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フォンタジーな世界をさまよう女性

それは毎年 吹上御苑にて行われる花見の宴であった。例年 大奥でも花が咲き揃う頃には奥女中一同、晴れ着を新調してこれにのぞんだ。本来ならば御台所が一同を引き連れて行うものであったが、家光は御台所とは反りが合わず、中の丸という所に別れて暮らしていた。それゆえ ここしばらくは春日局が代行しており、その日は家光自身も花見の宴に顔を出す事もあった。しかし今 その春日局は折悪しく風邪を引き込み自分の屋敷で伏せっていた。今年のお花見はお流れかと、およの達は歎いていたが、3日前 急遽家光より上臈

お万の方の引率にて花見の宴を行なえと、お達っしがあり奥女中達は生き返ったように大喜び。何しろ奥から出て広い庭でさんざん飲んだり食べたり踊ったりと大騒ぎができる。日頃 畏まって生活している身には

羽目をはずして馬鹿騒ぎをできるまたとないチャンスなのだ。実は この花見の宴が行われたのには春日局の強い希望があった事を、およの達も多くの女達も知らなかった。大奥の高職者も家光自身も、局の不在とて今年は取りやめにする意向だった。しかし 先頃家光が局の見舞いに訪れた時、それを話すと局は「私の病いの為に女中達が1年に一度と、楽しみにしている花見を止めさせるのは、心苦しく思われまする。幸い病いも軽く、後 しばらく休養致しますれば出仕も叶いますゆえ、どうぞお心おきなく」と 言って宴を行うように薦めたのだった。だが その事については局は局なりの計算があった。それは今だにめぐまれぬお世継ぎの為である。家光には現在 側室が5人 上臈お万の方初め、中臈 お蘭 お夏 お玉 お里沙がいたが誰

一人として若君を授かった者はない。ただ一人の御子は姫であったし、その生母お振の方は既に他界していた。この5人の内 家光が最も親しんで寵愛しているのはお万の方であった。公家の出身でずば抜けた美貌を持ちながら、出家して尼になっていた彼女を家光は自分から望んで還俗させ、側室としたが惜しむらくは

産まず女であった事だ。それについては春日局がお万の方に大奥での実権を握られるのを嫌い、医師と計らい何やら画策したという噂があるガラケー真偽のほどは定かではない。だが 将軍家の血筋に公家や皇族の血が入ることを極力避けていた事はあったようだ。  明日へ続く。

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