始まり
この世界には成長の限界という概念が存在しない。
例えば人間が一つの技術を極めようとする。人間が産まれてから死ぬまでの間には時間があり、その時間の中でしか技術を極めるは出来ない。
しかし、もし時間の影響を受けず、さらに何処までも強くなれるとしたら?
俺は鈴木 涼何処にでもいるごく普通の会社員だ。
彼女歴=年齢(25)で両親は幼い頃交通事故で亡くなっている。
普段の生活は?と聞かれると朝起き、会社で働き飯食って寝るぐらいで特に何か面白いことがある訳でもない。
そんな俺が唯一楽しみにしているのは2年前に発売されたゲーム、「Infinite possibilities」今ではクソゲーと化しているこのゲーム実は発売当初は絶大な人気を得ていた。
ゲーム内容はタイトルの通り全て"無限"という世界が舞台で、「可能性は無限である。」という制作会社の思いが無限という言葉に込められている。
何故クソゲー化したかというとそもそもゲームで無限というのは不可能だったのである。
初めは本当に無限に思われた広大なMAP、膨大な種類のアイテム、多彩な種族、そして様々なスキル。
まるで未知の世界のようであった。
しかし、MAPの広さ、レベルの限界、様々なアイテムの発見が進むにつれてプレイヤー達の情熱は冷めていった。
だが自分はまだ楽しんでいる方だと思う、一緒にモンスターを狩る仲間もいる。
このゲームは仮想空間でプレイ出来る。
五感全てをゲーム内で感じることが出来、ゲームを終えるためにはメニューを開き、ログアウトという項目を選ばなくてはならない。
ゲームを始めて三十分を過ぎた頃だ。
突如、目の前が真っ暗になった。
「何がサーバーに問題でも起こったのか?」
そう1人で呟いていると視界が戻った。
しかしそこには信じられないような光景が広がっていた。
空飛ぶドラゴン、巨大な蝶、そして地上―目の前に広がるのは何処までも広がっている大地、村小さな村があった。
(こんなMAPあったか?アップデートなんて聞いてないし…)
――そして気付いた。メニュー画面…開かない
「ログアウト出来ねぇじゃん」
とりあえず都市に向かう事にした。