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伊豆守と絹物談義

「ほう それは良い事でござるな」 「私がなぜそれを

思い出せたかと言うと、その上杉鷹山が言ったと言う

 有名な言葉があったからです。成せば成る 成さねば

 成らぬ何事も 成らぬは人の成さぬなりけり と

 言うのです。いい言葉でしょう」

「まさしく 良き格言でござるな。成せば成る 成さねば

 成らぬ何事も けだし名言でござる」

「そうでしょう。成らぬは人の成さぬなりけり この名言

 があったればこそ後世に名が残っている人物なのです」

「さようでござるか」 「それからもう一つ 綿の事ですが

 綿は確か絹と違って暖かい温暖な気候が良かったと

 思いますので、西国の方だと思います。それと言う

 のも私が高校の卒業旅行に関西に行った時 平野に

 山が迫っている大阪 兵庫 今の時代では何という

 のでしようか。上方 摂津だったかしら

 その辺りでは綿と綿の実から取れる油と酒作りが

 有名だったと言われました。油や酒の粕を搾るのに

 水車の力が使われたとかで、昔は山からの急流を

 利用した水車小屋がたくさんあったと聞かされ

 ました。また 油は綿だけからではなく菜の花の

 種からも取れるのです」 「菜の花」

「いつも美味しい蜜柑を献上してくださる紀州家でも

 油が取れるのです」 「御三家の紀州でござるか」

「そうです。紀州 私達の時代では和歌山というの

 ですが、蜜柑と梅干し梅酒などが有名な産物で

 菜種油もそうであったらしいと思います」

「初耳でござる」 「では 伊豆守様がそれとなく教えて

 差し上げたらいかがですか。今の時代では有名で

 なくても、いずれ梅干しと菜種油は重要な産業に

 成るのが分かっているのですから」

「良く考えて見ましょう。絹や油が今より安く国内で

 作れるとあらば喜ばしい限りでござる。

 急ぎ検討して見る所存でござる」

「お願いします」 「おチサ様にはいつも有り難い助言を

 頂き、上様に成り代わり御礼申し上げます」

「あのお方には内緒ですね」と チサは笑う。


続く。

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