虚言は自分の為ならず
船に乗り優一達は大きな客室に案内され荷物を置く。
ベッドはスペースを活用して二段式になっており、両サイドに三つずつ。
真ん中にはテーブルにそれを囲うようにソファーと椅子が対格に置いてあり、床はフローリング素材で出来ていた。
「これは凄いですね!」
「まるで、動く家みたい」
琴音とティファリアは内装に感動している。
ラティスとルナフィーネはフカフカの布団に顔を疼くめて、幸せそうにしていた。
「そんなに珍しいの?」
「俺の居た世界では、こういった船は結構な額が必要だからな」
「人魚の国に来ればこれよりも、もっと凄いんだから!」
「おいおい。ムードが大事って、さっきの店で言っときながらイルミちゃんもムード分かってないな」
「あんたにちゃん付けで呼ばれると気持ち悪い」
優一は笑いながら謝るとイルミは舌打ちする。
「はぁ~~。早く国に戻りたい~~」
「そう言えば何でイルミは奴隷商人に捕まったんだ?」
「ちょっとね・・・好みの男性から声を掛けられて付いて行ったら、いつの間にか眠らされてたのよ」
「好みの男性って、まだガキのくせにもう色気づいてるのか?」
「恋に歳なんて関係ないのよ!そんなんだから童貞なのよ!」
「誰が童貞だ!俺にも女の一人や二人付き合ったことあるし、それに裸ぐらい見た事・・・」
優一は強がり、勢いに任せて虚言を言いかけると、殺気を二つ感じ取り口を止めた。
「へぇ~~兄さんどこの誰かは分かりませんが、いい加減な気持ちで女性とお付き合いした事があるのですか?」
琴音の目は瞳孔を開いており、優一を睨みつける。
「裸ぐらい・・・何ですか?」
ティファリアの表情は笑顔だが、ソファーに尻尾を鞭のように叩きつける。
優一は恐怖を感じ、目を合わせないようにする。
「兄さん、少し外の空気吸いたくありませんか?」
「そうですね。それに少し暑いので・・水に頭を付けるのもよろしいかと。ちょうど、ここは海の上ですし」
優一は窓から逃げ出す。
しかし、琴音とティファリアの《グラビド》の合わせ技によって海へと落ちる。
「そこで少し頭を冷やしてください」
「これは罰です」
〇
優一は自力で船に戻ると客室で正座をさせられていた。
「強がってすみませんでした」
「もう、これっきり嘘は付いては駄目ですよ」
「分かりました」
ティファリアは優一に近づくと耳元で囁く。
「その、裸を見た事は誰にも言わないでください!」
ティファリアは、顔は恥ずかしそうに赤く染め、はにかんだように唇をゆがめる。
次の日。
優一達は目的地の島、ホルタリー島に上陸した。
島には船着き場と古びた小屋が一つだけ建っており、人が住んでいる気配はなかった。
「兄ちゃんたち、次にここに来るのは三日後だけど大丈夫か?」
船長が気を利かして、次の便を教えてくれる。
「俺達は大丈夫だ!」
そう伝えると、船は出航し優一達は小屋の中へ入る。
「島に着いたのは良いですけど、ここからどうやって人魚の国に行くのですか?」
「俺達は海の中では息が出来ないぞ」
「それなら、海の中でも呼吸が出来るように魔法をかけるといいよ」
イルミは優一に魔法を唱える。
「『アプノアー』」
優一はイルミに魔法をかけられたが、特に変わった様子はない。
「これで海の中で呼吸が出来るのか?」
「試してみれば?」
優一は大きく息を吸って海の中へ飛び込む。
最初は不安で息を止めていたが、海中で溜めた息を吐き出す。
すると、海中の中でも呼吸が出来るようになっていた。
海から上がり無事息が出来た事が他の皆に伝えると、琴音とティファリアは呪文を唱える。
「「『アプノアー』」」
二人が唱えた魔法はルナフィーネとラティスにもかかる。
二人が一度見ただけで、魔法を使いこなす姿を見てイルミは唖然とする。




