49.ダンジョン(1)
次の日、さっそくダンジョンへと向かった。
ダンジョンは地下に広がっているらしく、50階層まで有るようだ。
そして、50階層のボスを倒したとき、物凄い宝が手に入るらしい。
まあ、今のところ50階層まで行く予定もないので、俺には関係ない話だがな。
ダンジョンの入り口には、煉瓦で作られた建物が建っており、そこからダンジョンに行けるようだ。
その建物は、ギルドが管理しており、中には換金所やバーティー募集掲示板、薬屋や武器屋などがあった。
そして、ダンジョンへと続く地下の入り口にはセンサー見たいなのがあるらしく、そのセンサーで冒険者カードを読み取りDランク以上の冒険者かを判別しているようだ。
もちろん、冒険者カードを持っていない者も入ることはできない仕組みらしい。
俺は、もちろんそのセンサーに引っ掛かることなく地下への階段を下りていった。
そこに広がるのは広大な洞窟。
横幅や高さもかなりあるので、思っていたより戦いやすい環境のようだ。
念のため、ダガーも持ってきたがこの広さなら今のところ要らなそうだ。
少し進むと道が左右に別れていた。
俺は適当に左の道を進むと、そこでダンジョン初の魔物に遭遇した。
それはゴブリンであった。
1F~5Fに出てくる魔物は、ギルドからもらった情報によるとゴブリンやコボルト等の雑魚だ。
しかも、魔石をドロップする確率は5%ぐらいで質も悪い。
ゴブリンは、俺を見るなり襲ってきたが、一撃で殺した。
すると、驚くべきことが起こった。
ゴブリンは宝石が砕けたかのように細かな粒となってどこかに消えたのだ。
それはまるで、ダンジョンが吸収したかのようだった。
「これは凄い。」
その光景につい言葉が漏れてしまう。
これがダンジョンの仕組みか。
倒した魔物はどこかに消え、後にはドロップアイテムである魔石が残る。
外では魔物を倒したら、装備や皮などを剥ぎ取り、それを金に変えるが、ここでは装備や皮などの代わりに魔石が手に入るってわけだ。
このゴブリンは魔石を落とさなかった。
まあ、質が悪いから欲しいとは思わないがな。
その後は出来るだけ魔物を無視して突き進んだ。
5Fまでは、言うならば初心者冒険者用と言える。
そんなところに居ても仕方ないのでさっさと進むことにしたのだ。
5Fまでの道のりは意外と遠く、戦闘を最低限にしても1時間以上かかった。
まあ、道が分からず何度も行き止まりに当たっていたからだろうが。
こんなことなら地図を買っておけば良かったか?
また、5Fに来るまで多くの冒険者を見掛けた。
50mぐらい進む後とに居たときは、流石に居すぎじゃないかと少し思ったものだ。
深い階層に行けば行くほど人は少なくなるだろうから、暫しの辛抱だな。
6Fは、ホブゴブリンやホブコボルトなどの上位種も出てくるようになるが、まだメインはゴブリンやコボルトのようだ。
ただし、5Fまでとくらべ数は1.5倍ほど増えるのでやっかいではある。
魔石ドロップ率も上がり、5~10Fは10%になる。
だが、まだまだ俺の敵ではないのでスムーズに行きたいところだが、ダンジョンがそうはさせてくれない。
さっきまでと比べて数の多い敵に加え、下の階に進む後とに広大になっていくダンジョンが行く手を阻む。
ピンチになることは無かったが、何度も道に迷ったせいで10Fに着く頃には4時間が経過していた。
今は5Fごとにある10Fのセーフティーエリアで休んでいる。
セーフティーエリアは、次の階層へと繋がるところにある広場なので分かりやすい。
クソ、こんなことなら地図を買っておくべきだったな。
長期間滞在するならまだしも、短期間しか入るつもりはないので地道に行くわけにもいかない。
道がわかる魔法も有るには有る。
微弱な電気を張り巡らせることで、行き止まりが分かるようになる。
だが、電気を張り巡らせた時に、戦闘中の冒険者に当たってしまったときを心配しているのだ。
その電気に気をとられ死なれてしまっては、寝覚めが悪い。
だから、ダンジョン内で気軽に使っていい魔法ではないのだ。
よし、もう考え方を変えよう。
ダンジョンを楽しもうではないか。
魔法のバッグに武器の換えも食料も大量にある。
1ヶ月は潜り続けられるぐらいの食料は持ってきた。
難点としては、簡素なためあまり美味しくないということぐらい。
それさえ我慢すれば1ヶ月は潜り続けられるのだ。
だからのんびりと行こうではないか。
1時間ほど休憩したのち11Fへと下りていった。
11Fからはオークやハッピーなどといった魔物が出てくる。
魔石のドロップ率も15%の確率となる。
俺が洞窟内を進んでいると、目前にオーク3体を見つけた。
オークは俺に気づくなり、1体が突進してきたがそれを避けて上段から振り下ろし、1体を始末した。
それを見た残りのオークは少し警戒しながら近づいてきた。
そのときだった。
後ろからコトっと小さな音が聞こえたかと思うと、壁が崩れそこからゴブリンが4体生まれ落ちたのだ。
オークとゴブリンに挟まれてしまった。
俺は瞬時にゴブリンのほうにターゲットを変えて、オークに背を向ける形になるも4体に斬りかかった。
俺が背を向けた瞬間、オークが走り出す音が聞こえたが、俺にたどり着くよりも早く、ゴブリンを全滅させた。
オークのほうに振り返えると、既に1体のオークが目の前まで来ており、こん棒を振り下ろしていた。
俺は何とかそれを剣で受け止め、左へと滑らせて流した。
そして、オークが体勢を崩したところを心臓へと突き刺した。
もう1体のオークは俺が心臓へと突き刺した瞬間に、槍で頭目掛け横凪ぎの攻撃を繰り出していた。
俺は武器を手放し、攻撃をしゃがんで避けると狭い場所での戦闘用に腰につけていダガーを手に取り、喉をかっ切った。
だが、ダガーでは浅かったのかオークはまだ死んでいなかった。
オークが怯んだ隙に、倒れて死んでいるオークの心臓に刺さったままの剣を引き抜き、その剣で止めを刺した。
数秒後、死体は粒となって消え、後には魔石が2個残った。
「危なかったな。」
まさか、後ろから新たな魔物が生まれ落ちてくるとは。
ダンジョンの洗礼を受けたな。
雑魚とはいえ、流石に挟まれると魔法なしでは厳しい。
俺は戦闘において出来るだけ魔法を使わないようにしている。
何故ならば、それで強くなったとしても所詮は魔法のお陰であり、俺そのものが強くなっているわけではないからだ。
元が弱ければいくら強化魔法が強くても意味がないからな。
だからこそ、出来るだけ魔法を使わずに、生身の状態で強くなろうとしているのだ。
とはいえ、死んでしまっては元も無いので、雷魔法を使うことにした。
「シールド。」
電気を背後10メートルに撒き散らせた。
この魔法は、敵が電気に触れると感知することが出来、敵の動きを少し遅める効果がある。
これで、背後から急に襲われることもなくなるだろう。
こうして、ダンジョンの洗礼を受けた俺は、警戒を強め先へと進むのであった。




