フォンタジーな世界をさまよう女性
そうして10日前にゴリラを送った。いいか 人間より大きなゴリラだ。それをこの家まで一目につかず
運ぶのにどんな苦労をしたことか、 でもそんな事はどうでもいい。ゴリラも無事成功したんだ。北海道に
着いたゴリラはキョトンとして頭をかいとったそうだワハハハ、、、人より大きなゴリラも上手くいった。
残るは そうさ 人間だ。いよいよ人間で試す時が来た」 「イヤー気狂い やめて やめて出してよ~」
「出す訳にはいかん、やっと手に入れた貴重な人間じゃ なあに心配することはない。1分足らずで北海道に
着くよ。そうしてまたすぐに、ここに帰って来れるんだ」言うなり老人は作動スイッチらしき物に歩み寄った。
「やめて お願い 出して ああ お母さん」チサは周りを叩いたり蹴ったりしてみたがもとよりドームは
ヒビさえ入らなかった。「では 成功を祈って」ついに老人がスイッチに触れた。そうして哀願するチサを
しり目に無表情で力いっぱい押した。 同時にかすかな唸り声のような音で回り出すドーム「ああ やめて
お母さ~ん お父さ~ん」叫ぶチサの体は次第に薄く消えてゆき、やがて見えなくなってしまう、、、
恐ろしい事が起こった。春 3月 ある日の午後だった、、、、、それから如何ほどの時が立ったのか。次に
チサが気づいたのは柔らかい草の上だった。青い空 白く流れる雲 そんな物がボンヤリ眼が写り、ハッと
気づいて草の上に起き上がった。(ここはどこ)頭がボンヤリしてしばらくは何も思い出さない。(あっ あの
お爺さん 気狂いの)思い出すと同時に恐怖もよみがえって思わず小さな声を上げた。しかし 辺りに人の
気配はない。あの{オズ}という機械もない。 明日へ続く