表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/56

7.戦略

「いた」


ゴブリンは4体。


その4体が仲良く四角の形で座っている。


真正面から殺り合うのは部が悪い。


ここは弓で戦うのがいいだろう。


ゴブリンたちが休んでいるところは円上の形をした平地だ。


直径は大体30メートルぐらいだ。


こっちからは、ゴブリン達が良く見えるが、あっちからは見えにくい。


これを利用して戦う。


俺は下準備として近くにある石を何個か拾う。


この石は後で使う。


「スゥー……フゥー」


俺は大きく息を吸い、ゆっくり吐き出す。


落ち着くにはやっぱり深呼吸をするのが一番だ。


俺は木に隠れた状態で弓を背中から外し、弓を構える。


もう一度深呼吸し、覚悟を決めるとゴブリン目掛けて弓を構え矢を引く。


ゴブリン達との距離は20メートルといったところだろうか。


ドクドクドクドクドク。


心臓の音がうるさかった。


近くに人がいたら聞こえるんじゃないかというほどドクドクいっている。


「ギィ、ギギィ」


ゴブリンたちは狙われているとは知らずに呑気に寛いでいる。


俺にはまだ、頭を完璧に狙えるほど弓の腕はない。


だから、体の中心である胸辺りを狙って射る。


そうすれば、少しズレてても体のどこかに当たる可能性高いからだ。


俺はゴブリンの背中を狙って矢を射った。


「シュッ……ドス」


矢は空気を裂く音をさせながら、頭目掛けて真っ直ぐ飛んでいった。


案の定、狙っていた背中からはズレたが運よく頭に当たり、ゴブリンは即死だった。


「よし!」


俺は小さくガッツポーズをし、すぐさまそこから移動する。


「ギ!ギギィ!」


ゴブリンは突然のことに驚いてはいたが、すぐに戦闘体制へと移る。


ゴブリン達もバカではない。


死んだ仲間に刺さっている矢の位置から、どこに敵がいるのかを見極めていた。


残りの3体の目線は先程まで俺がいたところに向いている。


俺はさっきいた場所から約左に90度既に移動していた。


ゴブリンは徐々に距離を詰めていっている。


そんなゴブリン達に向かってまた矢を放つ。


「ギィ!」


その矢がゴブリンの太股らへんに当たる。


矢が当たったゴブリンはもう戦力にはなりそうにない。


俺はそこからさらに左に90度移動する。


残り2体のゴブリンは、少しの間2体目のゴブリンを射った場所を睨んでいたが、そことは違う場所を二人で手分けして探し始めた。


さっきのでもう既に敵がその場にいないことを学んだのだろう。


意外と頭がいいなと感心する。


その内の1体が俺がいる方向に向かって来ていた。


俺はそんなゴブリンを見て、先程拾っておいた石を遠くの茂みに向かって投げる。


「カサ」


それは小さな音だったがゴブリン達はその音に気づいた。


2体のゴブリンがその音がした方に槍を構え警戒しながら向かっていった。


俺は石を投げたところの真後ろに移動し弓を構える。


そして、ゴブリンが俺に完璧に背を向けたところで矢を放った。


しかし、その矢はゴブリンに当たることはなく、その横を通りすぎ木に刺さった。


「くそ!外した!」


俺はまたすぐにそこから移動しようとするが、1体のゴブリンが既に俺の方に向かって走ってきた。


俺はそれを見て素早く矢を取り、構えて射る。


俺はこの時、計画通りにいかずゴブリンがこっちに向かって来ていることに慌ててしまった。


弓は基本、落ち着いて射なければ当たらないものだ。


ましてや、弓を初めて3ヶ月の素人が心を乱した状態で当たるハズがないのだ。


当然心が乱れていた俺の矢は当たらず、ゴブリンがもう目の前までやって来ていた。


(ち、いったん退くか)


俺は脇目も振らず全力で逃げた。


ゴブリンも追ってきているが、俺の方が足は早い。


ある程度距離が離れると、俺はジグザグに逃げた。


そして、後ろを確認してゴブリンが視界から消えた所で木に隠れた。


「はぁはぁはぁ」


呼吸が苦しいが、出来るだけ音は抑える。


「カサ……カサ」


辺りが静寂に包まれる中、ゴブリンがゆっくりと進んでくる音だけが聞こえてくる


どうやらゴブリンは俺を探しているようだ。


木に隠れながら音がした方を覗いてみると、ゴブリンがゆっくりとこっちに向かってきているのが見えた。


息を抑えながらゴブリンが通りすぎるのを待つ。


しかし、俺はこのゴブリンから隠れて逃げ切るつもりはない。


ゴブリンが俺の横を通りすぎた瞬間、剣を構えながら飛び出した。


ゴブリンは、突然飛び出して来た俺に驚きながらも攻撃してこようとしていたが時既に遅し、ゴブリンの体からは頭が切り落とさせれていた。


残るは1体。


もう1体が負傷しているから、さっきの場所にまだいるだろう。


「いた」


ゴブリンは仲間の帰りを待っているかのようだった。


思っていたより、仲間思いのようだ。


今度はさっきまでの不意討ちではなく、堂々と真正面から戦う。


残りの1体は弓ではなく剣で戦うと決めていた。


これは、俺が強くなっているか確認するためである。


「ギ!」


ゴブリンは俺の姿を見ると、激しく怒っていた。


俺がここにいるということは、仲間が殺されたということだから怒るのも当然である。


ゴブリンはそのまま怒りに任せて突進してきた。


そんなゴブリンの突きを避け、切り殺した。


(遅い……こんなにも遅いのか)


今のゴブリンとバルトとではバルトが圧倒的に強い。


バルトに稽古をつけているラモンは、ゴブリンなら1対4までなら余裕で勝てる実力がある。


だから、ラモンに7割勝てるバルトは、今回の4体のゴブリンとなら真正面からやりあっていても余裕で勝てていたのだ。


しかし、バルトは前回殺されそうになったことから、とても慎重になっていたのである。


俺は残りの1体のところに歩いていく。


ゴブリンは殺された仲間を見ていたが、近づいてこようとする俺に気づき、負傷した足を庇いながらも立ち上がり、槍を構えて必死の威嚇をする。


だが、俺はそんなゴブリンに情けを掛けるでもなく、容赦なく殺した。

感想お待ちしています!


面白ければブックマークや評価ポイント宜しくお願いします。


とても励みになり、創作意欲も上がります!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ