フォンタジーな世界をさまよう女性
(北海道に着いたのかしら)そう思ったが、どうもそんな様子はない。よく見ると綺麗に手入れされた
庭園のような所だった。おそるおそる立ち上がって見ると向こうに、長続きの家らしき物が見える。
しかし 間もなくそれはチサが今まで見てきたような家とは、かなり 形が違っているのに気づいた。
まるで時代劇に出て来るお屋敷のような形である。(おかしいなぁ)と思いながらボヤーと突っ立って
いると急に人声がして4、5人の女達が笑いさざめきながら現れた。チサは慌てて側の植え込みに身を
隠した。何故かとっさにそうしていた。現れた人影を見てまたびっくり それもそのはずその女達は
テレビの時代劇で見るのと、そっくり同じ姿をしていたからだ。(ドラマのロケでもしてるのかしら)
と思ったがどうも様子が違う。辺りにカメラらしき物は無いし、監督や俳優 スターらしき人も
見当たらない。第一以前にロケを見物した時は、何人かのスタッフが反射板のような物をかかげて
あちこち動き回っていたのに、それらしき人もいない。(変ねぇ)思いながらそっと身を潜めながら
近くに寄って見た。すると女達の話し声が聞こえる。「およしさんは いつお宿下がりなさるの」
「この月の15日からよ」 「まぁ じゃあもう後10日じゃない。楽しみねぇ」 「ええ もう嬉しくて
だって3年ぶりにお父様やお母様に会えるのですもの おみつさんはいつ」 「私はまだ来年なのよ
いいわねぇ 貴女は ねぇ春江様はいつお宿下がりでしたの」と おみつと呼ばれた女は上役らしい
人に尋ねた。「私は去年でした。ですから後2年は待たねばなりませぬ」 明日へ続く