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ファンタジーな世界をさまよう女性

「チサ もう良い」 家光はチサをさえぎり「もう言うな それなら良いのだ

わしはまた そちがわしを嫌ってここに来るのが嫌さにそんな事を

言うのかと腹立たしく思っていたのじゃ わしは次第にそちを愛しく

思うているに」 「上様」 「もう言うな わしの心は決まった。

チサがどう言おうが生涯わしの側を離さぬ」と 力強くチサの手を

引き寄せた。(こわい)何が怖いのか分からなかったが、反射的に

身を引こうとしたチサ だが反対になお強く身体ごと引き寄せられた。

チサの心に起こった小さな迷い 家光を愛したのだろうかと思った

迷いが言わせた言葉 人の為でなく自分の為ではなかったかと

言うひと言を聞いた時 家光の心は決まった。燃え上がるものに

胸を押され衝動的にチサを抱き竦める。「待って 上様 怖い」

まだ決心のついてないチサは震え上がって必死の抵抗を試みるが

その間もないほどに彼の行動反対早かった。 男の力の前には

チサのあらがいもの何ほどになろうか、、、

そうして夜は明けた。 一夜明けてチサ途切れ顔を会わした

家光は少しバツが悪そうな顔で「怒っているのか」と 尋ねる。

チサはゆっくりと首を横にふる。あれから一睡も出来ずに考えて

いたことは、こうなる以外に手立て早なかったと思われた。

現代ならいざ知らず、この時代の最高権力者足る将軍に愛されて

一つ部屋に泊まりながら何事もなく、ずっと過ごせる訳はなかった。

それが嫌なら死ぬしか無い。それもせずにひと月あまり

召されるままに閨に上がっていた自分も好意を持っていたのだと

今考える。「なれば何故黙っている 笑顔を見せてくれい」

「少し頭が痛うございます」 「昨夜 眠らなかったのではないか」

「とても眠る気にはなれませんでした。上様は乱暴です」

甘えた気持ちで恨み言を言って見る「やはり怒っているのか」と

家光は困ったように言って「わしは早まったかも知れぬが

どうにもならなかった。詫びと言っては何じゃが何か望む物は無いか」

「何も欲しい物はございません」彼はますます困ったようにしばらく

考えていたが「では 昨夜のそちの頼み言 聞いてとらせよう

これでは駄目か」 「ありがとうございます」 「良かろう だが他の者を

召してもそちは構わぬと申すのだな」 「はい」 家光の問いにチサは

はっきりと頷いた。チサはまだ知らなかったのだ。と言うのかまだ

心の底から家光を愛したとは言えなかった。


続く。

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