25.防具
倒したオークをバッグに入れギルドに戻る。
「バルトさん!お帰りなさい、成果はどうでしたか?」
「まあまあですかね。オークを取り出したいんですけど、どこに出せばいいですか?」
「隣が解体所になっているので、ついてきてください。」
エルミアさんはわざわざ出てきてくれて案内してくれた。
「ここから隣に行けるんですよ。」
「へぇ~。」
ギルド内から隣の建物に通じる扉があるようだ。
解体所はギルドには必須だろうから、その方が便利なのだろう。
その扉から隣の建物に行く。
そこは大きい倉庫みたいなところだった。
そこには10人ほど働いている人がいた。
それぞれに作業場のような場所があり、そこで魔物の解体をしている。
中にはまだ見たことない魔物までいる。
その内の一人がこっちにやって来た。
「おう!エルミアちゃん!エルミアちゃんがわざわざこっちまで来るなんて珍しいじゃないの!ん?隣の坊主とその狼はなんだ?」
「ラッシュさんお久しぶりです。こちらは新米冒険者のバルトさんとその相棒のウィルさんです。」
ラッシュと呼ばれた男の体つきは冒険者と比較しても遜色ないくらいの筋肉ムキムキだ。
何故か上半身は裸だ。
そのため、見たくもない男の筋肉を見せつけられている。
「俺はここの責任者のラッシュだ!よろしくな!それで、何の解体だ?」
「はい、よろしくお願いします。オークの解体をお願いしたいのですが……」
「そうか、じゃあここに出しな。」
「はい。」
言われた場所にバッグから次々とオークをだしていく。
「ちょちょちょ、待ちな!お前さんどんだけ倒してきたんだ?」
オークを10体取り出したところで止められてしまった。
「えっとー30体ぐらいだと思います。」
「そんなに倒したんですか!?」
エルミアさんが驚きの声をあげる。
「ええ、まぁ。」
「その数だと今日中には無理だな。あと5体はここに出して、残りはあいつのところに持って行ってくれ。」
言われた通りに後5体はここに出し、残りはもう一人の作業場の所まで持っていく。
その人も筋肉ムキムキだった。
ここには筋肉ムキムキの人しかいないのだろうか……
「明日の昼過ぎにでも金を取りに来てくれ。そうだ、何か取っておきたいものはあるか?何もないなら全部換金するが。」
ウィル用に肉が欲しいが、保存方法がない。
貰っても仕方がないだろう。
「肉が欲しいのですが保存方法がなくて……」
「それなら、兄ちゃんは魔法のバッグをもってるじゃねーか。」
「え?」
「なんだ、しらねーのか。細けー理屈は分からんが、そのバッグ中は時間の流れが遅くてな、そのバッグに入れておけば5日は大丈夫なんだ。これがなかったら店で肉は売れてねーよ。」
考えてみればそうだな。
市場でも普通に生肉が売られていた。
あまり考えてはいなかったが、冷蔵庫や氷などないこの世界で普通は生肉を売るのは難しいハズだ。
「あ、そうだったんですか。はじめて知りました。なら、4日分ぐらいの肉を頂ければ大丈夫です。」
「おう!了解だ!じゃあまた明日来てくれ。」
「はい。」
用事も済み、エルミアさんとギルドに戻る。
「これはオーク討伐報酬の銀貨3枚です。」
「ありがとうございます。」
「そういえば、バルトさんは新しく装備を買ったりしないんですか?防具は何も着けていないようですけど……」
「え、あー今まで特に必要性を感じていなかったので買ってないですね。」
「お金も手に入ったと言っていたことですし、この際防具や武器を買い揃えて見てはいかがですか?」
今まで安全第一で、自分より強者とは戦ってこなかったため、敵の攻撃は防ぐことができていた。
でも、いつイレギュラーと遭遇するかも分からないわけだし、買っておいた方がいいのかもしれない。
ていうか買うべきだろう。
防具を着けていない冒険者なんていないし。
現に俺以外の冒険者は皆着けている。
「そうですね……じゃあ買ってみます。おすすめの店とかありますか?」
「最初ですからね、アルバさんの店がいいですよ!腕も中々で、値段も良心的です。鍛冶屋の前には名前の入った看板があるので、それを目印にしてください。」
「わかりました。」
ギルドを出て鍛冶屋が並ぶエリアまで行く。
「えっと……アルバ、アルバ……あった。」
アルバと書かれた看板がある店を見つけた。
「いらっしゃい。」
その店に入ると、身長140cmぐらいの男の人が出迎えてくれた。
しかし、その男は子供ではない。
髭げが生えており、帽子を被っていて風格もおじさんだ。
いわゆるドワーフという種族である。
「防具を買いに来ました。軽くて動きやすいやつがいいんですけど、何かお勧めはありますか?」
俺の戦闘スタイルは速さを活かしたらものだ。
身を守るために重い防具を着けて速さが失われれば、避けられる攻撃も避けられなくなる。
それだと本末転倒ではないか。
「それなら革がお勧めだな。この店で強度が一番強いのはシルバーリザードマンの革だな。こいつはミスリル鉱石を食べて強くなった亜種でな、最近リザードマンが鉱石を食べて変化することが分かってきたんだ。だが、鉱石を食べて強くなるリザードマンの数は少ない。その中でも希少性の高く銅より硬いミスリルを食べたのがこいつって訳だ。」
シルバーリザードマンの革の防具はとても綺麗だった。
銀色に輝いており、太陽の光を浴びるとさらに輝きはますだろう。
一目見て気に入ってしまった。
この防具は全身装備ではなく、パーツごとの防具だ。
腕、脚、胴に着け、ところどころに隙間があり、服が見えるような形だ。
「これはいくらするんですか?」
「金貨1枚と銀貨40枚だ。」
かなり高いな。
でも気に入ったしな……
「……買います!」
「お!買ってくれるか!これは値段が高いせいで中々売れなくてな、困ってたんだよ。買ってくれるってんなら銀貨10枚はサービスしてやるよ!」
「いいんですか!?ありがとうございます!」
「おう!代金は金貨1枚と銀貨30枚な。」
金貨2枚取り出し、渡す。
「お釣りが銀貨70枚だな。まずは着てみな。サイズが合わなければ調整すっから。」
実際に着てみると少し大きかったが、とても軽く動いてみても違和感はない。
「少し大きいな。サイズは調整しとくからまた明日来てくれ。」
「わかりました。それじゃあまた明日来ます。」
「おう!」
鍛冶屋を出て、宿屋に帰る。
まだ俺の宿屋は゛憩いの場〝だ。
金が手に入ったんだから、もっと豪華なところにも行けるがそうはしない。
宿屋のおばちゃんとも慣れ親しんだし、料理も美味い。
それに、おばちゃんは俺を実の息子かのように良くしてくれている。
部屋は狭いが不自由ではない。
人は1度贅沢を味わってしまうと、もとの貧相な暮らしに戻ることは難しい。
その逆はとても簡単なのに。
だから、俺は無闇に贅沢をしようとは思わない。
高い防具や魔法のバッグは買ってしまったが……まあそれは必要なことだったし仕方がない、うん。
「お帰りバルト。ご飯食べるだろ?」
「はい!いただきます!」
「今持ってくるからね。」
持ってこられた料理を食べ、部屋に戻る。
いつも通り武器の手入れをし、ウィルにオーク肉を食べさせた。
今日のウィルはスゴかったな。
「あれ……ちょっと狭くなってる?」
ウィルを眺めていて気づいたが、部屋が最初の頃より狭くなっているような気がする。
「おまえ、また少し大きくなったな。」
「ウォン。」
そういえば、ウィルはなんて魔物なんだ?
今日見た強さからして上位種なのは間違いないとは思うが……
そこにあまり興味を持たなかったからな~
周りの人もウィルのこと狼としか言わないしな。
明日、解体所に行ったついでにエルミアさんに聞いてみるか。
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