7/7
【第2話】選定と覚醒~第3節 戻れぬ道行き~
教会の礼拝堂の二階の窓を突き破り。
窓ガラスの煌めきを散らし。
魔を宿す者が、聖なるべき場に出現する。
「手コズラセヤガッテ…!!結界ヲ用意シテイタヨウダガ、ソレモ終ワリダ…大人シクオ宝ヲ寄越シテ、後ハサッサト死ヌンダナァ!!」
見れば、怪紳士の全身の肌は爛れ、背中からは突起物が顕れ。右腕の竜の貌は口から血を垂らしながら、目を血走らせながら、角を肥大化させ、より悍ましき形相へと変わっていた。
「…来たわね」
そんな光景にもかかわらず、金髪紫眼の少女は、まるで何も感じぬかの如く、淡々と呟く。
「ついに結界を破られてしまいましたか…しかし…私はどうすれば?」
紫瞳の少女と、長身白髪の男の方に目をやり、パスカルが問うと。
「何って…お前が戦うんだよ。悪魔祓いだろう、これは。なら、エクソシストがやるのが筋だ」
白髪の男は、当然であるかのように答える。
(続きます)