丸猫捕獲篇(上)
丸猫捕獲篇
上下2話、R2/9/5 16:25,18:00投稿です。
よろしくお願い致します。
翌日食事の前に、4人は朝の町を捜索した。
「いないねえ」
「もうちょっと丸猫の生態を教えてもらったほうが良くない?」
4人は、その力の特性から、護衛や討伐の依頼がメインだった。探し物の経験が少なくて、思うように進まない。探し物が得意な力を授かっている村人は、非力である。魔物がひしめく山など越えられない。守られたところで、旅路の半ばで力尽きてしまう。だから、魔物に対抗出来る4人が選ばれたのは仕方がない事なのだ。
朝食も、魔法のカードで知らされた。
今回はペールブルーである。人の手による物とは思われない、柔らかで滑らかな手触りだ。
朝食室は、食堂とは別の部屋だった。食堂より狭いが、朝日の入る明るい部屋だ。壁紙も白地に青い縞の間にピンクの薔薇が散る、爽やかな連続模様である。
パンとジャム、バター、蜂蜜、スープにサラダ、そしてオレンジジュースがひとりでに4人の前まで運ばれてきた。どれも新鮮で美味しそうだ。
「昨日見せていただいた画像で、丸猫には口が見当たりませんでしたが、噛みついたりはしませんか」
切り出したのは、今日もカイである。
「噛みません」
「食事はどうやって、何を摂るのでしょう」
ヴェルデも訊ねる。
「空気中に漂う色々な魔法の残滓を、毛先から吸いとっておりますよ」
「魔法の残滓ですか」
「好物で誘き出すのは、難しそうですね」
「お腹空いて出てくる所を、待ち構えるのも無理かぁ」
「好物がありそうな場所を、重点的に探るのも駄目」
4人は、がっかりする。空気中何処にでも漂う、色々な種類の魔法の残滓が栄養源では、食べ物を手掛かりにするのは無理だ。
「餓死の心配が無いのが救いね」
ヴェルデが消極的な発言をする。
「好きなおもちゃはありませんか」
気を取り直して、カイが質問を変える。
「特にありません」
「普段は何処に居たんですか?この家では?」
「家じゅう気ままにしておりましたよ。」
「お気に入りの場所とか、決まった寝床とかは、ありませんでしたか?」
「決まっておりませんねえ」
足掛かりは何も無い。
「そもそも、丸猫は種族名ですか、個体名ですか、それともこの世で唯一の存在ですか」
カイは疑問を口にする。
「種族名ですが、うちの子は丸猫と言う名前です」
「丸猫の、『丸猫』ちゃんね」
「丸猫君です」
「雄雌あるんですか」
「ありますよ」
紳士は、さも当然と言うように答えた。しかし4人は、丸猫について何も知らないのだ。解る筈がない。
「では、丸猫君、と呼べば出てきますか?」
普通の猫なら、怯えて滅茶苦茶に走ってしまっても、飼い主に呼んで貰ってそっと顔を出す事がある。
「普段はそうなのです。でも、街じゅう呼んでも出てこなかった。だから、街には居ないのです」
漸く根拠らしき言葉が出てきた。
次回最終話