フォンタジーな世界をさまよう女性
これと同じ機械が息子の家にもあってな。これからお前さんをそこに送ってやろうとしている」 「私」チサは
びっくり仰天 そんな事があっていいものか。「そう 驚くことはないさ これが成功すればあんたは一躍
有名人になれるぞ この{オズ} オズというのだよ このかわいい奴は 世界で始めてそうだな、訳せば
物質電送機とでも言おうか。{オズ}の試乗者になれるのだからな」 「そんなこと嫌よ。お断りだわモルモット
なんかにされてたまるもんですか、早く出してちょうだい」チサは元来 気の強い娘だった。訳の分からない
所に閉じ込められて恐怖にふるえながらも、厳しい言葉で怒鳴り付けた。だが老人はそれに答えず夢を見て
いるような表情で「最初は小さいものから送った。二十日鼠だ それが成功した時、わしも息子もどんなに
嬉しかった事か。どんなに感動したかとても言い表すことは出来んよ。北海道に着いた鼠が床の上をチョロチョロ走った時 息子は思わず抱きしめたと言っとったよ。素晴らしい成功だった。 次はポケットモンキー
を送った。これも成功した 次は犬 これも上手くいった。だが次に送ったチンパンジーはどうしても向こう
に着かなかった。「キャー」思わず悲鳴を上げるチサ だんだん老人の言うことが真実味を帯びて感じられ
恐ろしさに身体がすくむ「どこに行ったか どうなったか今でも良く分からない。きっとタイムマシーンに
でもなって未来の世界に行っているのだろう」 「やめて やめてよ」 「だが失敗したのはその一回きりなのじゃ それからまた改良をかさねて今はもう完全なものになっているのじゃ 次にチンパンジーを送った時は無事に着いたし大型犬のコリーを送った時も成功した。 明日へ続く