7、盗賊団だけど思ったより盗賊してない
長くなった。
ちょこちょこ読み直して間違ってる部分直したり、話が合わなくなったりしないようにしているけど、大丈夫か心配になる今日この頃。
盗賊とは、法規から逸脱して強奪(掠奪)などを行う者たちを指す。by Wikipedi〇
悠李がトップに立っているのは間違いなく盗賊団だ。前にいろいろトンワルのとこからもっていったし。
街の人に怯えられる存在、嫌われ者の無法集団。
そんなイメージが強い。
だがしかし
「おかしらぁん、ちょっと十字架のポーズして」
「こうか?」
「そうそう、やぁん、相変わらず無駄のない筋肉、創作意欲がわきたてられるわぁん」
「ちくしょう!もってけ!!今月のおやつ代!」
「ざまぁ!!俺の聖騎士デッキに勝てるわけねぇだろ!!」
「こいよ!ドラゴンデッキの力見せてやる!!」
「ギルドのほうどうだった?」
「ろくなクエストねぇよ、いつも通り罠ばっかだらけ」
「故郷にゴースト系モンスターでたらしいんでちょっと行ってきまーす」
「おー、財宝隠してたらかっぱらって来いよ」
わいわいがやがや、アジトの中はそんな感じだけど、最初あったころにはいなかった人がいたり、いなくなったりして人の入れ替わりが激しい気がする。
悠李によると、このアジトにずっとメンバーがいるわけではなくて、基本的に外に家を持っている人が多くて、定期的に顔を出しているとのこと。
大きな仕事以外は、いるメンバーで作戦を立てて行っているらしい。
あきらかにフレンドリーで、盗賊のイメージが崩れる光景である。
ここにきて数か月、確かに盗賊らしいことをしているのは見たことがあるし、私もついて行ったことはある。
だがしかし、物語の中にあるような虐殺とかはしたりしないし、女を犯したりとかそういうのもない。
むしろ相手側の黒い部分を見ることが多い気がする。人間不信になりそうである。
通称盗賊の島【クレフティス】、無法者ばかりかと思っていたのけど、気のいい人が多いし、奴隷商の元締めエルドランさんがいるから、下手に奴隷になることもない。
お店もあるし(ただしたまにうっているものにヤバいものが混じっている)、娯楽施設・・・カジノとかまぁ、クラブとかそういう系もある。
一応冒険者ギルド(通称盗賊ギルド)とかあって早めに処理をしたい、急ぎのクエストなどが回ってくる。普通ではない。罠を盛り込んであるクエストもあるし。
冒険者ギルドにそういったクエストをこっそり受ける人がいて、こっちに流しているそうだ。
「あ、ユウキちゃん、お疲れ様。チョコパフェたべる?」
「たべます!!」
読んでいた本を汚さないようにどかし、運ばれてきたチョコパフェを受け取る。
今チョコパフェを運んできてくれたのかアジトの台所の番人ルヴァンさんだ。美女顔負けのきれいな顔立ちをした男性で、優しい人。アジト住まいの一人である。
だが、料理の邪魔や食べ物を粗末にしたりすると、地獄を見ることになる。本当にやばい。
いきなりだけど、ここからアジト住まいの人を紹介していこうと思う。え?いきなりすぎるって?だってこの機械のがしたら一気に紹介する機会なくしそうなんだもの。
まず、最初に私に話しかけてくれた真面目で優しいイケメンおじさん、略してイケオジなクランクさん。暴走しがちなカラクさんをよく止めているひとで、私に優しい人だ。
次、盗賊団の衣装などを一手に担うザイナーさん。悠李の服を選んでいるのはこの人で、ファッションセンスがある人。でもたまに暴走してヤバいものを作り出したりするから注意が必要。
3番手、ベラドンナさん。アジト常駐のお医者さん兼科学者である。すっごい美人で、優しくて、動作も綺麗な人で、スタイル出るとこ出てしまるとこしまっており、肌もつやつや、ハリがあるすごい人。この人は外に家があるらしいけど、基本的にアジト住まいだ。
でもなんでか悠李は苦手らしくて、できれば外の家にいてほしいとこぼしていたこともある。なんでだろう。
そして最後、図書館の番人。ライブリアンさん。アジトにある大量に本が置かれている場所を、盗賊団加入時に改造し、図書館にしたすごい人だ。
図書館といっても、本がそのまま出されているわけではない。そこまで広くないのだ、アジトは。基本的に必要な本、初期の魔法とか一般的な植物図鑑とかは表に出ているけど、90%近くは改造された地下の秘密部屋にしまわれていて、ライブリアンさんにどんな本が欲しいか頼むともってきてくれる。ほとんどはずれがないという選書らしい。つまりライブリアンさん、持っている本の内容全部覚えているのである。脳内パソコンに近いんじゃないのかなって思う。
基本的にアジト住まい、一人部屋を持っているのはこの人たちぐらいであとは、相部屋みたいな感じで泊まる人は泊まるし、帰る人は帰るっていうスタンスだ。
びっくりすることにカラクさんはあじとずまアジト住まいじゃなかった。すごく驚いた。本人の前で「え?!」とか言ってしまった。あんなに悠李のこと大好きっぽいのに・・・・
まさか悠李が直々に住むなとでもいったのかと思ってしまったけど、違うらしい。
「いやぁ、住みたいのはやまやまなんすけどね!24時間お頭と一緒とかもう胸がどきどきで壊れそうになるじゃないっすか。え?同じ屋根の下にいるんだから一緒っすよ。お頭の生活音とか聞こえちゃったら眠れないっす。興奮的な意味で。それにお頭に見せられないようなものとかあるんで、無理っす。そりゃあ、お頭にそんなもの見られちゃったら興奮するっすけど、お頭に嫌な思いさせるのは嫌っすし。あ、いつものやつはお頭の愛情だと思ってるのでノーカンっす」
「カラク、お前後でアジト裏な。ちょっとお仕置きするわ」
「えぇぇぇ!!クランクのお仕置きより、お頭のお仕置きがいいっすー!あ、お頭!俺にお仕置きという愛のぐえ!」
「はいはい、こっちいこうなー。あ、お頭気にしないでくだせぇ」
「あまり無茶はするなよ」
「大丈夫ですって、いつものことですから」
以上がカラクさんの話である。本当にぶれないな、カラクさん。悠李のことがいろんな意味で心配になってきた。
私もアジト住まいの一人で、今はもう一人部屋をもらっている。木造建築だけど防音機能がしっかりしていて、この前ベラドンナさんが自分の部屋で大きな爆発音を出したらしいのだが、まったく気づかなかった。
チョコパフェを食べ終わって、食器を台所に持って行ってから読みかけの本を読み始める。
タイトルは、【異世界論】。こんな本があるのに驚いたが、この世界では異世界から人が来ることは珍しいことではあるが、そこまで驚かれることでもないらしい。
理由としては、この世界から異世界に旅立ち、戻ってきたことがある人もいるらしくその話が残っているからだ。
ただ、世界を移動するというのは大きな力が必要で大きな代償が必要になるとのこと。その代償は決められるものではなく、勝手に持っていかれるそうだ。
あれ?こんな話どっかで聞いたような・・・だめだ、これ以上思い出すとどっかからBANGされる。
【異世界論】はこの世界を0世界としてほかの世界を~世界と呼んで説明している本で異世界への行き方が少しだけ書かれている。
だけどライブリアンさんいわく、これは罠なので絶対に行わないようということらしい。
間違ったことは書かれていないが、危険性がかかれておらず、まるで異世界へ行くのを推奨しているような本で、ためになるが危険な本として有名らしく、悠李にも気を付けるように言われてしまったぐらいなのだ。
読んでみた限り異世界への魅力がいっぱいにあふれているが、実際異世界へ転移して危険な目にあってる身としては、絶対これなんかあると思ってしまうぐらいな内容だった。
その本を読み終えて、違う本へ手を伸ばす。何冊か借りているのだ。今のところ外れはない。本当にライブリアンさんすごいな。
【光系魔法初級を一通りできるようになったあなたへ】を手に取り、読み始める。【聖女】の私は光系魔法まぁ、いわゆる白魔法系と相性がいい。だからなるべくそれ系統を優先して覚えるようにしている。あまり攻撃系魔法を覚えられないのが悩みなんだけど、そこはもう仕方ないと割り切っている。悠李も「全部できるようになるって相当の努力と才能が必要だと思う」って言ってたし。確かに悠李も回復系魔法はあまり覚えてないというか、ほとんど治療薬で何とかしているのを見たことしかない。
そういえば悠李って本当にステータスどうなっているのだろうか。
「そろそろ優紀も実戦で戦ったほうがいいと思うんだが・・・」
「わ、悠李。え、でも私の戦うってゾンビとか幽霊とかだよね」
「まぁ、魔法系統的にそうだな」
「・・・ホラー苦手」
「いざという時動けないと知識を持ってても意味ないぞ」
「う・・・・わかってます」
「まぁ、この世界のゾンビはどちらかというとRPGゲーム系のゾンビが多いから安心しろ」
「どこにどう安心しろと?え?多いってことはほかにも種類あるの?」
「あぁ、こうウィルス感染的な人の形をほぼ保ったままのゾンビとか・・・」
「まって?え、ほとんどがどろどろ系のゾンビなの?なにそれこわい」
「たまにゾンビと気づかないゾンビとかいてな、死体だと思って気にせず通ったらいきなり飛びついてくる」
「ひたすら怖い!!」
「だからなんかやべぇなと思ったらモンスターに接近する前に、問答無用で浄化系魔法使ったほうがいい。普通の死体には何にも反応しないけど、アンデット系には反応してなんとかなるから」
「ゾンビの見せ場が何一つなくなる選択!いや、それでいいんだろうけども!」
「やられる前にやれがゾンビ系および幽霊系との戦闘の基本だよ。油断したり、同情したりすると道連れにしてきたり、乗っ取ろうとしてくるから」
「殺意高くない?この世界のアンデット系」
「そりゃ、未練がありまくってアンデット系になってるからな。アンデット系のクエストはちゃんと情報集めておかないと騙されて、大変な目にあうぞ」
「それを実践で試したほうがいいという悠李に私は驚きを隠せない」
「そりゃなんもない状態でぶつかるよりはフォローできるうちにぶつかっといたほうがいいかなって思うだろ。誰だって友達がいきなり襲われて死ぬのを見たくないし、墓に引きずり込まれるのを見たくないし、腐ったものが好きになるのを見たくないし、『男同士のくんずほぐれつを眺めるまで私はここから動かない!!』とか『女を食いまくってやるぜ!』とか『やらないか?』とか言ってほしくないし、いきなりコサックダンス踊りだしたり、街で全裸で踊ってほしくないし、ギャンブルで身を滅ぼしてほしくないだろ?」
「まって?いくつかおかしなのあった。真面目な中にやばいもの混じってたよ?今の悠李の体験談?え?勝ちであった話?優紀、ちょっと思ってたことと違いすぎて追いつけないよ」
至極真面目な顔でなんてことを口に出しているのか彼女は。いや、声のトーンとか表情とかで本当に私のことを心配してくれてるのはわかるんだけど、内容が内容だけにちょっとツッコミがおさまらないわ。
「ゾンビってバッドステータスにもあるからな。人から人へ感染はしないけど、治すのが結構めんどくさかったりする。ゴースト系は本当に厄介なんだ。肉体滅んでもこの世に存在し続ける力を持ってるからな。物理効かないし」
「悠李はその・・・・戦ったことあるの?」
「まぁ、一応。でもゴーストはなぜか私を避けるんだ。憑りつかれたことないし・・・」
何となくわかる。トンワルのときに出てきたドラゴンの背後霊を思い出した。あの時以降出てこないけど、ゴーストにはわかるんだろうな。
誰だって、あんな恨みマシマシのドラゴンと同居なんてしたくない。本当に何者なんだ悠李。
「あのさ・・・私前にも言ったけど、鑑定スキル持ってるじゃん?」
「あぁ、言ってたな。宝物の目利きのときにはいつもお世話になる」
「あ、うん。お役に立てて何より。で、一度悠李のステータスを鑑定してみたいんだけど・・・いいかな?」
「別にいいが」
「軽い!こういった私がなんだけどいいの?いろいろばれるんだよ?!」
「特に。だって優紀は友達だろ。もうとっくに見てるのかと思った」
「・・・すごく照れる」
「?」
「・・・私は非常事態とかじゃない限り、相手のスキルを見るとかしないよ。プライベートとかあるでしょ」
こういうとこだよね!本当に悠李はもう!!とりあえず本人から許可が取れたので鑑定スキルをつかって悠李を見る。
〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△
【名前】須藤悠李
【性別】女
【レベル】??
【職業】盗賊頭
【固有スキル】受け継ぐもの 【効果】????
・【盗賊頭】盗賊系スキルの能力が格段に上がる。また覚えやすくなる。カリスマ性up
・【古龍の血】身体能力が大幅にアップする。?????
・【古龍の呪い】????
【備考】転生者
〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△〇×△
「まって」
「どうした?」
鑑定スキルでいくつか見れないとこがある。これはレベルの差だろう。いや、レベルも見れてないんだけど・・・
職業は何となく予想ついてた。でも固有スキルは読めなかった。なんだ【受け継ぐもの】って。名前からしてなんか勇者みたいなやつじゃない?というか効果見れないし。
ドラゴンを食べたって言ってたから何となくドラゴン関係に関する何かがあるだろうなと思っていたけれど、古龍って。古龍ってどう考えてもヤバい奴やん。古の龍じゃん、すっごい強い感じしかしない。
あとやっぱり呪われてた。呪いの内容わからないけど、悠李がケロッとしているところからあまり意味をなしてないみたいだけど、明らかにヤバいやつ。
周りも見ている限り影響ないみたいだけど、ここにきて一年も経ってないから何とも言えない。周りにそれとなく聞いてみよう。
とにかくいえることは、悠李はやっぱりすごいなといことである。いや、もうそれしか言えない。
「どうだった?」
「なんといえばいいか・・・その・・・すごく見えないとことかありました。あと、言いにくいんだけど・・・」
「見えないのはレベル差か?言いにくいこと?ドラゴンに呪われてるってことか?」
「うん、じつは・・・ってえ?!知ってたの?!」
「いや、ユウキがそんな表情しながら言いにくそうにしてるならそういうことかなって。確かにあの時、ドラゴンはすごく抵抗してたし、今ほど力もなかったからかなり痛い思いはさせたと思う」
悠李が少し落ち込んだ様子でそう言った。最初は軽く言っていたけれど、本当は結構堪えていたのかもしれない。
「だからこそ余すことなくドラゴンは食べたし、ドラゴンを哀れまないし、後悔はしないと決めた。ずっと食ったことをぐちぐち悩むのはドラゴンに失礼だと思ったからな。勝手な考えかもしれないが」
「・・・・そっか」
「だからもし呪われているというなら、私はそれを背負っていく。それがけじめだ」
何となく悠李の固有スキル【受け継ぐもの】、わかったかもしれない。
盗賊頭も、古龍の命も、呪いも、彼女が覚悟のうえで受け入れたものなんだ。それが彼女の力になっている。それがこのスキルの力の一部なんだろう。
何とも彼女らしい固有スキルだと思う。
「まぁ、呪いが周りに被害を及ぼすようならなんとか止めるつもりではいる。今回本当に呪いがあると知れてよかった。ありがとうな、優紀」
「ううん、気にしないで」
「まぁ、私に呪いの症状が出ても抵抗はするがな、死にたくないし」
「それでこそ悠李」
本当に呪いに抵抗するんだろうな。悠李は受け入れたのであって、諦めたわけじゃない。だから必死に抵抗して、勝ちをもぎ取る気がする。
幽霊のドラゴンに勝って少しだけドヤっとする悠李を思い浮かべたら思わず笑ってしまった。
「どうした、急に笑って」
「いや、私の友達はやっぱりすごいなって思った」
「・・・照れるな」
「めっちゃ貴重な悠李のテレ顔」
どっかで「お頭のテレ顔と聞いて!」と誰かがこっちに来ようとした気がしたが、途中でどっかに連れていかれたのを見た気がしたので、きっと気のせいだと思い、スルーした。
悠李は気づいてないようで、テレ顔はいつもの表情に戻ったが、赤くなった耳や頬はそのままだった。
盗賊だけど、思ったより盗賊らしいことはそこまでしていない、アットホームな盗賊団のとある一日。