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空白の場所(仮題)  作者: 槐色
第一章
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第一話


ロアはすくすくと成長して四歳になり

「ねえねえ!兄ちゃんお兄ちゃん!わたしね!今日で3つになるの!」


「そうか!ロゼリィへ可愛いなぁ!」


そう、今日は妹であるロゼリィの誕生日である。


ロゼリィはロアの後ばかりついてきたり、兄の真似をしようとしてる姿は兄にとっては本当に可愛い妹だった。


そして、この当時からロアは頭がよく回り剣術や弓術などの武器の扱いもそれなりに出来た言うなれば「天才」であった。




「あとね!見て!見て!わたし魔法が使えるようになったんだよ!」


「え…?」


ロゼリィが小さな雷を見せた。


思わずロアは声を出しながらショックを受けた。


そう妹は3歳になり覚醒していたのだ。


しかし、自分は四歳と数ヶ月過ぎてもまだ覚醒しておらず、後数ヶ月過ぎれば五歳になる。


五歳になってしまえば自分が覚醒することはなくなり、自分の存在の意味はなくなる。


ロアはなんとか絶対に覚醒しなければ!と思ったが、何分子供であるからか、覚醒をした事がないからか妹にも起きた覚醒がどうして起こるのかがロアには分からなかった。


覚醒はある日自然に起こるのだがそれさえ知らなかった。


だからロアはとにかく勉強しようと思い、その日からロアは朝から夜までは必死に勉強した。


それを見る母の目は頑張る息子を見る優しい目と、何故こんなに小さな子がこんなに頑張らなければならないのかという憐れみの目を向けていた。そして妹は何故兄が自分に構ってくれないのかと不満を持っていた。


それでもロゼリィはロアから離れることを諦めずに勉強しているロアの後ろで一人遊びをしていた。そんなロゼリィの熱心な気持ちに気付いていたのか、時々、ロアはロゼリィの相手をしてやり、その度におままごとなどでロゼリィのお婿さん役をやらされた。



そんな妹の面倒をみて、勉強を頑張る、端から見れば凄く良い子だが…。

まだ魔力の覚醒をしていないそれを見る父の目は軽蔑しかなかった。

そんな父の軽蔑の目に気づいているのか、ロアは更に勉強を頑張った。




ロアの誕生日である7月7日まで後1ヶ月……,




そして遂にロアの誕生日がやってきてしまった。


ロアは必死に勉強してきたが、結局魔力の覚醒は起きなかった。ロアはその事を父に怒られると思ったいたが、父はこう言った。


「ロア、今日は誕生日だろう?お父さんと遊びに行こうじゃないか。」


頭のいいロアはこの言葉で、僕のお父さんは今日この日、僕を捨てる気だ…。と察してしまった。



…しかし自分にはどうしようもない。


それに、ここに自分がいたら名門のこの家に迷惑がかかると思い、捨てられるために父の誘いに了承してしまった。


家を出るときに泣きそうになっていたら父の計画により今日捨てられることを知らない母は

「ロア!今日は誕生日よね!これ!誕生日プレゼントよ!ロゼちゃんとお揃いのネックレス!」


「ありがとう!お母さん!」

とロイは涙を一滴流しながら言った。


母は大好きなお兄ちゃんと一緒だと喜んでいる妹を抱きながら、笑顔でいってらっしゃいと言った。


それが大好きな母と妹と交わした「ロア」の言葉だった。




父と車で屋敷の裏にある深い森の中へ行き

「さぁロア!かくれんぼをしよう!」

と父が言った。



もう計画は分かっている、ここで僕を捨てるんだろう?……白々しい嘘はロアの心を余計に傷付けていった。


ロイは自然と涙を流しながら

「お父様……もう遊ぶなんて嘘はいいよ……捨てるつもりなんでしょう?」


「へぇ?…分かっていたのか…そうか、そうか………そうだ!……お前がいたらこの家が腐っていく!」


ロアはその愛していた父が自身よりも家の地位や名誉の方を取ったというその言葉にショックを受けたが、もう分かりきったことであったため今更どうしようもなかった。


「ここには魔物がいるからな……気付いたその言葉に免じて剣だけは置いていってやる……この先は一人で生きろ。まぁ…魔法が使えないお前が生き残ることは、ないだろうがな……!」


その言葉を最後に父は車で帰った。





父が車で屋敷に帰りついてすぐ母が飛び出してきた。

「あなた!この家に泥棒が入りました!」


「なんだって!?」


そう、この父の計画に穴があったとするならば、この男がいたということだろう。


「泥棒はなんて名前だ?」


「義賊のロロティアです!」


「奴か…………」



「ねぇあなた!そんなことよりロアはどこ?」


「魔物に襲われて俺が行った時には……」


「そんな……ロアちゃん……」


母の目から涙が溢れきた。


「ねぇ、お母さん……なんで泣いてるの?お兄ちゃんは?」


「ねぇ、ロゼちゃん…ちゃんと聞いてね…お兄ちゃんにもう会えなくなったんだって」


「え……?大丈夫だよ!だってお兄ちゃんは強くて優しくていつもわたしを守ってくれるもん!だから絶対…ぜっ…たい…帰って、くるもん…。」


ロゼリィの目から大粒の涙が落ち母の胸で声を出しながら泣いた。


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