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#00 ああ、やっぱりこうだ。
「別れよ。」
あまりにも短く、残酷で、悲壮感の溢れるこの言葉を僕は何度聞いただろうか。
愛していないわけじゃない。
むしろ、愛が強すぎたのだ。
明らかに荷が重すぎた。
明らかに釣り合っていないこの恋を、なんと呼べばいいのだろう。
「どうして?」
答えはわかっている。
でも、この場をつなぎとめる言葉はいくら探しても出てこない。
「私にあなたは似合っていない。」
「そんなことはないと思うんだけどなぁ。」
「とにかく、別れて欲しいの。」
「僕は君が好きだよ。」
「私もあなたのことは好きよ。」
「それじゃあ、なんで?」
「わかるでしょ。」
わかるが、認めたくない自分がいるのだ。
「あなたの愛は重すぎる。」
はは、やっぱりだ。
いつもこうやって破局だ。
「君に伝わる愛は僕の気持ちだよ。」
「そんなのわかってる!」
幾度となく人を好きになっては告白。
その愛を相手にぶつけてはいつもこうなる。
一体僕はどんな形で人を愛すればいいんだ。
今日もその胸に埋まらない「愛の形」は僕の胸で
反芻する。