと旨い味が出るのが良い! そしてこの大根おろしでさっぱりと食べられるな」


「日本酒とよく合いますよね~」


「最後は親子丼です。スプーンでどうぞ。玉ねぎと鳥を煮て、卵でとじた物をご飯の上に乗せてます」


「とろっとした卵とこの味付けがまた良いな。うん、旨いっ!」


 さすが男の人だからか、パクパクと食べてくれるのはとても気持ちが良いし嬉しいね。


「そういえば、ブラウンさんがあの鳥倒したんですか?」


「グリフォンな。あぁ、俺達が倒した」


「もしかして、昨日のドラゴンも?」


「あぁ、一応SS級冒険者だからな」


「冒険者……お話の中でしか聞いたことない事ばかりで、ちょっとわくわくしちゃいますね」


「そうなのか?」


「はい、こちらには冒険者も、ドラゴンもグリフォンも魔物もいませんから」


「へぇ~、そういえばそんな事言っていたな。ここは安全なんだなぁ」


「そうですね、多少の危ない事はあっても日本はだいぶ安全ですね」


 今日はそんな事を話しながら食べる余裕があった。昨日はそんな余裕なかったしね。

 しかし、仲間がいるとはいえ……あんなドラゴンやグリフォンを倒せるってブラウンさんは凄すぎるね。


「なんか……またブラウンさんが倒したらここに来そうですね」


「そんな気がするな。迷惑を掛けてすまないな」


「いえいえ。私も新しい美味しい食材嬉しいですし、楽しいですからお気になさらず」


 ドラゴンとかグリフォンとか未知の素材は楽しい。実際普段食べている牛肉よりも、鶏肉よりもかなり美味しかった。


「ありがとうな、とっても旨かった。ごちそうさま」


「いえいえ、私こそ食材ありがとうございました。あっ、これはお土産です。足りると良いのですが……」


 そこでまたブラウンさんの身体が光った。


「すまんな、ありがとう。またな」


「はい、また」


 目を開けていられないくらい光った後は、またブラウンさんは消えていた。そして食材のグリフォンも消えていた。


「しまった! グリフォンもう少し貰っておくんだった。もっと色々お料理して食べたかったなぁ。残念」



 次の日


 ドォーン!!!


(きたー! 今日は何だろう?)


 目の前には、大きなクラーケンとブラウンさんがいた


「イカきたーーーーー!!」

読んで頂きありがとうございます

楽しく読んで頂けたら嬉しいです

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